10 うまくいかないもの
文章を上手く書けるようになりたい。まだ下手。
管理者のことは一旦忘れよう。あんなどうしようもできない超高位存在なんて考えても無駄だ。それだったら、今のことを考える方が何倍もマシだ。
管理者のことを頭から追い出して、今のことを思考する。止まっていた足を再び動かし、警戒しながら木々の間を歩いていく。すると、とある木の前で足が止まった。その木は他の木と比べると太く大きく長い年月を生きていることを感じさせた。その木を眺めていると、いきなり2メートルほどの大きい影が木の裏側から現れ、手に持っている棍棒を私に叩きつけた。
「ガァァァァーーー。」
「うるさい。思考の邪魔をしないで。」
木に隠れて狙っていたであろう奇襲を後ろに跳躍して避ける。この森を探索しているうちに、魔獣の気配というものが分かるようになってきた。今のも、木の後ろに魔獣の気配があるとわかり、立ち止まっていたら襲われた。
私はすぐに【操血】で投げナイフを2本作り出し、襲ってきたやつの足に向けて投擲する。2本は相手の足に突き刺さり、動きを止める。
「グゥァアアァーーー。」
「だからうるさい。黙れ。」
今度は刀身80センチメートルほどの剣を作る。その剣を相手の首を狙って振る。そして支えを失った頭が私の足元を転がっていった。
剣を扱うのは初めてなのだが、【剣術LV5】の補正のおかげで剣の達人のような動きをした。自然に体が動いて、全てを行った私ですら何が起こったのか理解するまでに、多少の時間がかかった。
[ホフゴブリンを討伐しました。レティアは経験値65獲得しました。]
[レティアのLVが5から6になりました。]
倒した魔獣はホフゴブリンというらしい。見た目がゴブリンを大きくした姿だったので、ゴブリン系統の魔獣だとはわかっていた。どうやらゴブリンの進化先の一つらしく、高い身体能力が特徴らしいが、その身体能力を発揮させる前に倒せたのは僥倖だろう。
「この調子でレベルを上げていきたいな。」
レベルを上げて進化をしたい。きっとレベルが上限に達したら進化ができるのだろう。進化の恩恵は大きい。それは私が知っている。
今だと脅威にならないゴブリンも進化をして、ゴブリンアーチャーやホフゴブリンになったら、ステータスが上がって脅威になる。ステータス以外にも知能が高くなって待ち伏せをするようになったり、道具を扱う技術が向上して弓を作って使うようになったりする。獲物を狩るのに戦略を立てるようになる。
私が進化した個体と戦って無事なのは優秀なスキルと【魔王】の成長補正による大幅なステータスの上昇があったから。そして相手が1体だけだったという幸運のおかげ。
今回勝つことができたから、次も勝てるわけではない。だから、傲慢になってはいけない。戦いで相手を見縊った代償は死となって自分に戻ってくるから。
「上には上がいる………か。」
レティシアの記憶から突然私の記憶に流れ込んできた言葉。
これはレティシアからの警告かな?心に刻み込んでおかないとね。過ちを犯す前に。
「進もう。もう少しで夜が来る。」
ホフゴブリンの死体を収納に入れて辺りを見回す。探索を始めた時と比べると辺りが結構暗くなってきている。暗くなるのが早く感じるが、気絶していた時間が長かったせいかな。
「夜を乗り越えれそうな場所ないのかな。」
結局どんなに考えても、やっているのは最初と変わらない休めそうな場所を探すこと。
「なかなかうまくいかないなぁー。」
そう言って一歩踏み出した。
踏み出した足は空を切り、バランスが崩れる。直後、全身に浮遊感が訪れる。
「あっ。」
そんな声が口からこぼれて………
「きゃあぁぁあぁああぁぁぁあああ!!!!!」
あとの悲鳴に打ち消された。
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