第四話
突然の眩しさに目をつぶった。
目をあけると雷程激しくなく、暗いところから明るいところに出たカンジだった。
雷ではない、流星でもない。なんだったのだろうか。誰かがロケット花火を放った。その程度の光ではなかった。もっとめくらましするような光だった。
閃光の落とし物だろう。空気中がきらきらと輝いている。寒くはないがアイスダストみたいで光に触れられないか試してみたくなる。
「おい、なにをぼーっとしてる」
風にのって、どこからか声がし、辺りを見まわすが、誰もいない。深夜の住宅街だ、当たり前だろう。と、すると考えられるのは…
冷ややかな声に背筋が凍って、身動きできない。でも、逃げなきゃ。本能的に滑り台を下りた。こんな夜更けにっていったら、幽霊よね。それぐらいしか思いつかない。午前二時から三時にかけて出歩く人なんて滅多にいない。
走りだした瑠美の行く手を箒から下りて阻む者がいた。
全身黒色で三角帽子にマント。左手にはほうき。まるでハロウィンの仮装である。
「呼び出しといて、なんだその態度」
全身真っ黒な男は不満そうな声で腰に右手をそえている。
「呼び出し?」
思わず足を止め、鸚鵡返しした。。
「星に願っただろ」
こくこく、と瑠美は頷いた。
幽霊とか怖いモノを想像していたがどうやらそうではないらしい。変人ではあるかもしれないが。だって、そこにいるのは…
「そうだけど、なんでそんな格好してるの?鈴木!」
薄明かりのもとに照らしだされてる顔は今朝転校してきた鈴木だった。