第5話 花の魔法使い
前回、カイトを仲間にしました。今回は誰が仲間に仲間になるのだろう。
カイトが来て次の日、今日も今日とてギルドで飯わたしなむ三人の冒険者。
「今日はどんなクエスト行くか?」
「ワンランク強い敵を狙うっていうのもありかもしれないな」
「でも、最近クエスト続きでしょ…、少し疲れちゃったな。」
朝食を食べながらレオ、カイト、ユイトは次回戦うモンスターを相談していた。
「そういえば、もう仲間は募集しないの?」
唐揚げを頬張りながら話すユイト。カイトがコーヒーを飲みながら意見を出してくれる。
「一度に冒険に行けるのは10人だ。基本は、4〜6人で出かける事が多いからな…。俺とレオが武器メインだから、魔法が使える冒険者がほしい所ではある…」
「確かに、前回の戦いみたいに、ユイトのMPが尽きたら魔法が使えなくなるからな。」
一応ユイトも物理攻撃できるスペックはあるが、最低限魔法攻撃をしてほしいところ。
「でも、普通のパーティは、攻撃特化の魔法使いと回復特化の僧侶がいるでしょ?それを考えると、魔法使いか僧侶がほしいところではあるよね。」
しかし、俺達には大問題がある…。そう、仲間になりたい冒険者が来てくれないことだ。昨日散々待って来てくれたのが、カイトただ一人である。次はいつまで待たなきゃいけないんだ…。
「あ、あの…冒険者募集の紙を見て来たのですが、ここでよろしかったですかっ?」
すると、後ろから、萌え声が聞こえる。振り向くとそれはそれは可愛い女の子が立っていた。
艷やかな緑色の髪はとてもサラサラで長く、ハーフツインでまとめている。
タレ目はぱっちりとしていて、まつ毛は長く、ぷるんとしたピンク色の唇、とても可愛い童顔をしていたが、スタイルもよく、身長が167くらいあり中肉中背、そして巨乳。
推定できないくらいでかい胸にクビレの綺麗な腰、ボンキュッボンとはこいうい事を言うのだろう。俺の好みではないが、様々な冒険者を虜にしそうな程、すごくかわいい女の子だった。
「ああ!会っているぞ、座って話を聞こう。」
「はい!」
そう言って、ユイトの隣に座る女の子、
「まずは自己紹介をするわね。私の名前はユリ、草属性で職業は魔法使い、年齢は16よ。」
そう言って微笑むユリ。16ってことはユイトと同い年ってことか、俺やカイトの2つ年下か…。いや、もしかしたらユイトみたいに高校2年生の16歳の可能性もあるが。
「俺はレオだ!このパーティのリーダーだ。」
「カイト…、盗賊をやっている。」
「ユイトだよ。賢者をやってるよ。」
全員の自己紹介が終わり、ユリの冒険者カードを拝見する。レベル5、特に突出した能力はない…。
「どうしてここのパーティに入ろうと思ったんだ?」
なんか就職面接みたいになってしまったが、ユリはニコッと笑いながら
「昨日、みんながマザーチキンを討伐してるところを見て、連携良くて…楽しそうだったからよ!それで…この街のギルドで貴方達のこと聞いたら、募集しているって聞いて…。」
やっぱりこういう普通の子がいいな。聞いてて安心する。そう思うと改めてカイトの無表情には感心してしまう。
「いいんではないか?俺たちに比べて特別に強いものは無いが、特訓しだいでどうとでもなる。」
カイトからOKを貰い。
「丁度男子ばっかりで華が無かったし…魔法使いなら大歓迎だね。」
ユイトからも賛成を手に入れた。
「それじゃあ、ユリ…これから一緒にクエスト行って決めるぞ!
