商売
俺は悩んでいる。
アルビアを含めた使用人は、10人いる。
最低でも、月に金貨5枚いる。
新米子爵の俺はそんなにお金が無い。
王城からは月に大金貨10枚は貰えるが、最初のうちは家具や、衛兵を雇わなければならないのでそこまでお金を回せないのだ。
そこでお金をどうして貯めようかと悩んでいるのだ。
最初に思いつくのは魔物討伐だが、討伐するには冒険者ギルドに登録しなければならない。
冒険者ギルドに登録出来るのは10歳からなので、これは無理だ。
次に思いつくのは商売だ。
しかし、ただの子供が商売をしたところで買ってくれる人は少ないだろう。
どこかの商会と契約して売るのが一番いいだろうが、そんな伝手は今のところない。
王城から、呼ばれているので聞いてみよう。
ーー王城ーー
コンコン
「アレンです」
「入っていいぞ」
そう言ってくれるのは、国王である。
「失礼致します。なんの御用でございましょうか」
「警戒しなくてもいい。前にオーガを倒しただろう」
「はい。アイテムBOXに仕舞っております」
「それを買い取ろうと思ってな。まだ7歳だろう。持っていても仕方が無いだろう」
「いいのですか?買い取ってくれるのなら嬉しい限りですが」
「ああ、それに商売を考えているのだろう。顔に書いてある」
「本当ですか!どこに!」
「いや書いてあると言ったのは比喩だ。俺の固有スキル「心眼」何を思っているのかがわかる」
「そうなんですね」
「ああ、固有スキルのことは置いといて、もし商会を作るなら俺が後ろ盾になるぞ」
「いいのですか?」
「構わん。しかし条件がある。1つ、できた商品を1番に王城に献上すること。1つ、毎回満足のいく商品であること。以上だ。いいか?」
「もちろんです」
「じゃあ早速オーガを出してくれ。ここでは無理だから訓練所に頼む」
「分かりました」
「鑑定士を向かわせておく」
「ありがとうございます」
ーー訓練所ーー
「ここに出してくれ」
そういうのは近衛第2騎士団団長ユースさんだ。
「分かりました。『アイテムBOX』」
オーガとオーガキングを出す。
「これが変異種か」
「これはオーガキングですよ」
「いやそんな馬鹿な。冗談はよしてくれ」
「本当ですよ」
「まぁいい。レイルさん、鑑定してくれ」
「分かりました。これは状態がいいですね」
「そうか。良品ということか」
「こ…こ……これは…オーガキングです」
「レイルさんも冗談に乗るのか。オーガキングな訳ないだろう」
「いえ、間違いありません」
「それは、ホントなのか。マジか…国王様に知らせてくる」
ーー国王ーー
「国王様、緊急事態です。オーガキングが…」
「何!?オーガキングだと、どこに現れた」
「いえ、それが…ですね」
「なんだ言ってみろ」
「討伐されていたのです」
「は?なんだと、どこのグループだ?」
「それが単独で、ですね」
「そんなはずないだろ、アレックスでも単独では無理だろう」
「信じられないことですが……」
「じゃあ近衛騎士に引き入れろ」
「もうレイース王国の家臣でして」
「誰だ?」
「アレン子爵です」
「なんだと!!!」
「本当のことでございます」
「そんなはずないだ………」
「国王様ー」
グルードは、気絶していた。
ーーアレンーー
ユースさんが国王様と話している頃俺は、取引していた。
「オーガが12体で、金貨1枚と大銀貨7枚。オーガキングが1匹で白金貨18枚でどうでしょう」
「いいですよ。お金のことはわからないので」
「分かりました。オーガキングの魔法を解凍してくれれば+白金貨20枚しますよ」
「了解しました。『範囲結界 絶対防御』『神級炎魔法 絶対熱』」
「す…凄い」
「『範囲結界 絶対防御 解除』終わりましたよ」
「ありがとう。では、また後日にアスフォード子爵家に送りますんで」
「ありがとうございました」
ーー2週後ーー
しっかりと屋敷には白金貨38枚と金貨1枚、大銀貨7枚だ届いた。
「マークさん商会を始めようと思うんだけど、どこに店を構えたらいいと思う?」
「そうですね。扱う商品にもよりますが、貴族街と平民街の境ぐらいが良いと思いますが、詳しいことは商業ギルドに行った方が良いと思います」
「分かった。今日の午後に、商業ギルドに行くことにするよ」
「かしこまりました。正午までに馬車の用意をしておきましょう」
「大丈夫だよ。歩いていってくるよ」
「ですが当主としてですね」
「だから貴族として平民街の現状をわかっておきたいんだよ。僕が領地を持った時のためにね」
