第45話 (おバカ狼、変人に捕獲される編 終了)
放課後、再び屋上に行った美緒、愛、三好の三人は、そこにヨレヨレの制服姿で寝転がる蓮と優牙を見付けた。
「『お前、なかなかやるじゃないか』『お前も、な』そうして二人は互いの力を認め、堅く抱き合ったのだった。完」
「勝手に終わらせるんじゃねーよ!」
優牙が素早く立ち上がり、美緒の頭を拳で叩いた。
「うわーん!優牙が叩いたー!」
頭を押さえて騒ぐ美緒を、三好が撫でる。
「姉ちゃん!本当にこんな変態の事が好きなのか!?全裸で『恋人にして』って迫ったって本当か!?」
「ええ!?」
「あら、大胆ね」
事実が相当ねじ曲げられている。
慌てて否定しようとする美緒を、蓮がギュッと抱き締めた。
「僕達は愛し合っているんだ。引き離すことなんて、出来ないよ」
「え、いや、違・・・」
優牙はチッと舌打ちをして、制服に付いた汚れをはたいた。
「もういい。好きにしろ。純血は俺が守っていく。それより腹減った。帰ってメシにするぞ」
蓮が頷く。
「そうだね。お昼食べ損なったし。優牙君、今日の夕飯は何かな?」
「肉が食いたいな。愛も来いよ」
愛は両手を上げて、大袈裟に驚いた。
「珍しい!優牙が私を誘うなんて!」
「・・・うるせー」
プイと横を向き、優牙は歩きだす。
その後を、愛が続く。
「さあ、僕達も行こう」
美緒を引き摺るようにして、蓮も歩きだす。
「え、えええ?ちょっと、待って、何この急展開!なんで丸くおさまってんの?何がどーしてこーなるの!?ヨシヨシ先生!助けて・・・!」
しかし三好は、優しい笑顔で美緒に手を振った。
「良かったな大上。幸せになれよ。この先待ち受ける困難も、二人ならきっと乗り越えられるぞ」
「ええっ!?」
美緒は驚き、大きく目を見開いた。
その夜、大上家では、優牙が腕に縒りをかけて作った料理が並び、美緒と蓮を祝福する大宴会が夜遅くまで続いた。
「早く変身しないかなあ。いっぱい可愛がってあげるのに。ね、美緒」
「うぅ・・・。嫌。なんでこんな事になったんだろう・・・!」
優牙の手作りケーキをやけ食いしながら、美緒は涙を流し続けた。