24 魔族の状況
「頼っていいって言ったのに私たちが頼っちゃったね。」
「もう大丈夫なの?」
「大丈夫、だよ。ありがとう、ね。」
「ならよかった。」
私は展開していた羽を体内に戻し、二人から離れる。
「コォォーン」
「そんなに怒らないでよ、ハク。ほらこっちきて。抱きしめてあげるから。」
どうやら、ハクだけ仲間外れにされたように感じたらしく、ハクも抱きしめてほしいようだ。私はハクをぎゅうぅっと強く抱きしめる。
「ほら一緒だよ、ハク。」
「コォォーン!」
抱きしめられたハクは私に頬ずりをする。
抱きしめるだけでもふわふわで気持ちいいのに、さらにこんなに反則的なかわいさを持っているなんて………ハクは最高だよ。
「えへへ。」
思わず笑みが溢れる。というかニヤニヤが止まらない。
「ずっと無表情だったレティアちゃんが笑ってる………」
「わ、私も、ハクちゃん、抱きしめたい。」
「私はレティアちゃんがいいなぁ〜。」
「今、何か言った?」
「な、なんでもない!」
タルトとイルアが何かを話していたが、この時はハクに夢中だったため聞き取ることができなかった。
「レティアちゃん、ハクちゃん………そろそろいいかな?」
「「………?」」
結局、私はタルトに止められるまで約三十分間、ハクを抱きしめていた。もう少しモフモフを堪能していたかったけど、グレストに向かわないといけないし、魔獣に襲われる可能性もあるから、ここは一旦我慢してハクから離れた。
ちなみに、ハクは満足げな表情で私の左肩まで戻ったので、きっと機嫌は直してくれたのかな?
というわけで、現在私はタルトとイルアに案内をされてグレストへ向かっている。途中で何体か出てきた魔獣はレベルアップしてさらに強くなったハクに瞬殺されている。
「レティアちゃん!グレストは私とイルアの故郷でね、とにかくいい街なんだよ!!」
「そ、そうなんだ………どんなところなの?」
「タルト。勢いが強すぎて、レティアちゃんが少し引いてるよ。」
「グレストはね、植物を街づくりに多く取り入れていて、緑が多い街なんだ!あと栄養豊富な森や川が近くにあるから、山菜や川魚、それと魔獣肉が有名なところなんだ!」
「聞いてないね。それほどタルトはグレストが好きってことがわかるけど………。」
「まぁ、話をまとめる、と、グレストは、自然が多くて食べ物が美味しいところ、だよ。」
「あとグレストはレティアちゃんでも過ごしやすいと思うよ!」
「確かに、レティアちゃんには、過ごしやすいところ、だと思う、よ。」
「どうしてですか?」
「グレストは魔族に対する偏見がない街だからね。」
「………」
やっぱりそういうのは残っているのか。どうやら、一部の国では人と魔族は共存できていないらしい。
「聖国や聖国付近の国はいまだに五百年前の魔族との戦争を引きずっているから困るんだよね。あそこら辺は、魔族は悪いとか魔族は人類の最悪の敵だとか、偏見が多くて魔族が過ごしにくいところなんだよ。」
「過激派の魔王が、存在する、から、それに対処している、という理由を使って、過激派じゃない、普通の魔族まで、嫌わなくても、いい、のに。」
「過激派の魔王、ですか?詳しく知りたいです。」
「いいよ。まず現在、魔族もしくは人に魔王と認められてる魔族は九柱いるんだ。そのうちの五人が過激派と言われる魔王、残りの四人が友好派と言われる魔王で、魔王に従う魔族は二つの派閥に分かれている状況なんだ。」
「過激派、と言われる魔王、は、聖国みたいに、人を嫌っていて、人を絶滅させようとしたり、あとは、滅茶苦茶に暴れて、ありとあらゆる物を破壊しようとしたり、とか、を考えてる魔王、のこと。それと、その配下や、従ってる魔族、の、通称のこと。」
「友好派は、西の方にある魔族の国を管理している四人の魔王とその配下や国にいる魔族の通称のことだよ。過激派とは真逆で、人と友好的な関係を保とうとしているんだ。」
「今の魔族、は、絶妙なパワーバランス、を、保っている、けど、もし、崩れたら、戦争が始まる、と、言われている。」
「レティアちゃんは強いから、魔族のパワーバランスに巻き込まれないように気をつけてね。」
「わかりました。(善処はしようかな。できれば。)」
わかったとは言ったが、巻き込まれないとは言っていない。
私がレティシアに託されたのは平和な世界を守ること。もし、そんな世界を壊そうとするなら……私は……相手が魔王でも戦う。
平和な世界を守ることが、レティシアが私に託した事であって、レティシアに造られた私が全うすべき事だから。
「あっ!グレストが見えてきたよ、レティアちゃん!」
タルトが指差す方を見ると、魔獣の侵攻を防ぐために聳え立つグレストの街の高い外壁が見えてきていた。
「あまり遠くなかったんだね。」
「あそこ、は、グレスト、から、二十分くらい、の、ところ。」
「ほらー。イルアもレティアちゃんも急いでー。置いてっちゃうよー。」
後ろでイルアと話していると、タルトが駆け出していく。
「タルトが、ごめんね、レティアちゃん。このままだと、置いて、いかれちゃう、から、私が、走って、止めてくるね。」
続けてイルアがタルトを追いかけて、駆け出していく。
私とハクはその光景を見てクスリと笑うと、
「私たちも置いていかれないように走ろっか?」
「コォォーン!!」
二人を追いかけて走り始めた。
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