「分かりました。くれぐれもお気をつけて」
「わかってるよ」
ーー商業ギルドーー
ちなみに冒険者ギルドと商業ギルドは、犬猿の仲だ。
「すいませーん。商会を開こうと思ってきたんですが、何かいい物件ありませんか?」
「ありますよ。アレン・フォン・アスフォード様」
「知っているんですか?」
「もちろんですよ。あのクソギルドとは違いますからね」
美人なお姉さんからクソギルドという言葉を聞いてびっくりした。
「ははは、そ…そうですね」
「それでは、どのような物件をお探しでしょうか」
「貴族街と平民街の境ぐらいの物件で白金貨30枚以内で買えるもので」
「白金貨30枚でしたらほとんどの物件は、買えますよ」
「そうなんですか、じゃあ二階建て以上の面積700㎡~1000㎡で」
「その条件でしたら、3件あります。白金貨9枚、白金貨7枚です」
「もう1件はなんですか?」
「それは、呪われていると言われている物件です。この物件は大銀貨6枚です。」
「呪われているんですか?」
「まぁ、行ってみれば分かりますよ」
「分かりました。行ってみましょう」
「はい」
ーー1軒目ーー
白金貨9枚の家である。二階建てで750㎡ぐらい。
元々小さな商店だったらしい。
1階は前後に別れており、前は売り場、後ろは休憩スペースになっている。
2階は、寝室のようになっている。
ーー2軒目ーー
白金貨7枚の家である。三階建てで820㎡ぐらい。
こちらも、商店だったらしい。
1階と2階は売り場になっている。
3階は、休憩スペースだ。
ーー3軒目ーー
大銀貨6枚の家というか屋敷である。2階建ての900㎡ぐらい。
「この物件は、元々レストランでした。しかし、お客さんが傷害事件を起こし、住人達は出て行きました。今は廃墟となっており、蝙蝠が住み着いていることから、吸血鬼が住んでいると言われています」
「そうなんですか。本当に住んでいるんですか?」
「分かりません。商業ギルド員が、掃除に行きましたが怪我をおって帰ってきました。職員が、吸血鬼に襲われたと言っているのでいると言われています」
「そうなんですか。中に入ってもいいですか?」
「入るのですか?」
「はい。入らなきゃわからないでしょ?」
「でも本当に居たら…」
「大丈夫ですよ。こう見えて強いですから」
「知っていますが、オーガとは比べ物にならないくらいに強いですよ」
「大丈夫です。待っていてください」
屋敷の中に入っていく。
屋敷の中は埃まみれになっているが足跡がある。
これがギルド職員の足跡かはわからないが、女性の足跡みたいだ。
「誰だ!」
女性の声が、聞こえる。
「俺は、アレン。この屋敷を買おうしているものだ。お前は誰だ?」
「妾は、吸血鬼女王だったものだ」
「だったものというのはなんだ」
「先日、妾達の住処に人間がやってきて、妾以外は殺された。恐らく帝国のものだった」
「そうなのか。それは大変だったな。これから、どうするんだ?行く宛はいるのか」
「そんなものは無い。帝国に復讐するだけだ」
「そうか。じゃあうちに来るか?もうすぐ帝国が攻めてくるらしい」
「いいのか?返せるものもないぞ」
「いいよ。何か食べたいものはあるか?」
「妾達、吸血鬼は血を吸わなければ死ぬ」
「分かった」
そう言って俺は、携帯していたナイフで腕を切った。
「飲んでいいぞ」
「いいのか?ありがとう」
血を飲ませ、夜に迎えに来ると言ってその場を去った。
「この家を貰います」
「吸血鬼はいなかったのですか?」
「はい。そんなものはいませんでしたよ」
「他の家は、どう致しますか?」
「いりません。紹介していただいたのにすいません」
「構いませんよ。ではこれが鍵です」
「これが代金です」
と言い金貨1枚を渡した。
「お釣りはいりません。今日はありがとうございました」
ーーその日の夜ーー
俺は、こっそり屋敷から抜け出し、吸血鬼の女王を連れてきた。
「みんな、集まってくれ!」
みんなに紹介しなければならないと思った。
「紹介しよう。吸血鬼の女王だ。いつもは顔を出さないだろうが、よろしく頼む」
「よろしく頼む」
「「「「「「「「「「かしこまりました!」」」」」」」」」」
ーー翌日ーー
「マークさん、商会で何を売ったらいいと思う?」
「そうですね。それならー」
有難う御座いました。
今回は少し長くなりましたが、結構重要な回です。
誤字脱字等の指摘、お願いします。
次回「商品」お楽しみ




