表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
83/130

第74話

 三好に招き入れられ、蓮と優牙が玄関から入ってきた。

 リビングから少しだけ顔を出してその様子を見ていた美緒に、蓮が気付いて駆け寄る。


「美緒!」


 美緒の尻尾がビクリと上がった。

「美緒、心配したんだよ」

 蓮が美緒の前に跪き、視線を合わせる。

「うん……」

 途端に耳が倒れて尻尾も下がった。助けを求めるように視線を彷徨わせると、同じく狼姿の優牙と目が合う。

「う!」

 美緒は思わず後ずさった。優牙の目が怒りに満ち溢れている。


「姉ちゃん!この馬鹿――」


 飛びかかろうとする優牙。美緒が悲鳴を上げる。しかしその時、リビングの中から明るい声がした。


「いらっしゃい。あなたたちもご飯を食べていきなさい」


 優牙と蓮が顔を上げ、そして目を見開く。

 リビングから出てきたモノ、それは――。


「鳥だ」

「……鳥」


 三好がコホンと咳払いをする。

「俺の嫁さんのカラス天狗だ」

 優牙が振り向いて三好を見た。

「カラス天狗? これが?」

 初めて見た……と呟き視線を戻した優牙とじっと動かない蓮に、三好の妻は微笑む。

「いつまで廊下に居るの? ほら、こっちに来て」

 促されてリビングの中へと視線を向け、優牙と蓮はまたしても驚いた。


「翼……? 鳥と人間のハーフ……鳥人間、いや『人間鳥』か?」

「…………」


 三好が大きな咳払いをする。

「息子だ。失礼すぎるぞ、お前達。いいから部屋に入れ」

 一方、吉樹はまったく気にしていない様子で、クスクスと笑って皆を手招きした。

「どうぞ、座って。美緒ちゃんもおいで」

 勧められるまま中に入って座ると、三好の妻がキッチンからまた大量の唐揚げを持ってくる。

「どうぞ、たくさん食べてね」

 鳥が唐揚げを持つという光景に、蓮と優牙が唸った。

「……唐揚げですか」

「う。なんかエグイな」

 そんな二人に、三好の妻が唐揚げを取り分けて渡す。

「美味しいわよ。ね、美緒ちゃん」

「うん。美味しいよ」

 既に唐揚げを頬張っている美緒の姿に、優牙は溜息を吐いた。

「姉ちゃん、ちゃんと反省してるのか?」

「う、うん。そりゃ勿論……だよ?」

「何で疑問系なんだよ!」

 怒る優牙を三好の妻が宥める。

「まあまあ。それより焼き鳥とタンドリーチキンもあるから食べていきなさい」

「……鳥料理ばかりかよ」


 こうして蓮と優牙も加わり、妙に賑やかな雰囲気で食事が始まった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