第8作戦
やっとここまで来ました。
段々、誠が憎たらしく思えてきました……。
「…千夏ちゃん。」
こっちも驚いているが、あっちはもっと驚いていた。
「ご、ごめんね!盗み聞きするつもりなんてなかったんだけど、さーよが泣いてたから入りにくくて……。」
ドクン
「どこから聞いてたの?」
お願い。
あなたには気付いて欲しくない……。
あたしの気持ちをわかって欲しいのは……
「さーよが…誠の事好きって……」
時が止まった気がした。
一生懸命千夏ちゃんが弁解していた気がするが、
亜美が隣で千夏ちゃんを責めていた気がしたが、
全くあたしには聞こえてなくて。
あたしが現実に引き戻されたのは、
大分経ってから、千夏ちゃんが言った言葉だった。
「あたし、誠とは付き合わないから。」
ニッコリあたしに笑う。
でもね、分かるよ。
千夏ちゃんの目には涙が溜まっていた。
あたしの幸せは何だろう。
ドラマのように、
『好きな人さえ、幸せなら。』
なんて言えない。
言えないのに、
「そんな事しないで。」
口が勝手に喋るの。
「千夏ちゃんは、せーちゃんの事が好きなんでしょう?なら、あたしに気を使わないで。
せーちゃんもきっと千夏ちゃんの事が好きだよ。」
せーちゃんが、
またあたしから一歩離れる。
せーちゃんなんか好きになるんじゃなかった。
大っ嫌い。
でも、
それ以上に好きです。
こんな文章を最後まで見て頂いた全ての方に、
感謝の嵐でございます。
本当にありがとうございます。