第十三話
過去の俺が起こした罪過を、今の僕が、果たして償いきれるのだろうか。
存外にも僕は神原さんと少女との組み合わせというミスマッチさに焦っていたらしく、配達を終えたというのに未だ店に戻れずにいた。
言い訳をさせてもらえるのならば、混乱しているのだ。
どんな顔をして神原さんに会えば?
神原さんは僕の過去にしていたことを知っているのか?
知っているのならば、今後どうやって接していけばいいのか?
いや、むしろ関係を保つこと自体可能なのだろうか?
神原さんと少女の繋がりは?
神原さんの配達の依頼は些か不自然なところを感じなかったか?
神原さんを疑うわけではない。
でも、湧きあがる疑問は絡み合う蔦となり僕を捕らえて離さない。
「あ、坂本?今からいつものトコ向かうから、そこ来て待ってて。」
考えのまとまらない僕は、悪友の坂本に都合も確かめもせず電話で用件だけ伝える。
「は?いきなりなんだよ。ケイ、俺にも都合ってもんが…。」
「とにかく来て。じゃ。」
困惑気味の悪友の反論に耳を貸している余裕など僕にはなく、押し付けるように電話を切った。
あいつには聞かなきゃならないことがある。
色々と考え込むくせに自己分析が不得手な自分に溜息をつく。
今まで好きなことばかりしてきた罰が当たったのだろうか…。
紗依を失うわけにはいかないこの今になって、自分のせいで彼女に僕に対する不審なんて欠片も与えたくはないのに。
こんなにも思い入れる相手ができるなんて思っていなかった。
むしろ俺は諦めていたのかもしれない。
荒んでいた俺は、見えるものすら見えていなかった。
今やっと手に入れた大切なものを、僕はどうしても守らなくてはいけない。
新しい人、出ました。