なんで????
「ごめん。そのキモい口調で話しかけないでくれ。」
はぁ。これで11回目。コイツにフラれるのは。
今私をフッたコイツ、只野友和は特別かっこいい訳ではない。特別に性格がいい訳でもない。The・普通の男子って感じ。なぜこの私がコイツなんかに何度もフラれなきゃいけない羽目になったって?
それは昔々、2週間前の話。いつも通り、クラスで仲のいい佐藤恵梨と山田聡子とで、次に私がオトそうとしている人を話していた。
そう。この私、河合香住は人生で、一度たりとも狙った獲物を逃したことはない。つまり、私がアプローチした男子は、こぞって私に恋に落ちた。もちろん私は男子たちを好きだった訳ではない。ただ単に、簡単に私の事を好きになる様子を楽しんでいた。私はとっても可愛い。それに男子達が好きな仕草、性格、距離感も心得ている。私に言い寄られて好きにならない男子がいるはずがないの。いるはずがなかったの。
確か恵梨が言ったのかな。
「次は只野オトしなよ。」
「そうだねぇ。次は只野にするわ。」
私は恵梨にノった。まぁ別に誰でも良かったしね。早速行きますか!
「ねぇねぇ只野君? 前から少しお話したいなって思ってたの。よかったら今日の昼休み一緒にご飯食べない?」
「結構です。」
は? この私が!この私が頭から下げてお願いしてんだろ!「結構です。」はねぇだろうが!
そこから私は意地になった。何度も何度も何度も何度も何度もアプローチをした。だが何故かコイツは一向に私を好きにならない。なんでよ。
そして10回目
「ねぇねぇなんでそんな冷たい態度とるのぉ? ぶっちゃけ私の事好きでしょ?」
「そういうの要らないから。それ色んな男子にやってるでしょ。正直キモいよ。」
はぁあ?キモいとまで言いやがったね。今まで誰にも言われたことなかったのに!
―――そして今回
「ねぇねぇ。一回くらい一緒に昼ごはん食べようよぉ。」
「ごめん。そのキモい口調で話しかけないでくれ。」
ここで私の中の何かがキレた。
「何なのよあんた! なんで私の事好きにならないのよ! なんでそんなそっけないのよ!」
「ふぅん。それが本性ね。」
しまった。私としたことが、あまりにも只野が私になびかないもんだから素が出てしまった。
「顔は良いんだから、もっと素の部分出した方が可愛いよ?」
「うるさい! だまれ! しね!」
もうだめだ。これ以上コイツと関わると良くない気がする。もうオトすのは諦めよう。
恵梨達のもとに帰ってきたらニヤニヤしながら言われた。
「顔赤いよ? どうしたの?」
「うるさい! 暑いの!」
なぜかまだニヤニヤしている恵梨と聡子を尻目に私は蹲っていた。
基本、毎日書きます