第71話 女の子パーティー!
「お肉を獲りに一緒にモンスター狩りに行きませんかリンナファナさん。私もリンナファナさんから教わる事いっぱいあると思うんですよ」
はて、ロリっ娘ちゃんに私が教える案件なんて何かあっただろうか? 何にも思いつかないんだけど。ほっかむりの仕方かな?
でもその誘い乗った!
私の頼れるお姉さん像の件もあるし、何よりやっぱりこの子とは一緒に冒険したいんだよね。
私の隣にいたジーニーちゃんも参加を表明すると、『ずるい! 私も行く!』とミーナスちゃんも付いてきた。
十歳に十一歳に十三歳に十七歳+フィギュアの少女パーティーの夢がいきなり実現してしまったので、私のテンションはうなぎ上りだ。
かつてこんなに興奮できるパーティーが存在しただろうか!
もし許されるならば、ロリ天国バンザイと私は声を大にして言いたいところだ。
「声に出てますからリンナファナさん」
「いってらっしゃーい」
「お肉取ってきてねー」
子供たちの声援に見送られて夢でできたパーティーは出撃した。
空には警戒しているのかドラゴンが飛んでいる。心配性なのねあのドラゴン。
キャットドラゴンが一番心配そうに見つめているのが私の気がしてならないんだけど、気のせいよね。私は頼れるお姉さんなんだから。
山の中腹までは本当に呑気なハイキングだった。
モンスターのモの字も無く、時折鳥や小動物を目にする程度なのだ。
ただ山を下るのに慣れていない私の足はガクガクだ。もう転がって下りた方が早いんじゃないだろうか。
ローティーン組は軽やかに降りていくのに、これが若さの違いか。いやきっと胸の重量の差に違いない。きっとそうだ。
「コムギちゃんの方が胸が大きもがもが」
何かおかしな事を言った気がするフィギュアちゃんの口に、クッキーを挟んで黙らせた。
そろそろモンスターが出る頃だし、迂闊に声を聞かれちゃまずいからね!
そう、私たちが山の中腹を越えた辺りからモンスターの気配がしてきた――
とロリっ娘ちゃんが言っている。
私がモンスターの気配を察知? できると思ったら大間違いだよね。
ロリっ娘ちゃんが警戒態勢を取った。
「止まって、前方に一体」
「そ、そうね、かなり凶悪な気配がするわね、みんな気をつけて」
「凶悪な気配がするの?」
「こ、怖いよ」
ジーニーちゃんとミーナスちゃんが緊張して震える中、ガサガサと草むらを掻き分けて出てきたモンスターは――
体長二十センチ程度の昆虫型モンスターの〝てんとうビートル〟君だった。
見ないで、何でみんな私を見たのかな?
「わ、私がこいつやっていい?」
手を挙げて宣言したミーナスちゃんがそっと近づき、危ない剣の代わりに持って来た草狩り用の鉈でモンスターを一撃。
モンスターはカクンと裏返り、彼女は見事な人生初撃破を飾ったのである。
「やった! 私がやったよ!」
「おめでとうミーナス、でも浮かれちゃだめだよ。リンナファナさんが言ったように、モンスターは全て凶悪な魔物としてかからないといずれ自滅するからね」
「はい! お姉さんたちの教えを肝に銘じておきます!」
ええ子たちやー。ロリっ娘ちゃんに一生ついて行きたいんだけどいいですかね。
せっかく討伐したモンスターだけど、こいつは虫なのでお肉にはならない。次なるお肉の登場が待たれるところだ。
前方を歩いていたロリっ娘ちゃんがまたもや皆に合図を送る。
「もう一体の気配がします」
「そ、そうね、今度こそ凶悪な気配がするわね、間違いない。みんな気をつけて」
「今度こそやばいの?」
「ごくり」
緊張する私たちの前に草むらから現れたモンスターは――
体長三十センチくらいのとても可愛いウサギ型モンスターの〝もふもふウサウサ〟だ。
みんな何故私を見た。モンスターはあっち。
「た、確かにこれは凶悪ですね」
「凶悪な可愛さだよ」
「お姉ちゃんは悪くない」
気を使われると泣きそうになるからやめて。
今度はジーニーちゃんが捕まえた。
女の子ばかりなのに早くもモンスター二体の戦果だ。なかなかいいよこのパーティー。
そのモンスターはめちゃくちゃ美味しい事で私の中でも評判なのよ、今夜はウサギ汁だね!
「可愛いね」
「モフモフ」
「名前何にしようか」
おいこらキミたち。飼う気か。
しかしそれにしても、モフモフうさちゃんを抱く少女たちの図のなんと神々しい事か! ああっ眩しすぎてあの少女たちの中に私は入っていけない!
ウサギを見て速攻でお腹を鳴らした私は薄汚れてしまった!
もだえ苦しむ私を見て、ロリっ娘ちゃんが慌てた。
「じょ、冗談ですよリンナファナさん、飼いませんよ。山の上の子供たちに、モンスターなんて危険物を近づかせるわけにいかないじゃないですか」
ドラゴンという超大物が既にいるけどね。
「こんな小さなモンスターは必要ありません、私たちの獲物はみんなでガッツリ食べられる量じゃないとだめですからね」
そう言ってロリっ娘ちゃんがウサギモンスターを放してやる。キャッチアンドリリースである。
「あう」
「あう」
「あう」
飼う気まんまんだったジーニーちゃんとミーナスちゃん、そして食べる気まんまんだった私の小さな悲鳴である。
その時、ロリっ娘ちゃんが『警戒!』と言って身構えた。
ガサガサと草むらを掻き分けて何かが近づいてくる。
さすがに私だって学習したわよ、もう凶悪なやつだというセリフは吐かない。
どうせまた体長数十センチのちっこい奴なんでしょ? 今度は何? タヌキかしら、よし今度は私がとっ捕まえてタヌキ汁の出番にしよう。
構える私の目の前に現れたのは――
三メートルは超えようかというクソでっかい熊型モンスターじゃねえか! 凶悪な奴出ちまったよ!
目の前の草むらは五十センチくらいしかないのに、どこから出てきた!
改めてフラグを立てるという行為の恐ろしさが身に染みたわね!
「あわわわわわ」
ミーナスちゃんとジーニーちゃんが腰を抜かしたようだ。
因みに一番最初に腰を抜かしたのが私である事は言うまでもないだろう。
空を見上げると直援機の姿が無い、ドラゴン様はどこに行った! と思っていたら、ちょっと先で『ガオー』『ギャオー』と怪獣大戦争のような音が聞こえてきた。
恐らく私たちに接近していたもっと大物と格闘しているのに違いない。
という事は、この熊は私たちだけでなんとかしないといけないのか!
女の子ばっかりのパーティーでコレをどうしろと言うんだよ。
こんなん絶望しかないじゃないか――
とか思っている間に、ロリっ娘ちゃんがワンパンで倒してしまった。
まさしく『パン』である。
すげー!
これが元勇者パーティーメンバーの実力なのだ!
この四人の中にもう一人元勇者パーティーメンバーがいたような気もするけど、気のせいかな。
「うまい具合にお肉が取れました、これなら皆で食べられる量はありますね。こんな大物を目の前にしても平然とした態度、リンナファナさんはさすがですね」
私腰抜かしてるだけですけど。
次回 「妖精の子が知らせてきた緊急事態」
リン、子供たちの楽園に危機が訪れている事を知る




