第135章: ユキオとコーヒーの物語
ユキオが最も恐れていた人生の悲劇は二つあった。
休日に午前9時前に起きること。
フォームなしのコーヒーを飲むこと。
もしこれらの恐怖が同時に起こったら、その日は正式に呪われた日と見なすことができた。
ユキオは、街で唯一無料Wi-Fiがあるカフェ「味のミル」の小さなテーブルに座っていた。味のミルという名前だったが、実際にはほとんど疑問の味しかしなかった。とはいえ、彼らはコーヒーを提供していた。そして、それだけでこの店は自動的に学校の食堂より0.7点高くなった。
彼の前にはカップが置かれていた。
「なんて汚い沼のようなものだ」ユキオは、まるでその黒い液体がアニメで彼の味覚を個人的に侮辱したかのように、呟いた。
コーヒーは黒く、数学の教師の魂のように、そして同じように苦かった。泡もシロップも、可愛いシナモンのハート形さえもない。陶器の墓の中の液体の苦さだけだった。
彼は一口飲んだ。彼の顔は無言の叫びで歪んだ。その瞬間、ユキオはコーヒーには二種類あると悟った。人間のためのコーヒーと、人間を嫌う人間のためのコーヒーだ。
「これは2007年のエモの印刷テキストを飲むようなものだ」彼は自分自身に言い、救いのバニラシロップの小袋を素早くリュックから取り出した。彼はそれを「黒い日」のために持ち歩いていた。
（これは今週で3回目の「黒い日」だった。どうやら、ユキオのカレンダーは一般的に受け入れられているものとは違っていた。）
彼はシロップをカップに慎重に垂らし、まるで魔法の儀式を行うかのように。液体の色は「森の茂みからの悪」から「バニラの香りのある悪」に変わった。もう一口飲むと、世界は少しだけ耐えられるようになった。
「これで…ほぼ生きられる」彼は椅子の背もたれに寄りかかりながら、息を吐いた。
カフェの隅ではラジオが鳴り、人気のある魔法少女ゲームの同じ曲を繰り返し流していた。ユキオはもちろん「プレイしていない」（しかし、彼は6レベルのアカウントとアートのフォルダ全体を持っていたが、シーッ…）。
彼はノートパソコンを開き、彼が[BitterCat95]として知られている数多くのチャットの一つに入り、コーヒーの写真を撮って送信した。すぐに彼は絵文字と挨拶で埋め尽くされた。
「ヘイ、キャット！コーヒーはどう？」
「また沼の汚物を飲んでるの？:D」
「君は外に出ることができるの？」
ユキオはにやりと笑った。現実では彼は単にユキオと呼ばれ、誰も彼の様子を聞かなかった。しかし、ここで彼は誰かだった。
彼は後ろに寄りかかり、窓の外を見た。そこには灰色の日、灰色の家、灰色の人々。しかしチャットでは、彼を見て嬉しいふりをする人々がいた。
時々、人生の味を感じるためには、少しのシロップを加えるだけでいい。
そして、フォームなしの沼の汚物を飲まないこと。絶対に。
