第55話 (涙の変身修行編 終了)
「愛ちゃん聞いて下さい!変身がコントロール出来るようになったのです!」
「そう。良かったね」
「あう。もっと褒めて・・・」
朝、学校に行った美緒は一番に愛の元に向かい、変身がコントロール出来るようになった事を報告した。
「はいはい。よく頑張った、偉いね、凄いわ」
愛はグリグリと美緒の頭を撫でながら、無表情で台詞を棒読みするように言う。
「感情!感情どこに忘れてきましたか!?」
わっ!と大袈裟に泣き真似をしながら美緒は後ろを振り向き、そこに立っていた蓮の胸に顔を埋めた。
「蓮君、愛ちゃんが冷たいのです」
「ああ、可哀想に」
蓮がギュッと美緒を抱き締める。
「・・・あれだけ嫌がっていたのに、仲いいじゃない」
「あれ?河内さん、焼きもちかい?」
からかう口調に眉を寄せ、愛がシッシと手を振った。
「さっさと席に戻りなさい」
「愛ちゃんが焼きもち・・・、私、モテモテでしゅ」
「早く行きなさい!」
「あ!今夜お祝いするからうちに来てね」
美緒と蓮は席に戻り、もうすっかり習慣となった予習を始める。
「次のテストもバッチリだね」
「油断しちゃ駄目だよ。美緒は単純な計算間違いとかが多いんだから」
「うん」
そうして暫く予習をしていると、三好が教室にやって来た。
「おはよう。席に着けー」
「ヨシヨシ先生!私、変身が―――――うぎゃあ!」
飛んできた出席簿が美緒の頭を直撃する。
「ううー!痛いでしゅ、痛いでしゅ!」
美緒が頭を抱え、蓮が立ち上がって床に落ちた出席簿を拾い、二人の元までやってきた三好に渡した。
「佐倉、躾がなってないぞ」
「すみません。今日は少し浮かれていて」
苦笑する蓮の頭を出席簿で軽く叩き、三好は机に突っ伏す美緒の耳に口を近付ける。
「先生、大上はやれば出来る子だって信じてたぞ」
パッと美緒が顔を上げる。
「ヨシヨシ先生〜!」
首に抱きついてくる美緒の背中をポンポンと叩き、三好は黒板の前に戻った。
「エヘヘヘヘ、褒められちゃった」
「良かったね、美緒」
二人は微笑み合い、そのあまりのイチャつきぶりとはしゃぎぶりに、周りの生徒達がイラっとした。