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小銭地獄

小心者。



そんな言葉が一番似合う男、それが僕。



なぜ小心者なのか。



それは店でお金を払う時に後ろの客と店員が気になって細かいお金を出せないからである。



例えば買ったものが1080円だとして千円札2枚と十円玉8枚が財布の中にあるとする。



その時は決まって千円札2枚を出す。



後ろの人と店員が怖いのだ。



待たせるとイライラして殴ってくるかもしれないと思ってしまう。



なので細かいお金は出せない。



その結果、札ばかり出して財布は小銭でいっぱいになる。



現在、所持している小銭を紹介しよう。



百円玉23枚、五十円玉11枚、十円玉15枚、五円玉7枚、一円玉8枚である。



これでもピーク時に比べれば少ない方だ。



僕は財布を常にジーパンのポケットに入れている。



なので小銭が多いことでジーパンが下がってきてしまう。



だからベルトが無いと生きていけない。



小銭くらいでジーパンが下がるのかよと思う人もいると思う。



だが小銭をなめてもらっては困る。



小銭は意外に厄介である。



軽いモノもたくさん集まれば重くなるのだ。



全部、小心者のせいだ。



だから小心者から生まれ変わるしかないのだ。







「1188円でございます」



店員が言った。



今日こそは小銭を出すしかない。



後ろには3人の客が待っているが関係ない。



僕は一万円札1枚と小銭の188円を時間をかけて店員に渡した。



「10188円をお預かりいたします」



もう今までの僕とは違う。



これで小心者から卒業だ。そして重い財布からおさらばだ。



「おつりの9000円ですが五千円札が不足しているので細かくなりますがよろしいですか?」



「はい」



お札は軽い。



だから、おつりが五千円札1枚と千円札4枚の計5枚から千円札9枚になっても別に変わらない。



何の問題もない。



そう思っていた。



でもとんでもないことが起こってしまった。







店員がこう言っておつりを渡してきた。



「百円玉90枚とレシートのお返しです」



僕は驚いた。



全部、小銭で返ってくるとは全然思ってなかったからだ。



時間をかけて小銭を出したから罰が当たったのだろうか。



僕は百円玉90枚を財布に入らないのでポケットに入れて店を出た。



小銭地獄からは一生抜け出せないのかもしれない。

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