18 二つ目のお願い
書いては消してを繰り返しているから、執筆が全然進まない。上手く文章を書けるようになりたい。
「すごく冷たいね。」
「コォォーン。」
現在、私と狐の魔獣は桜の木の近くを流れている川に来ていた。なんでも、この子は毎朝ここで体を洗ったり、魚を取ったりしているらしく、私も桜の声に眠気覚ましになるからと言われ、この子と一緒に川に来ていた。
「確かにこの冷たさだったら眠気が覚めるね。」
川の水は冷たく、手に水を溜めて顔を洗うと眠気が一気になくなった。隣ではあの子がバシャバシャと前足をうまく使って全身を洗っていた。
それと桜の声によると、この川の水は飲めるらしいので、【収納】に水を入れていつでも飲めるようにしておいた。
「そういえば私も体を洗った方がいいのかな?」
私は自分の体を見てみるが汚れは一つもない。どうやら吸血鬼の体は便利なもので、垢や汗などの汚れは出ないようだ。
自分の体を洗う必要性がなくなったため、その代わりに今着ている服を洗おうとしたが、レティシアによって魔法付与されていた服は【自動洗浄】や【自動修復】などの効果を持っており、私が洗う以前にきれいになっていた。
「性能が良すぎて一生この服着ていられそうだな。」
半分冗談、半分本気でそんなことを考えた。
それはさておき、やろうと思っていたことが全て終わってしまった。そのため、辺りを探索してみる。周りには上流から流れてきた思われる流木や削られて丸みを帯びた岩がたくさん散らばっていた。それと最近に大雨があったのか、木の葉などのゴミが多く流れ着いていた。
「これでいっか。」
私は漂着物の中から適当な大きさの岩を探し出すと、その岩の上に座り、川の中で狐の魔獣が魚を取ろうとしているところを眺める。
狐の魔獣は魚取りを毎日行っているようで、慣れた動きで石の上を跳躍していき魚にバレないように近づくと、右前足を魚影を引っ掻くように動かし、その結果、魚が宙に放り投げ出されていた。そして空中を漂う魚を口でキャッチすると、ご機嫌な様子で私のところに戻ってきた。
(魚を取る動きが完全に熊だな。)
そんなことを思ったが、心の中に秘めておく。
「すごいね。とてもかっこよかった。」
戻ってきた狐の魔獣の頭を撫でながら褒めてあげると、狐の魔獣は誇らしそうにしていた。その後、狐の魔獣がもう1匹魚を取ってきたので、私と狐の魔獣が1匹ずつ持って、桜のところまで戻った。
『お帰りなさい。朝食の準備は終わっているからあとはその魚を調理するだけだよ。』
「コォォーーン。」
『少しだけ待っててね、レティア。すぐに終わるから。』
狐の魔獣が持っていた魚をお皿がわりの大きな葉っぱに乗せると、火を発生させこんがりと焼いていく。私が持っていた魚は桜の声が【千桜花】で捌いていき、お皿の上にきれいに並べられたお刺身になった。
「…………すごい。」
あっという間に魚が調理されて私の前に並ぶ。桜の声が私と狐の魔獣が川に行っている時に調理していた野菜や果物も並び、朝食に華やかさが出た。
「食べていいの?」
『食べてもいいよ。ほらどんどん食べてね。』
私は早速焼き魚に手を伸ばす。香ばしい匂いが私の鼻腔を通り抜けて食欲をそそる。
「ん〜んんっ!?」
焼き魚は絶妙な焼き加減で脂が乗っており、とても美味しかった。お刺身は近くにあったという岩塩が振りかけられていて、本来の味とマッチしていてあまりの美味しさに癖になりそうだった。しばらくの間、私と狐の魔獣は集中して朝食を食べていた。そしてそれを巨大な桜の木が見守っていた。
『食事中に悪いのだけど気になっていることがいくつかあって、質問してもいいかな?』
私と狐の魔獣がデザートの果物を食べていると、質問したいことがあると桜の声が話しかけてきた。
「答えられることだったらいいよ。」
断る理由もないので自分が答えられることだったらいいよと返答する。
『確認なんだけど、鑑定した時に種族が吸血鬼になっていたんだけど、レティアは本当に吸血鬼なの?日光の下を普通に歩いているから疑問なのだけど。』
「本当に吸血鬼だよ。日光の下を歩けるのは【日光耐性】を持ってるからだね。」
「そうなんだ。じゃあ吸血鬼だったら【眷属化】のスキルを持ってるよね?」
「持ってるけど。それがどうかしたの?」
『レティアにお願いがある。』
真剣な口調で桜の声は私にそう言った。桜の声の雰囲気が変わり、私と狐の魔獣は一旦食べるのを中断する。
「できることならきくよ。こんなによくしてもらってるし。」
『ありがとう。これも確認なんだけど、レティアは元々旅をしていたの?』
「まぁ旅といえば旅をしていたね。」
『それじゃあこれは私のお願いをなんだけど………この子をレティアの眷属にして旅に連れて行ってほしいんだ。』
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