失恋しました
寒かった冬は過ぎて春になった。
春になっても少し寒い日はあったが、今日は暖かくとても過ごしやすくなりそうだ。
それにしても体中がとても痛む。
昨日あることが起こったせいだが、その理由は今は言わないでおく。
僕は今日も朝早くに散歩に出掛ける予定である。
散歩は運動不足解消のために毎日続けているのだ。
ちなみに昨日の朝は大雨だったので散歩はしなかった。
コースは毎回、同じである。
住宅街から川沿いを通って公園に行く。
そして来た道を戻るというコースになっている。
家から公園までは片道15分くらいかかる。
往復だと30分くらいである。
僕は玄関を出ると公園へと歩き出した。
昨日、失恋したばかりの僕は落ち込んで下を見ながら歩いていた。
すると、前から犬を連れた若い美人の女性が歩いてきた。
僕は単純だった。一目惚れしてしまったのだ。
すれ違った後もあの子のことをずっと考えてしまっていた。
そして僕は水溜まりをよけながら公園に向かった。
すると友達の家が見えてきた。
友達の家につくと家の前には友達がいた。
僕はその友達に話かけた。
「おはようございます。ケンです。
相談というか聞いてほしいことがあるんですよ。
失恋の話なんですけど聞いてもらえますか?」
友達はそんなこと聞いてくるなよという顔をしていたが話を続けた。
「昨日、僕は失恋しました。
その原因、知りたいですか
知りたいのなら話しますけど」
さっきまでの青空が嘘のようにポツリと雨が降ってきた。
「実は僕の浮気が原因なんですよ。
浮気なんてしちゃ駄目だとわかっててもしちゃうんですよね」
友達はじっとしてこちらをずっと見ていた。
「浮気したこっちが悪いんですよ。
でも殴ったり蹴ったりは駄目だと思うんですよね
この通り、体中がボロボロなんですよ」
そう言って僕は痛々しい体を友達に見せた。
「僕ってとても惨めですよね。
同情してくれますか。同情してくれますよね」
友達の目からは透明なしずくが流れ落ちた。
わかってくれたのかと僕は安心した。
「ほら、行くよ」
飼い主は犬のケンのリードを引っ張った。
「それは犬の置物なんだけどな」
ボソッと飼い主が言った。