23 甘やかす?
少し百合?的な要素があるよ。苦手な方は気をつけてね。
「えーと、二人はここで何をしてたの?」
私はタルトとイルアにいろいろなことを聞いてみることにした。
「グレストのギルドの依頼を受けて、この森の調査に来てたんだよ。」
「最近、こ、この森で異変が起こってる、から。その調査の依頼を受けて、チームを組んで、来た。」
「レティアちゃんも依頼を受けて来たんじゃないの?」
「依頼は受けてないよ。私は遠いところから旅をしていて、この近くの街に向かう途中でこの森に来ていたんだ。」
さすがに、先代の魔王にこの森で作られ、【魔王】を引き継いだ、と言うわけにはいかないので、遠いところから旅をしていると誤魔化した。
「その歳で一人で旅をしてるの!?大丈夫?」
「ハクがいるので大丈夫です。心配してくれてありがとうございます。」
「無理、したらダメ、だよ。私たちを、頼って、いい。」
「はい。何かあったら頼らせてもらいます。」
タルトとイルアは優しくて、嘘を付いているのがとても申し訳ないが、今は仕方のないことだと割り切る。
「唐突だけど、レティアちゃんはグレストに向かっているんだよね?」
「グレスト?」
そういえばさっきのタルトの話で出てきていたな。推測するに街の名前だと思うけど………。
「グレストは、ここから一番近い、街。多分、レティアちゃん、が、向かっている街、だと思う。」
どうやら魔桜が言っていた人間の街は、グレストと言う名前の街らしい。
「あの、レティアちゃん。提案というかお願いがあるんだけど………。」
「なんですか?」
「私とイルアはゴブリンのスタンピードのことをギルドにできるだけ速く報告しないといけないんだ。それでこの後グレストに戻らないといけないんだけど……レティアちゃんもグレストに向かうのなら一緒に来て欲しい………。」
「別にいいですけど、どうしたんですか?」
元気がなくなっていき、声もだんだん小さくなるタルトに私は優しく問いかける。
「レティアちゃんとハクちゃんに助けてもらえてなかったら私はきっとゴブリンに殺されていて、そしたら急に恐くなって……手や足が震えて……だからレティアちゃんがいないと不安で……心細くて……」
「………タルト。」
「ごめんね、レティアちゃん。変なこと言っちゃって。迷惑だったよね……。」
「こっちにきて。」
「………!?!?!?」
私はタルトを呼ぶとギュッと強く抱きしめ、優しく頭を撫でる。
「大丈夫。大丈夫だよ。ほら落ち着いて。」
「うぅ、レティアちゃん。」
タルトは私の胸に顔を埋めて静かに泣き出した。私はただタルトの頭を優しく撫で続ける。
「……イルアは大丈夫なの?」
「!?………んっ。」
イルアは驚いたような表情を見せると、少し悩んでから私のところへ来た。私はタルトと一緒にイルアも抱きしめ、さらに背中の羽で二人を包み込んだ。
イルアも手や足が震えていて、放っておくことが出来なかった。
「大丈夫だよ。」
私はそっと二人に囁く。タルトとイルアは私とハクが助けなければ、あの後死んでいた。二人は死にかけたことで、死を身近に感じた。今の二人は死の恐怖に襲われているのだろう。
「きっと、どうしようもなく怖いんだよね。大丈夫。私がいるよ。」
こうして私は、タルトが泣き止みイルアの震えが止まるまで、二人を抱きしめ続けていた。
◇◇◇【sideタルト】◇◇◇
目覚めた時、真っ先に私はイルアと生きてることを喜んだ。レティアちゃんとハクちゃんに助けられていなかったら死んでいたから。
私はあの時、あれを使ってゴブリンと戦い、イルアが逃げる時間を稼いで殺されるか、それともあれの制御に失敗して暴れ狂い、最終的に力を使い果たして死ぬ、のどちらかが私に残されていた選択だったから。
そんな私の結末をレティアちゃんとハクちゃんが変えてくれた。
そのため、助けられた直後は生きていることへの安堵と感謝の気持ちでいっぱいだった。何千回何万回とお礼の言葉を告げても足りないほどに感謝している。
でも、時間が経つにつれてとある感情が湧き上がり、二つの気持ちを塗り潰していった。それは、死への恐怖という人が捨てることのできない感情だった。そして、私の心は死への恐怖に支配された。
私を蝕む死への恐怖を、誰でもいいから払拭してほしかった。だから、レティアちゃんに頼ってしまった。また私を救ってくれるだろうと思い頼ってしまった。きっとレティアちゃんは私よりも年下で、本当は私がレティアちゃんに頼られないといけないのに………。
でも、そんな私をレティアちゃんは受け入れてくれた。私を優しく抱きしめてくれて、頭を優しく撫でてくれて、優しい言葉をかけてくれて、とてもとても温かかった。
レティアちゃんの温もりが、私の恐怖に支配された心を開放してくれた。
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