表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/130

第42話

 愛は三好の研究室のドアをノックし、中に入った。

 美緒の襟首を掴んだ優牙が続く。

「来たか」

「『来たか』じゃねーよ。どうしてくれるんだ」

 優牙は三好を睨み付け、美緒をソファーに投げた。

「うぎゃあ!」

 三好は苦笑して椅子から立ち上がり、涙ぐむ美緒の頭を撫でた。

「佐倉に人外の存在を教える。予定通りだろう?」

「どこがだよ!二人が付き合い始めるなんて、予定に無かっただろーが!」

「恋愛は個人の自由だ」

「・・・・・!」

 優牙は腰に手を当てて、美緒を睨み付けた。

「姉ちゃん、あの変態が好きなのか?」

「ヒイィ・・・!」

 美緒は恐怖のあまり、三好にしがみついた。

「答えろ!」

 美緒がビクリと震えて、しどろもどろになりながら答えた。

「違、佐倉君、パンツ・・・」

「何の話をしている!!」

 優牙が腕を振り上げる。

 しかし、その腕を愛が掴んだ。

「いいじゃない。この先美緒にまともな恋愛が出来る訳無いんだから、確実に愛してくれる人と結ばれた方が、幸せよ」

「愛・・・!」

「そうだぞ、大上弟。以前はやる気のまったく無かった大上を、こんなに変えたのは佐倉だ」

「三好・・・!」

 優牙は愛の手を振り払い、歯ぎしりした。

「・・・姉ちゃんは貴重な狼女なんだぞ」

 愛が鼻を鳴らす。

「だから、好きでもない相手と結婚して、子供を産めって?美緒の意志は無視して。馬鹿じゃない?」

「お前みたいな混血に、純血の大切さは分かんねえんだよ!」

 声を荒げる優牙に、愛は頷く。

「そうね、分からないわ」

 愛は自分の頭にそっと手を触れ、優牙を真っ直ぐ見た。

「でも私は、自分の血も、この身体も、種族を越えて愛し合う両親も、誇りに思っているわ」

「・・・・・!」

 睨み合う二人―――――。

「・・・・・」

 先に視線を逸らしたのは、優牙だった。

 そんな優牙の肩に、三好が手を置く。

「佐倉はいい男だ。あっさり人外の存在を受け入れた懐の深さも、素晴らしいよな。多少変わった性癖があっても、それで大上が幸せになるならいいじゃないか」

 ポンポンと、三好が優牙の肩を叩く。

「・・・・・」

 優牙は唇を噛みしめて俯いた。

「え・・・?皆、私の意志は?無視?」

 美緒の呟きに答える者はいない。

 が、優牙は不意にある事に気付き、三好の胸ぐらを掴んだ。

「ちょっと待て。『性癖』って何だ?」

「・・・え?」

 三好が慌てて首を振った。

「いや、間違えた。性格だ性格」

「・・・・・」

 優牙は目を細め、美緒に視線を移した。

「し、知らないでしゅ!」

 美緒は必死に手を振る。

 更に愛に視線を移すと、愛は静かに目を逸らした。

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

「・・・・・」

 優牙は三好から手を離し顎に手を当て俯く。

「無類の犬好き、コロ舐めまくり、変態、パンツ・・・」

「待て待て、大上弟。ちょっと落ち着いて茶でも飲もうか」

 優牙がハッと目を見開き、美緒に駆け寄ってその髪を掴んだ。

「痛い痛い痛い!優牙!」

「そういう事なのか!?なあ、そうなのか!?」

「『そういう事』って、どういう事でしゅか!?」

「・・・・・」

 優牙は美緒から手を離し、ヨロヨロと後ろに下がった。

「信じられねー。まさか、本当にそんな人間が存在するなんて・・・!」

 両手で頭を掻き毟り、優牙は歯を剥き出しにして、三好を睨んだ。

「知ってて黙っていたな!三好も姉ちゃんも愛も!俺だけ何も知らずに・・・!許さねえ、あの変態!!」

 突然、優牙が走りだす。

「こら待て!大上弟!」

 三好の制止をを振り切り、優牙は駆ける。

 舌打ちをして、三好が優牙を追い掛ける。

「あの馬鹿・・・!美緒!行くわよ!」

「え・・・。どうなってんの・・・?」

 愛が美緒の腕を掴み、引き摺るようにして走りだした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