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第5話 森の護衛依頼――初めての共闘

第5話では、エルとリナが初めて“本格的な共闘”を果たしました。

弱さを補う戦術と、短剣の腕を持つ少女。二人が噛み合った瞬間は、書いていても爽快感がありました。

ここから冒険者としての日常と成長が始まっていきます。

辺境都市リトレアを出て、三人で森へ向かう。

俺――エル・アナシスタ、短剣使いの少女リナ、そして今回の依頼主である薬師バルド。


「森の奥には《銀葉草》が生えていてね。薬の材料になるんだが……盗賊や魔獣が出て、冒険者の護衛が欠かせんのだ」

「任せろ。必ず守る」

俺はそう返しつつ、荷車の揺れに合わせて周囲を観察した。


森は鬱蒼としていて、昼間でも薄暗い。

小道の両脇に積もる落ち葉、折れた枝。……妙に不自然な散らかり方だ。


《革新の書》――起動。

(枝の折れ方、足跡の深さ……これは人為的。伏兵の可能性が高い)


「止まれ!」

思わず声を張り上げると同時に、木々の影から黒装束の男たちが飛び出した。


「荷物を置いてけ!」

「血を流したくなけりゃ大人しくしろ!」


盗賊――。狙いは薬師の荷だ。


「リナ、護衛は俺と分担する。前を抑えてくれ」

「了解! 任せなさい!」


リナが短剣を抜き、矢のように飛び出す。

動きが鋭い。二人の盗賊を翻弄し、刃を交錯させた。


俺は薬師を背に庇いながら、《過集中》を発動。

世界がスローに沈み、盗賊の動きが線のように浮かぶ。


(三人目が背後から回り込む……!)


「リナ、左後ろ!」

俺の声に反応し、リナが身体をひねる。

短剣が閃き、飛びかかってきた盗賊の刃を弾いた。


「ナイス!」

「助かったわ! さすが“戦術屋”ね!」


息の合った動きに、俺自身が驚いた。

十歳の身体では敵を斬り伏せることはできない。だが、俺の戦術とリナの剣が組み合わされば――勝てる。


「退け! この子ども……普通じゃねえ!」

盗賊たちは舌打ちを残し、森の奥へと姿を消した。


残された静寂の中で、リナは短剣を納め、肩で息をしていた。

「ふぅ……あんた、ただのガキじゃないわね」

「俺は弱い。でも勝ち筋を見つけるのは得意だ」

「面白いわ。その頭脳、気に入った」


互いに笑い合い、初めて“仲間としての手応え”を感じた瞬間だった。


次回:「薬草採集と少年の戦術――冒険者の日常の始まり」


ここまで読んでいただきありがとうございます!

今回は盗賊との初戦闘でしたが、ただの戦闘回ではなく「戦術×連携の強み」を出せたと思います。

次回は護衛依頼の続きとして、薬草採集や日常的な冒険者の姿を描きつつ、エルの改革サブ要素も少し入れていきます。

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