12 進化
考えて書いていたら全然進まなかった。
「こんな感じでいいかな。」
今は、早く進化したいという気持ちを抑えて、環境を整備をしている。なぜなら、レティシアの進化に関する記憶を見たら、進化とは自分が強くなるための行動だが、進化の間は大変危険という諸刃の行動だということがわかったからだ。
そのため、現在一時的に洞窟の奥へ続く道を操血で血の壁を作って封鎖したり、私が落ちてきた穴も同様にして封鎖したりと、環境整備のようなことをしている。
「………」
[進化とは肉体を作り変え、別の種に変化すること。]
そのようにレティシアは考えていた。そのため、肉体が作り変えられる進化の間は、抗うことのできない強烈な眠りに襲われることになる……らしい。そして、その眠りからは進化が終わるまで目覚めることはない……らしい。
らしいとは、レティシアの進化に関する記憶を覗いたのだが、不鮮明で欠落している部分もあり、詳しいことがわからなかったからだ。
とにかくまとめるならば、進化とは上位の種に変化して強くなることだが、進化している間は無防備になるという諸刃の刃と言える行動だった。
「まぁ、地下室を出た日に進化することになるなんて思わなかったし、レティシアも予想してなかっただろうな。」
自分の身を守れるように環境整備をしつつ、そんなことを呟いた。
「そもそも1日でLVが上限にまで上がるとかありえるのかな?LVの上がりが早いにしても、もう少し時間がかかると思っていたのに。」
次に洞窟に散らばる討伐したケイブバットの死体を収納に入れていきながら、そのようなことを呟いた。
「獲得経験値が増えるスキルでも持っているのかな?さすがにこんな速度でLVが上がるのは異常だと思うのだけど。」
他の魔獣がこんな速さで成長していたら、平和な世界になる前に人や魔族が絶滅してる。これは私だけに働く何らかの力のおかげだと思う。そうなると【魔王】が影響している考えられる。でも私が鑑定で調べた時に獲得経験値を増加させるような力はなかったはず。
レティシアの記憶を覗いて、【魔王】について調べてみれば何かわかるかな?今度は【魔王】についてレティシアの記憶を覗く。レティシアの記憶を覗き続けること約十分。私が求める答えを見つけることができた。
【魔王】には、確かに獲得経験値増加というスキルが含まれていた。でもこのスキルは、私が鑑定をして調べた時には含まれていなかった。でもその理由はすぐに分かった。
そもそも【魔王】というスキルは多くのスキルを統合したような物であり、所有者に莫大な恩恵を与えるとされているスキルだ。そして統合されている物の中に獲得経験値増加というスキルがあった。
しかし、一部のスキルを除いて、獲得経験値増加を含む他のスキルが最初から使えるわけではなかった。それらのスキルはロックされており、ロックを解除する条件を満たした時に初めて使えるようになった。
つまり、私が鑑定した時は使えなかったから獲得経験値増加についての表示はなかった。しかし、どこかのタイミングでロックを解除し、使えるようになったため、私が獲得する経験値が増えたということだった。
「進化の準備をしていただけなのに、すごいことを知ってしまった気がする。まぁ、気にしないでいいかな。」
[LVが上限に達しています。進化しますか?]
[はい] [いいえ]
システムの言葉が私に聞いてくる。私は迷わず[はい]を選択する。
[進化先を表示します。選択してください。]
―――――――――――――――――――――――――――
現在 レッサーヴァンパイア F
進化先 ヴァンパイアリッチ D+
ハーフヴァンパイア D
ブラッドヴァンパイア D+
【ヴァンパイアリッチ】 ランク D+
魔法を使うことに適している吸血鬼。MPの量や魔力などの魔法に関わるステータスが成長しやすい。過去に異常個体が現れ、一発の魔法で直径5キロのクレーターを作った。真祖に至る吸血鬼の最初の姿と言われている。
【ハーフヴァンパイア】 ランク D
吸血鬼と人との種族の混血の吸血鬼。身体能力が強化され、魔法は吸血鬼が適性を持つ闇属性以外にも適性を得ることがある。また、吸血鬼の弱点である日光をある程度克服している。そのため、人の街で正体を隠して暮らしている個体が多く存在する。
【ブラッドヴァンパイア】 ランク D+
吸血鬼特有のスキル【操血】を扱うことに特化した吸血鬼。【操血】の汎用性の高さから使いこなすためにも、ステータスが偏りがなく育つ。同ランクの吸血鬼の中では最強であり、過去に討伐に向かった冒険者を100人以上返り討ちにした話が残っている。しかし、他の吸血鬼よりも吸血鬼衝動が強く、吸血衝動が訪れる周期も短い。真祖への最初の姿と言われている。
―――――――――――――――――――――――――――
いろいろな進化先が出てきたが、選ぶのはヴァンパイアリッチかブラッドヴァンパイアの2択だろう。
なぜなら、ハーフヴァンパイアのメリットである日光の克服を、私は既に達成している。それに人の街でこそこそと暮らす生活を送ろうとしているわけでもないしね。
私は平穏な生活よりも、レティシアの願いを叶えられる力が欲しい。それこそ、進化していけば真祖へ届く可能性のある種の力が。
ヴァンパイアリッチかブラッドヴァンパイア。どちらかと言うと、説明を見る限り【操血】を扱うことに特化しているブラッドヴァンパイアの方が私に向いていると考えられる。
今までの戦闘は全て操血を使っていたが、まだ完全に使いこなせていないと感じている。だけど、ブラッドヴァンパイアは操血を扱うことに特化しているから、今よりも【操血】の力を引き出せるだろう。
「決まりかな。私はブラッドヴァンパイアに進化しよう。」
誤字脱字がありましたら、報告をお願いします。感想や評価をしてもらえると作者が喜びます。




