第12作戦
中途半端!!!
…大変申し訳ありません。
思えば、いっつも私はあなたの後ばかりを追いかけていた。
この高校だってあなたがいるから受けたんだよ。
離れるのが怖くて。
今の関係が愛おしくて。
あなたの背中ばかりを見てここまで来たの。
これからあたしは、あなたに大切な事を伝えるけど、
かなり私にしては、勇気を出してる方なの。
受け止めてね。
「寒…。」
夕方は、肌寒い。
廊下の窓から、冷たい空気があたしの肌を包む。
夕焼けの赤い光が、全ての教室を照らしていて
生徒のいない廊下は、
いつもの学校の気がしなくて。
一層あたしの緊張を煽る。
クラスの前に立つと、中に一人男の子がいた。
間違える訳がない。
愛しい背中。
私の道しるべだった。
足が震える。
胸が痛い。
上手く呼吸が出来ない。
怖い!
一人では進めない。
駄目だ。
やっぱりあたしは、
弱虫だ……。
「さーよ?」
え?
「そんな所で何してんの?」
せーちゃんがあたしに気付いた。
お願い。
こっちに来ないで。
まだ……
まだ駄目なのに……
「…おいで。」
せーちゃんがあたしに笑いかけ、手を差し出す。
あたしは黙って手を取る。
ああ、この手だ。
昔からあたしを救ってくれた手。
温かい……。
この手にすがりつきたい。
力一杯抱きしめて欲しい。
あたしが気持ちを伝えた瞬間に、今まで笑いあえた事がきっと出来なくなるね。
それでも言いたい。
そうあなたを見て思った。
「…せーちゃん。」
「…ん?」
「…好き。」
「…え?」
沈黙が怖い。
二文字の言葉が重い。
でも、今逃げたら一生あなたと話せない気がするから。
「…実はさっき俺も別の人に告白したんだ。」
「…千夏ちゃん?」
「…うん。」
せーちゃんが千夏ちゃんに告白……。
皮肉にも臆病者のあたし達は告白まで一緒なんて。
神様も残酷だよね。
「…ごめん。」
せーちゃんがボソっと言う。
「それは気付かなかった事に対して?それとも…あたしの告白に対して?」
「…えっと…。」
「…そっか。」
「え?」
分かってるよ。
もういいよ。
「じゃあ…。」
やっぱりあたしは臆病者みたい。
あなたに背を向けて走って教室のドアに向かって走る。
「さーよ!」
あたしは大声で呼ばれても振り返る事は出来なかった。
涙が止まらない。
止めてくれる人もいない。
あなたが良い。