第11作戦
いよいよここまできました。
皆様、ここまでお付き合いして頂き本当に感謝をしています。
そしてもう少しお付き合い願いたい限りでございます。
心臓が高鳴っている。
痛いくらい。
周りは静かすぎて、今にもあたしの心臓の音が聞こえそう。
苦しい。
息ができない。
「あ…あたしは…。」
前ならはっきり言えた。
『せーちゃんが好き。』
でも、今のあたしじゃ言えない。
言ったらあなたが傷つくでしょう?
なんて、かっこいい事言えない。
ただ、
誰かに寄りかかりたい。
あたしの為。
最低だなんてわかってるけど、多分誰もこの複雑な気持ちはわからない。
わかって欲しくもない。
この空虚感。
涙もでない。
あなたじゃないけど、
「…時間かかってもいいなら…。」
あなたでもいい。
「…さーよ…
嘘つくなよ。」
「え?」
「お前、誠の事好きじゃん。」
なら何であたしに告白するのよ。
こんなあたしに。
「俺はお前と付き合いたい訳じゃないんだ。否、出来れば嬉しいけどさ。お前、俺と一緒にいたって笑えないだろ?うーん…何だろ。上手く言えないけどさ、俺はお前が幸せならそれでいいんだ。」
お前が幸せなら、それでいいんだ。
格好いいね、基。
あたしもこの前までそう思ってた。
でも、今気付いた。
あれは本心じゃない。
あたしは誠が好き。
この気持ちを言いたい。
基はニッコリ笑い、あたしの背中をポンと叩くとあたしを置いて、みんなの元に行ってしまった。
無性に泣きたくなった。
アイツにはあたしの気持ちが分かってた。
そんなアイツにあたしはすがりついた。
自分が恥ずかしい。
出ないと思っていた涙が溢れ出す。
「基、ごめんなさい…。」
それから、
ありがとう。
「言わなくちゃ。気持ちを。」
鈍感王子に。