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ごめんなさい?もうしません?はあ?許すわけないでしょう?  作者: kana


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「ここで殺り合うのは不味い。飛ぶぞ」


皆んなが同時に頷く。

飛ぶ瞬間振り向くと、留守番を引き受けてくれたお母様が、いつも私たちを学園に送り出す時と同じ穏やかな笑顔で「行ってらっしゃい」と言ってくれた。

うん。と頷くと手を振って送り出してくれた。






転移で到着したのは何度も訪れたフォーライト公爵領だ。

それも何もない・・・・・・そう、草木も生えていないただ広いだけの場所。


「お前は誰だ?」


ニタニタと嫌な笑いをしているオルセロー嬢?の目は今も真っ黒のままだ。

前世で言うホラー映画に出てきそう。

もう、彼女をオルセロー嬢と呼ぶべきではない・・・・・・かもしれない。

顔付きまで変わっている。とてもじゃないけれど、同じ人物だとは思えない。



「お前オルセロー男爵令嬢ではないな?」


『ふっふふふはっははははは』


「・・・・・・何が可笑しい?」


『やっとだ、やっと自由な身体を手に入れた!』


大袈裟に両手を広げて喜ぶ姿は不気味としか言いようがない。


「「「・・・・・・」」」


確かに魔力の質が変わっているから、オルセロー嬢の人格が変わったのではなく、まったくの別人なんだろうけど・・・・・・


『オレは()()()にはルークと名乗っている』


自分を指さしてそう言う()()()


『おいそこのお前、フィオナだったか?』


「私の娘に何の用だ?」


『ふん!お前の娘は随分と()に愛されているんだな』


あの自称神を知っている?ルーク()は何者なの?


「何を言っている?」


『オレは神とは長い付き合いでな』


長い付き合いって知り合いなの?


『オレほどあいつ()を恨んでいる者はいないだろうな』


会話をしているのはお父様とルークだけで私たちは黙って2人の会話を聞いている。


でもなんだかな~

偉そうな口調のわりに小物臭いんだよね。

魔力もこの中で一番少ないしね。

だからといって警戒を解いたりしないけれどね。


『神はこの世界を創り、オレはこの世界を滅ぼそうとした』


ここだけ聞いたらルークって()じゃん!


『何を隠そうオレこそが『魔王』だ!』


・・・・・・。

この人頭大丈夫かな?

まあ、オルセロー嬢が二重人格という訳ではなさそうだし、彼女の身体を乗っ取った何かってことは確かね。


皆んなから胡散臭げな視線を受けた自称魔王は、咳払いをしてまた話し始めた。


『神は創ることは出来てもこの世界に関与することは出来ないはずだった・・・・・・だが世界を滅ぼそうとしたオレは神の逆鱗に触れたのだろう。奴はオレの肉体を消滅させた』


へぇーあの自称神様もやるじゃん!


『それ以来神を恨みながら何千年、何万年とこの世界を漂っていた。年月が経つごとにオレの力は減っていった』


「お前は何が言いたいんだ?」


『そこで面白い魂を見つけた。それがこの女だ。漂うだけでこの世界に関与出来なくなったオレに、この女は声を聞き姿を見ることが出来た。波長が合ったんだろうな。だから与えたんだよ。オレの力を!な』


「そんなことはどうでもいい。知りたいのはなぜ娘を狙った?」


お父様に聞かれたルークは私を見てニヤリと笑った。







『ああ、そんな事か。言っただろう?神を恨んでいるってな。その娘は神の愛し子だ。一目見て分かったさ。この女も最初からフィオナが気に入らなかったようだ。

まあ、俺が中に入っていた影響を受けたのだろうよ。瞬時に憎むべき相手だとな。

それにコイツは自己評価が山より高くてな、すべての男から自分は愛されると信じていた。それが何人かの見目のいい男に相手にされない事が続いた。プライドの高いコイツは皆から注目されているフィオナが目障りだと思ったようだ。で、フィオナさえ排除すれば自分が一番愛される存在になれると思い込んだってわけ』


「・・・・・・そんな勝手な理由でフィオナの命を奪おうとしたのか?」


いやマジ、おかしいよね?どんな思考の持ち主なんだよ!


『オレの私怨に引き摺られたのか、この女の頭がおかしいのか、オレが言うのもなんだがコイツには普通の人間にあるべき罪悪感というものがない。それでも神に復讐するのにフィオナを()()ことにコイツは同意した』


「・・・・・・そうか」


『お前には悪ぃが娘を渡してもらおうか。フィオナを亡くしてもお前にはまだ子が2人残るだろう?』


「もう、いいか?」


『何がだ?』


「お前らの言い分を聞いてみたが無駄な時間だった」


『お前も殺すぞ』


「やってみろ」


お父様が動いたその瞬間を、目で追えた者は驚愕の表情をしているジンとサラだけだったと思う。ジンに至っては顔色まで青く変わっている。



オルセロー嬢が突然力が抜けたように倒れ、お父様の右手には透明の箱の中に黒い煙のような物が閉じ込められていた。


『な、何が起こった?』


本当に何が起こったのだろう?

どうやって彼女から自称『魔王』を引きずり出したの?


「弱いな。この程度で世界を滅ぼそうとしたのか?」


なぜ優しいお父様が巷で『魔王』と呼ばれているのかずっと不思議だった。

でも、今のようにお父様に殺気を向けられたとしたら?無駄に抵抗することを諦めるだろう。

それぐらいお父様は別格だった。

実際に今も殺気だけで皮膚が切り裂かれそうな錯覚に陥る。


『お、お前・・・・・・お前は本当に人間か?』


「人間に決まっているだろう」


私だって自称神様に相当なチート能力を貰ったけれど、お父様はそれ以上だ。


「さあ、消滅の時間だ」


『や、やめろ!やめてくれ!ギャーーー』


透明な箱がどんどん小さくなり、箱からは『魔王』の懇願と悲鳴が聞こえたけれど、それもプツッと音が鳴ると聞こえなくなった。


そしてお父様の手には何も残っていなかった。


「終わったな。さあ、帰ろうか」


振り向いたお父様の顔はいつもの穏やかで優しいものに戻っていた。けれど・・・・・・私たちの出番は?

死に物狂いで特訓してきた日々は?

私たちの意気込みは?


お父様1人でサクッと終わらせちゃったよ。


「一応()()も連れて帰るか」


何だか納得のいかないまま私たちは転移した。





その夜、自称神様が夢に出てきた。


『えへへっ、ごめんね~』テヘペロ♡って・・・・・・次に会ったら絶対にぶん殴ってやる!






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