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第1話 「店、ドア、そして何?」

太陽の光がブラインドの隙間からゆっくりと差し込み、ユキオの部屋の床に縞模様の影を落としていた。ナイトスタンドの時計は正午を指しており、彼はまだパソコンの前に座り、画面を見ていた。夏休みだ!嫌な学校から解放された二週間。煩わしいクラスメートも、終わりのない宿題も、もうない!この貴重な日々をどう過ごしていたのか? ほとんど何もしていなかった。


ユキオは伸びをし、ゲームのタブを閉じた。お、いつも遊んでいるオンラインゲームから通知が来た!「デスキング666」が面白いミームを送ってくれたし、「プリンセス・ルナ」が彼の最新アートにコメントした。そして「グローリー・ウルフ」からは「一緒に遊ばない?」というメッセージが来ていた。ここでは彼は、静かで目立たないユキオではなく、ヒーローであり、クリエイターであり、ただの面白い相手だった。


しかし、お腹がぐうと鳴り、現実に戻された。両親は祖父母の家に行っている。冷蔵庫の中身を確認したが、残念ながら、もう空っぽだった。「買い物に行かないと」とユキオは呟いた。そのシンプルな考えが頭に浮かんだ。


パソコンから離れた彼は、自分の部屋を見渡した。Tシャツは椅子に散らばり、ジーンズはハンガーから落ちそうになり、漫画の山が崩れそうだった。「何を着ようかな?」と考え、すぐに答えが出た。「どうでもいいや、誰も見てないし。」結局、古いジャージと色褪せたアニメのTシャツを選んだ。


次に鍵を探した。ユキオは部屋の隅々まで探し、机の下、服のポケット、念の為ゴミ箱まで確認した。鍵はまるでどこかに消えてしまったようだった。結局、30分も探し回ったあげく、最もとんでもない場所で見つけた。それは昨日のジャケットのポケットの中だった。どうしてこうなるんだ?と呟き、彼は目を回した。


鍵を見つけ、ユキオはやっと買い物に出かける準備ができた。廊下を出ると、なぜか振り返った。誰かいるような気がしたからだ。しかし、長い廊下には誰もいなかった。「まあいいか」と彼は呟き、ドアを閉めた。


案の定、彼は予感が的中した。三つブロックほど歩いたところで、ドアの鍵をかけていないことに気づいた。大きなため息をついて、彼は引き返した。自分の不注意を責めながら。「まったく、ついてないな…」と思った。


家に戻ると、彼の不安が的中し、ドアが開いていた。今度は念入りに鍵を確認し、大丈夫だと確認してから再び外に出た。外はもう暗くなっていた。太陽は地平線に沈み、空は赤やオレンジ色に染まっていた。「一日が終わったな」とユキオは呟いた。


彼がやっと店に着いた頃には、もう暗くなっていた。ネオンの看板が暗い通りで鮮やかに光っていた。店内は人が少なく、普通の人はもう買い物を終えたようだった。ユキオはため息をついた。今回の買い物は最初から失敗だったのかもしれない。しかし、彼は諦めなかった。結局、食べるものが必要なのだから。


彼は棚の間をゆっくりと歩き、ラーメン、ヨーグルト、ジュースをカゴに入れた。「これで数日は足りるだろう」とユキオは思い、次にいつこの面倒な買い物に出かけることになるのかを考えた。


店を出ると、すっかり夜になっていた。明るい星が空に輝き、月がまるで彼にウインクしているようだった。ユキオはため息をついた。今日が終わった。彼は疲れ切っていたが、歩き疲れたというより、自分の不器用さに疲れていた。彼は買い物袋を持ちながら、温かいベッドとゲームの世界を夢見てゆっくりと家路についた。明日こそゆっくり過ごしたいと願った。しかし、何かが彼に新しい冒険が待っていると告げているようだった。それは、今回の買い物のように馬鹿げたものかもしれない。

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