それでいいか?」
そう言うと、ユリはニコニコしながら元気よく頷いた。
☆
場面は変わり、草原エリアで依頼されたモンスターを探す4人。今回倒すモンスターはスズメハチというモンスターだ。
「スズメハチは鳥っぽい見た目に反して、蜂のようなモンスターだ。アイツの接触攻撃には毒状態にする効果を持っているから気をつけるんだぞ。」
相変わらずの無感情での説明だ。オレはカイトの腕をつつく
「カイト、今回も頼むぜ!昨日みたいな活躍!」
「そういうのはリーダーがするもんだろ…」
オレが煽ると、カイトも言い返してくる。後ろからも声が聞こえる。
「ユリはさ、どのくらい魔法使えるの?」
「えっと…っ、まだ駆け出しだから3つくらいかしら?」
「へえ、上出来じゃん」
「ユイトくんの魔法も、是非教えてほしいわ!」
どうやら同い年だからか、気が合うようだ。後は、ユリがどのくらい戦えるかだな。
すると…!後ろから急に奇襲されてしまう!!
「うぐっ…!?」
後頭部に何かが刺さり、その後…段々気分が悪くなってくる。これが…毒状態なのか、そして目の前に不意打ちをしかけたモンスター、スズメハチが現れる!
「レオ!大丈夫…!?」
「…っ、ぐぁっ…」
あまりの毒の辛さに顔をしかめてしまう。こんなに辛いものだったのかよ…、その様子を見て、ユリがこちらへ向かい。
「あの…!これ使って!」
そう言うと、小さな小瓶を渡してくる。意識が遠のいていくオレは考えるより先に、小瓶の中の水を飲む。すると、苦しさがどんどん消えていく。
「どくけしか、ナイスだよユリ。レオ、【ヒール】!」
ユリのどくけしとユイトの回復魔法のおかげで、無事に完全復帰したオレは剣を抜く。
カイトも両腰からダガーを抜くと、2人で挟み込むようなフォーメーションを取る。
そして、お互い頷くと、一斉に斬りかかるが速いスズメハチは逃げ回ってしまうせいで、攻撃が全くあたらない!隙を見て針で攻撃してくるのも厄介だ。
オレは盾で防御しつつ、カイトも高い反射神経で避ける。攻撃を食らったらユイトが回復してくれる。
完璧な布陣だが、一つ問題があった。
「クソっ…!早すぎて見えねえ…。」
オレがは歯ぎしりすると、カイトの攻撃がヒットしそうになり、スズメハチは体勢を崩してしまう。
そして、ユリが魔法を唱える!
「今よ!【アイビー】!」
そう言って花の杖を振りかざすと、スズメハチの真下から、トゲトゲにツタが生え、相手を拘束する。
この動けないスズメハチを上から剣を振り下ろし、完全に倒す。一匹とはいえ、強いモンスターもいるんだな…。そんなことを思いながら、死体の解体作業を続ける俺。
「みなさん!どうだったかしら?」
キラキラした顔でこちらを見てくる…。まあ答えなんて決まっているが、カイトが待ったをかける。
「その前に、アイビーって魔法存在しないはずだ、ユニークスキルか?」
「うんっ!ツタを出して攻撃したり、相手を妨害できるわよ。」
またまたわからない単語が増えてしまう。カイトが説明してくれるそうだ。
「この世界の特殊技は、レベルを上げれば自然と技を覚える。これが魔法…。スキルは本人の努力しだいで覚える技だが、ユニークスキルは世界で数人が持てる、その人専用の魔法だ…。」
わかりやすい解答…流石学年トップの秀才だ。てか、そんな貴重な技持ってるのに、ここで引き抜かないわけのはない。
「じゃあ、改めてユリ!これからよろしくな。」
「うんっ!頑張ってお役に立すわ!」
握手しようとしたが、解体後なので、手がとてもグロかったので。仕方なくユイトにチェンジした。
「みんなでたのしくやっていこう!」
「うんっ!!是非とも仲良くしてね!」
そう言ってユイトと握手する…。
受かったことに、ぱぁっと顔が笑顔になるユリちゃん…。これで4人揃ったし。そろそろ自分たちのチームを考える。とてもいい仲間が来てくれたが、俺達の冒険はまだ始まったばかりだ!