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第33話

 月曜日―――――。

 美緒が朝、リビングに行くと、ソファーで蓮が寛いでいた。

「おはよう。弟君、先に学校行っちゃったよ。早くしないと遅刻だよ」

「・・・なんで家の中に居るんですか」

「玄関の鍵が開いてるから」

「あうぅ、成る程」

 蓮が朝迎えに来て、放課後は蓮の家に行き、帰ってきたら、夕飯を美緒・蓮・優牙の三人で食べる。

 それが当たり前のように繰り返され、次の週末には蓮は朝から美緒宅を訪れ、勉強を教えた。

「まだ捜査は終わらないのかい?いつになったらハニーに会えるんだ。君たちの両親も、いつも居ないね」

 蓮の中で、『ハニー』はすっかり警察犬になっていた。

「知らねーよ。うちの両親は出張だ。暫く帰ってこねーよ」

「え?そうなの?そう言えば、最近会ってなかったな」

 のんきな美緒に、優牙が呆れる。

「・・・知らなかったのかよ」

 蓮は溜息を吐いて、テーブルに突っ伏した。

「・・・ハニーに会いたい」

 蓮はテーブルに頬をつけたまま、ノートにペンを走らせる。



 会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい会いたい



「おいぃ!あいつヤバいぞ!」

 ノートに小さな字で『会いたい』と書き続ける蓮を見て、優牙は美緒の襟首を掴んで揺さ振る。

「佐倉君、ストレス溜まってるんだね。優牙、変身してあげたら?」

「絶対嫌だ」

 先日の事件以降、コロはすっかり大人しい犬となった。

 美緒を見ても、襲うことがない。

 まるで別犬のようになったコロに、美緒でさえ同情する程である。

 結局ノートが無くなるまで蓮は書き続け、溜息を吐きながら、夜帰って行った。

「・・・寝るか」

 優牙はまたもや蓮の異常行動を見てしまい、疲れ果てた表情で二階へと上がった。

「そだね。明日からテストだし」

「お前、よく平気だな。変態に耐性がついたんじゃないか?」

「えー?そんなこと無いよ。おやすみ」

「・・・おやすみ」

 美緒が自室へと入る。

 優牙も自分の部屋に入り、ベッドに身体を投げ出す。

「・・・あいつ、ただの犬好きじゃ、絶対ねーよ。三好め・・・、なに企んでやがる?」

 すぐに眠った美緒とは対照的に、優牙はなかなか寝付けず、何度も寝返りを打ったのだった。


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