19 新しい仲間
『それじゃあこれは私のお願いをなんだけど………この子をレティアの眷属にして旅に連れて行ってほしいんだ。』
「コォォーン!?」
狐の魔獣が驚いたような鳴き声をあげた。どうやら狐の魔獣もこのことを知らなかったようだ。
というか私も驚いたが、自分よりも驚いている狐の魔獣を見たらすぐに冷静になることができた。自分よりも驚いている生物を見ると冷静になれるというのは本当だったようだ。
『レティアはどうかな?』
可か否かを聞かれ、私は即座に答えを出す。
「えーっと、私としては連れていくのはいいよ。【眷属化】もなんとなくだけど使い方がわかるし、桜の声の願いを聞くことはできるよ。だからあとはあの子次第かな。」
『そう、前向きに検討してくれてありがとう。』
桜の声は私にお礼を言うと、狐の魔獣と真剣に話し始めた。
『ちょうどいい機会だと思うんだ。君の巣立ちに。君は小さい時に私のところへ来てから、ずっとここで私と一緒に暮らしてきたよね。いつしか小さかった君は成体の魔獣になっていて、それでも私からしたらずっと幼体の魔獣だったけどね。』
「…………」
狐の魔獣は何も言わずに桜の声を聞いている。
『だけども昨日、私を守るために戦おうとした君の姿を見てね、認識をあらためたんだ。君は立派な成体の魔獣だって。そしてもったいないと思ったんだよね。こんな狭い世界で私と暮らして一生を終えるより、外に出て多くの経験を積んだ方が君にはいいと思うんだ。君はね、強くなれるよ。いつか私よりも強くなれる。』
「コォォーン?」
『本当だよ。だからさ、今度はレティアと一緒に外へ行って私よりも強くなってここに戻ってきてよ。わたしをずっと守ってくれるくらい強くなってさ。』
「…………コォン。」
『寂しいの?まったくしょうがない子だね、君は。これをあげる。これが有れば寂しくないでしょ?』
その時、システムの言葉が響いた。
[種族:白狐は称号スキル 【魔桜の守護者】を獲得しました。]
「コォーーン!?」
『これで寂しくないよね?』
「コォン!!」
狐の魔獣は桜の声に元気よく返事をすると、私のところへ来た。目の前の狐の魔獣は覚悟を決めた顔をしていて、私はそんな狐の魔獣の頭をそっと撫でる。そして私は【眷属化】を発動させた。
[白狐の眷属化に成功しました。]
[白狐の名前を決めてください。]
眷属化の成功を知らせるシステムの言葉が響く。そして、私がこの子の名前を決めないといけないようだ。
「名前か……。じゃあ君はハク。これから君はハクだよ。」
「コォォーーン!!」
私の名前を受け入れるように狐の魔獣………ハクが吠える。すると、再びシステムの言葉が響く。
[ハクは進化可能なレベルです。進化させますか?]
[はい] [いいえ]
どうやらハクは進化が可能なレベルになっているらしい。
私がハクの方を見ると少し緊張しているようだけど、それ以上に進化して今よりも強くなれる自分にわくわくしているようだった。
そんなハクの姿を見て、私は[はい]を選択する。するとハクの進化の選択肢が出てきた。どうやら私は、眷属であるハクの進化先を選ぶことができるようだが、私はハクが自分のなりたい姿になれるように、自分で選ばせる。
しばらくして、ハクの進化が始まった。ハクは私の目の前で眠りにつき、肉体が作り変えられていく。全身の白い毛に桜を思わせる桃色が混ざり、1.2メートルほどの大きさだった体が2メートルくらいまで大きくなった。
進化が終わるとすぐにハクは目覚めた。自分の体を確認するような動きをしているハクに、私は【鑑定】を発動させる。
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名前:ハク
種族:桜白狐 D
LV:1/25
HP:40/40
MP:60/60
筋力:25
耐久:30
敏捷:40
魔力:60
称号スキル
【魔王の眷属】
【魔桜の守護者】
特殊スキル
【拡大縮小LV1】
【千桜花LV1】
【MP高速回復LV1】
魔法スキル
【火属性魔法LV4】
耐性スキル
【火耐性LV3】
通常スキル
【鋭牙LV2】
【鋭爪LV3】
【魔力操作LV5】
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【桜白狐】 ランク D
とある称号スキルの影響を受けて白狐が進化した姿。白い毛に桜のような桃色が混ざり、美しい外見をしている。戦闘能力は高く、千桜花を使いこなし敵を切り刻むと言われている。
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ハクは魔法が扱いやすいステータスとスキル構成になっており、私が操血を使って相手を抑え、ハクが後ろから魔法で攻撃をするなどの戦い方ができそうだ。
ハクのスキルも鑑定で確認しておく。
【魔王の眷属】は私の眷属になった時に獲得したスキルで、私の【魔王】には及ばないものの成長補正がかかるようだ。
【魔桜の守護者】は持ち主の進化の可能性を広げて、さらに持ち主に【千桜花】を与えるスキルだった。【千桜花】はMPを消費して、鋭利な桜の花びらを生み出し操作するスキルであり、戦闘ではとても役に立つだろう。
【拡大縮小】は自分の体の大きさを自由に変えられるスキルで、大きくなる時はMPを消費するようだが、小さくなる時はMPを消費しないらしい。
ちなみにこの後、一通り自分の体やスキルの確認が終わったハクは、このスキルを使って30センチほどの大きさになると、私の肩の上に乗ってきた。魔桜(桜の声と呼んでいたが魔桜という魔樹の一種らしい)はそれを笑って見ていた。縮小すると体重も小さくなるようで重くなく、むしろふわふわで温かいので私はそのまま何も言わなかった。
話は戻って【火属性魔法】と【火耐性】は名前のままで、火の魔法と火に対する耐性だった。
【鋭牙】と【鋭爪】は牙や爪を使う時に補正がかかるスキルで、威力が上昇するようだ。
―――
『それじゃあ気をつけてね。』
魔桜の言葉に私は頷き、ハクは返事をする。魔桜によると朝、ハクと行った川を下流に向けて歩いていくと人間の街があるらしい。私は目的地をそこに決めると、ハクを肩に乗せて再び森の中を歩き出した。
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