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大嫌いな期末テストとお父さん

この世で二番目に嫌いなテストが今日から始まる。


しかもテストの中で二番目に嫌いな期末テストだ。


中学生になって二年経ったが今回のテスト勉強の時間は今までの中で二番目に少ない。


朝食で出た二番目に好きな食べ物の唐揚げと茶碗二杯目のご飯を食べているとお父さんが起きてきた。


この世で一番嫌いなのがお父さんである。


そして朝のお父さんが一番嫌いだ。


朝まで飲み、酔っぱらって全然寝てないお父さんの暴力と言葉の暴力が一番耐えられないのだ。


一番の被害者はお母さんで泣いているお母さんを二度と見たくない。


『バシッ』


『ガシャン』


今日もまた私の目の前には見るに堪えない光景が。


茶碗は割れて破片は箸とご飯と唐揚げと共に床に散乱した。


お父さんは私を一度も叩いたことはないがお母さんの顔と体には無数の傷がある。


お父さんは会社に行ってしまい私はハンカチをお母さんに渡して一人で床の片付けをした。


花柄のハンカチを手に陰で静かに泣くお母さんを見て涙が出そうになった。


お母さんをそっとしておく為に心の中で『行ってきます』と言って家を出た。


歩いている私の頭の中は期末テストのことよりお母さんのことでいっぱいだった。


何をされてもお母さんがお父さんのことを好きでいられる理由を考えていたら学校に着いた。


教室に入って席に座ると友達に勉強をしたか聞かれた。


『全然してないよ』と答えたが勉強をしたのにしていないと言うバカとは違い私は本当に勉強をしていない真のバカだ。


私が好きでも嫌いでもない、野菜でいうとニンジンのような存在の地理のテストからスタートだ。


お父さんに顔が似ていると言う理由で少し苦手な先生から問題用紙が配られテストが始まった。


問題1[一番面積が大きい都道府県を書きなさい。]


真っ先に北海道が浮かんできたがこれでは簡単すぎるので引っかけ問題だと予想した。


日本と書いていないので都道府県がある他の国が存在するのかもしれない。


あとは地球ではないという引っかけ問題も有り得る。


そして私は[北海道]と書いてみたが自信がなくて消しゴムで消した。


消しゴムで文字を消している時にお父さんを消す消しゴムがあったらいいなと思ってしまった。


いろいろ悩んで結局[北海道]にして次の問題に進んだ。


問題2[いま日本で起こっている問題について次の言葉を使って説明しなさい。(九州/福岡/中洲)]


こんな難しい問題は授業中にほとんど寝ていた私には絶対に解くことが出来ない。


もし必ず使わなくてはならない言葉がもっとたくさんあったら解けたかもしれない。


あとは場所の名前ではない言葉を入れてくれていたら解けただろう。


空欄で出すのはダメだと思い、長い時間考えて解答欄にこう書いた。


『今日もよく九州するハンカチで涙を福岡あさん。お母さんをいつも中洲お父さんを私は許さない。』


問題の通り、いま日本で起こっている問題について書いたので間違ってはいないはずだ。


その後、何とか解答欄を全部埋めてテストは終わった。



数日後、私は先生に呼ばれて「龍之介。何でこんなこと書いたんだ?」と怒られたが書いたことに後悔はしていない。

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