スーパーに行く
「もう少ししたらスーパーに行ってくるわね」とママが言った。
「一緒に行きたい」と小学生の僕は伝えたが断られてしまった。
何で一緒に行ってはダメなのだろうか。
本当に行く先はスーパーなのかと疑問が頭に浮かんできた。
もしかして誰かと遊びにでも出掛けるのではないだろうか。
そんなことを考えているとママがエプロンをして晩御飯を作り始めた。
スーパーに行くと言いながら料理を作るなんて。
普通はスーパーに行って食材を買ってから料理をするもんじゃないだろうか。
ますます行く先がスーパーなのか怪しくなってきた。
ママは去年離婚したのだが僕に内緒で新しい男と会うのではないだろうか。
僕に内緒にするためにスーパーに行くという嘘をついたのではないだろうか。
そんなことを考えている間に晩御飯が出来たみたいだ。
「おまたせ。チャーハンよ」
入っている具は卵だけ。明らかに手抜きだ。
僕は文句を言わずに食べた。
食べ終わって周りを見回したがママの姿はなかった。
ママを探していると洗面台の前にいた。
どうやら化粧をしているみたいだ。
これでママが新しい男と内緒で会う確率は更に高くなった。
でもスーパーのレジ打ちの男性に恋をして振り向いてもらいたくて普段しない化粧をしている可能性もある。
そんなことを考えているとまたママがいなくなった。
ママはすぐいなくなる。
探しているとママが奥の部屋から出てきた。
ママは派手なドレスを着ていた。
これでレジ打ちの男性に恋をした説は無くなった。
流石にドレスに着替えてスーパーに行く人はいないからだ。
僕はもう一度ママにどこに行くのかを聞いてみることにした。
「ママ?オシャレしてどこ行くの?」
「さっきも言ったけどスーパーよ」
その格好でスーパーに行くとよく言えたものだ。
「三時間くらいかかるけどお留守番してるのよ」とママが言った。
「三時間?」スーパーに三時間はかからない。
ママは嘘を付くのが下手すぎる。
「行ってきます」ママは出掛けていった。
「どれから飲もうかな」
コーンスープ、味噌汁、ミネストローネなどがありママは悩んでいた。
「味噌汁にしよう」ママは言った。
スーパーとはスープパーティーの略だったのだ。