番外編 「可愛い彼女にプレゼント」
PV2万突破しました。ありがとうございます。
14話に出てきた首輪のお話、蓮視点です。
僕は今日、素晴らしい体験をした。
ついに、運命のヒトと巡り合ったのだ。
興奮のあまり少し強引な事をしてしまい、恥ずかしがり屋の彼女は走って行ってしまったけど、僕の手には彼女が置いていった鞄がある。
クラスメイトの大上美緒・・・、きっと彼女の飼い主に違いない。
大上さんに頼んで、彼女を譲ってもらおう。
彼女だって僕と一緒に居たいと思っている筈だ。
高鳴る胸を押さえて歩いていると、ふと、今までは自分の趣味がバレるのが怖くて避けていた、ペットショップの看板が目についた。
そうだ、彼女にプレゼントを買っていこう。可愛い首輪がいい。
僕はペットショップの店内へと足を踏み入れた。
入ってすぐ、ガラス越しに見える子犬達。
思わず走って行き、ガラスにビッタリくっついて見ていると、店員が声をかけてきた。
「あの・・・お客様・・・」
そこで僕はハッと気付いた。
彼女へのプレゼントを買いに来たのだと。
何となく浮気した気分になり、心の中で彼女に謝りながら、僕は店員に訊いた。
「首輪を買いたいのですが、どこにありますか?」
店員は何故かホッとした表情になり、笑顔で首輪の売り場まで案内してくれた。
「ワンちゃんですか?ネコちゃんですか?」
僕は首輪をいくつか手に取りながら答えた。
「彼女にです」
「・・・・・」
僕は迷った末に、赤い、可愛い小さなリボンの付いた首輪を選んだ。
「これください」
「・・・・・」
「これください!」
「―――――はい!?」
モタモタしている店員に痺れを切らし、財布からお金を出して握らせると、僕はペットショップを出た。
手に持った首輪を見ていると、顔がにやけてくる。
この首輪をはめた彼女と過ごす甘い日々を想像しながら、僕は家に帰った。