第10作戦
重くなるとか言いながら、目標までいけませんでした…
当たり前だった事が今になって、
こんなにも愛おしい。
『振り向いて』なんて言わないから、
置いていかないで。
文化祭当日。
あたしは、当番をみんなより多くしてもらった。
忙しさで、あんなやつの事忘れるだろうなんて思ったけど、そんな甘くはなくて。
お客がいなくなった時、ふと思ってしまう。
『いつもの今頃は、あなたといるのに。』
と。
「さーよ!」
声を掛けられ、後ろを向くと基がいた。
「今日ずっと休みなしだろ?そろそろ休みにしない?」
「……そうだね。」
でもやっぱり運命は変わらないみたい。
あたし達の反対側から、良く知っている人が歩いてくる。
一番会いたくなくて、会いたい人。
「千夏ちゃん…
…せーちゃん。」
千夏ちゃんは、ハッとしたようにせーちゃんから離れる。
大丈夫。
笑え。
「お二人さんデート中?お似合いですねぇ。」
笑え!
せーちゃんは顔を赤くしてあたしに
「ばか!」とか言う。
「じゃあ、あたしも基とデート中だから!…じゃあ。」
強がりなんて慣れてる筈なのに。
涙が出そうになって、基の袖を掴み回れ右をして走った。途中人が振り返った人もいたけどあたしはそれ所じゃない…
「…さーよ!」
かなり走った後、基に呼ばれハッとした。気がつくと生徒のいない裏庭まで来ていた。
「あ…ごめん。」
誰もいない。
せーちゃんも千夏ちゃんもいない。
「さーよ、大丈夫?」
「大丈夫だよ。」
あたしはそんなに弱くない。
「こんな時に言う事じゃないけどさ…」
「…何?」
「俺、さーよの事好きなんだ。」
「あのさ、千夏。話があるんだけど…。」
「…何、改まって。変な誠。どうしたの?」
「俺、
千夏が好きなんだ。」
静かな空気が流れる。
「さーよが誠の事を好きなのは知ってる。何度も諦めようとしたんだけど、
やっぱり無理だった。」
「…基。」
「さーよ、返事が欲しい。」
あたしは、
弱くない。
でも、それはせーちゃんがいたから。
今のあたしは、
本当に強い?
今回もこんなヘボ小説を読んで下さり有り難う御座います。全ての方に感謝です!!
有り難う御座いました。