春のパン祭り
私はパンがとても好きだ。
毎日パンでもいいくらい好きである。
今日もスーパーマーケットで大量のパンを買った。
そのパンをよく見てみると応募シールが付いていた。
そう、今年も春のパン祭りの時期が来たのだ。
パン祭りの白い皿は毎年何枚も貰っていて大活躍している。
だが、その応募シールが付いているパンはいつものメーカーでは無かった。
タニザキパン?
聞いたこともないメーカーだ。
でも、そのシールには確かに『春のパン祭り応募シール』と書かれていた。
パクりではないかと思ったがシールを集めることにした。
あれからすぐにスーパーマーケットでシールを貼る台紙を貰ってきた。
そこには『30点集めると何かが必ず貰えます』と書かれていた。
「トースターは高価すぎるからパン切り包丁かな」と私は何が貰えるのかをいろいろ考えた。
まあ、何が貰えても嬉しいに決まっているのだが。
毎食パンの日が続き、約10日で30点分のシールが集まった。
そして、なぜかシールを貼る台紙の下の方には悪口を書く欄があったので私はこう書いた。
『もっとパンが大きい方がいいです。バカヤロウ』
私は台紙を持ってスーパーマーケットに何かを貰いに行った。
何か貰えるということでとてもワクワクしていた。
台紙を店員に渡すと点数を数え始めた。
「はい、ちょうどですね」
そう店員が言った。
すると大きい音がした。
「パン!」
それと同時に頬に痛みが走った。
店員がビンタしてきたのだ。
「悪口を書いたからメーカーの代わりにビンタしました」
「何してるんですか?何かが貰えるんじゃないんですか?」
私は怒ったが店員は冷静にしている。
「貰ったじゃないですか、ビンタを」
「貰えるのはビンタだったのか」
なるほどと思ったが怒りはおさまらなかった。
「それにパン祭りとは頬をパンと叩く祭りのことですよ」
「聞いたことないですよ、そんな祭り」
私は全然納得出来ずにいた。
「あなたのせいで口から血が出てしまいましたよ」
「この春のパン祭りは皿は出ませんけど血は出ますからね」
こんな時にうまいことを言ってどうするんだと思って怒りが増した。
そして私は二度とこのタニザキ春のパン祭りに参加しないと決めた。