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なろうラジオ大賞

願いは紙飛行機のように

作者: 地野千塩

 友達に悪意がある訳ではないだろう。


「はあ、いいな」


 年明け、私の元に届いた年賀状を見ていたら、友達からも送られていた。赤ちゃんの写真つきの。目がぱっちりと大きい可愛い赤ちゃんだった。


 不妊治療をしている私は、嬉しいような、羨ましいような、嫉妬も混じった複雑な気分だ。別に友達に悪意があるわけでもない。素直に喜ぶべきだが。


 これでも何年も不妊治療をしていた。出来る事は全部やったつもりだが、今年に入ってからまた生理がきた。今回は生理痛も酷く、薬を買いに行くぐらい。


 その帰り道。近所の子供達が公園で紙飛行機を飛ばして遊んでいるのが見えた。この寒い中、元気に走り回っている。


「紙飛行機は変に力入れると飛ばないんだよ! こうふわっと風任せにするんだ。自分の力に頼らないで」


 子供の一人がそう語ると、本当に紙飛行機は風に乗り、遠くまで飛んでいた。


 子供達の笑い声が響く。水色の空に舞う白い紙飛行機。


「そっか。私も力を抜いてみるか。願い事もそうかもね……」


 今の苦い気持ちは、少し和らいできた。まだ風は冷たいが、いつか春が来る事を想う。

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