第6話 みんなで築け、マイホーム!
仲間が充実して、賑やかになってきたレオパーティだが、まだ不安があるらしい。
仲間が増えて、勢いの乗っている俺達だが…仲間だけでは足りず、さらなる要求に手を出していた。
「今日集まったのは他でもない、」
「ああ…話ってなんだ?」
「さっさと言ってね。」
「何か大切なことかしら。」
カイト、ユイト、ユリも疑問に思う中、オレは思いっきり声を荒げた。
「家がほしい!!!」
「なんかレオの言う事、急だよねー。」
せっかくの雰囲気をぶち壊したクソ野郎は後で殴るとして、オレは理由を聞きたいであろう仲間のために、詳しく説明することにした
「オレ達は今、宿屋で生活してるけど…宿屋の金は高いし、そこから食事もつけているが、オレ達が今よく行ってるクエストの報酬は約60000G〜100000Gそれを山分けにするだろ?そして宿代と飯代、銭湯などを入れると20000G近く!残りの自由に使えるお小遣いが…いくらなんでも少なすぎるっ!!」
ちょっとオーバーな雰囲気にしようと、机を強めにドン!叩く。ユリはビクッとするが他、カイトは安定の真顔、ユイトはニヤニヤした顔で俺を見ている。どつくぞ。
「確かに…バトルアイテムを買うのが基本だから…武器を買える金が集まらないな…。」
「でも、それと家となんの関係があるの?」
なにも理解できてないユイトのために、わかりやすいように説明してあげる。
「まず、家があると俺達は宿屋に泊まらなくて住む、そして宿代が浮く。そこから自炊すれば遥かにギルドより金を節約できる!家だから風呂もあればトイレもある!これは家を買うしかねえだろ!」
オレの魂の演説を聞いたユリはおぉ〜っと顔を輝かせ、ユイトは顎に手を当て、カイトはいつも通りの無表情だった…。
「レオくんの言う通り、自分たちでご飯とか作ったほうがいいわよね。」
「たしかに…武器を買える金はほしいところだな…。」
カイトとユリもオレの意見に同意してくれるが、そこに水を差す野郎が一人。
「でも、肝心の家はどうやって買うのさ、絶対高いでしょ。」
「あ?そんなんローン組むに決まってるだろ。」
オレが当たり前のことを言うとユイトがやっと感心したように頷く…しかし、
「ローンってなんだ…?」
「うん、聞いたこと無いわ。」
今度は2人のセリフに限界のオレはついに固まる…。
「レオ、どうやらこの世界にローンという概念はないらしい。」
ユイトがこっそりと耳打ちする。ふざけるなよ!せっかくみんなと意見がまとまったのに…なんで人生はこんなに世知辛いんだよ!
「な、なぁカイト…家っていくら位なんだ…?」
「安いのでも700000G…。」
「「700000G!?」」
「この人数で暮らすとしたら、もっと大きめの家がほしいわね…。」
「だとすると、2000000Gと言ったところか…。」
オレ達はノックアウトした…。2000000G…すぐ用意できるわけがない、悲しみにくれたオレはヘナヘナとテーブルに突っ伏した。このままだと、オレ達はずっと、こんな過酷な日々を過ごしていかなくちゃいけなくなるのか…、
「仕方ないよ、継続は力なり。地道にお金を集めよう。」
そう言って、背中を優しく撫でてくれるユイト…。
…お前に同情されても嬉しくねえよ
☆
早く行動に移そうと思い…適当にモンスター狩りに探索へ出かける。
クエストと違って、クリア報酬はないが、自分で好きなように冒険できる。エンカウントしたモンスターを倒しレベリングと解体で素材集めをしている。約1時間探索し、一旦お昼と称してバーべキューをする。
さきほど狩ってきたモンスターの肉や、道端で取れた山菜を焚き火に串刺しにして頬張る。
「やっぱり、自分で狩って食べるのが一番美味いよな〜カイト!」
「ああ…」
「んっ…、これ美味しい…っ!ユリも食べる?」
「いいの?じゃあもらおうかしら。」
かなりのモンスターを狩ったため、お昼には困らなかった。しかし、問題は起きたのだった…。
美味しそうに串焼き肉を食べていたユイトが遠くを指差す
「ねえ…あそこに人が倒れているよ」
「ん?」
オレは指の先を見ると、一人の男が倒れていた。
「大丈夫ですか?」
そしてオレは駆け寄り男性に手を差し伸べる。すると、ゆっくりと手を掴み息遣いが荒くしながらレオに訴えかける。
「は、腹が減っているんだ…食い物くれないか…?」
そういって、バタリとその場に倒れる。
「うまい…、うまい…!」
涙を流しながら、肉を頬張る男性。ちょうどバーべキューをしていて運が良かったと言えよう。中年のような歳の男性が肉や野菜を食べ終わると、改めて話しかけてくる。
「助けてくれてほんとうにありがとう…!冒険者のあんちゃん達。」
すっかり元気が出たらしい男性はオレ達に礼を言う。
「そんな、困ってる人は見過ごせないですよ。」
外面は良いユイトが対応する。…お前何もしてねえだろ。
「でも、どうしてそんなところに倒れてたんだ?」
オレが聞くと、男性は思い出したかのようにため息を吐く。するとゆっくり語りだした。
「仕事で使う資材を集めて帰ろうとしたら、いきなりゴブリンの群れに襲われて…なんとか逃げ切ったが、体はボロボロで…資材も奪われちまった…。」
俯く男性を見て、オレ達は顔を合わせる。カイト以外のみんなが頷くと、オレは男性に向かって声をかける。
「その資材…オレたちが取ってきてやるよ!」
そう言って、二ヒッと笑うと男性は驚いた顔をする。
「い、いいのか…?」
「ゴブリン程度なら楽勝…。」
「困ってるなら助けるのが冒険者だからね。」
「私達にまかせて、必ず取り返してくるわ…!」
三人もやる気満々で助かるぜ。それを聞いた男性は地に頭を下げる。
「それでは頼む!俺の資材を取り返してくれ!」
「ああ、任せとけ!」
こうして、オレ達のクエストが始まった。