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白い死神  作者: コモルー
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7話 魔人化

「この町の人間はこれで全滅だ、早く次の町へ行くぞ」


ザラキは魔族に淡々と言う。


「ザラキ君は真面目だねぇ~、折角人間を殺すのだからもっと楽しまなきゃ」


魔族はザラキをからかう様に言い、胸に穴が空いたリュウの死体を見下ろす。


「私ならもっと精神をボロボロにした上でじっくりとなぶり殺しにするのに...もったいない」


「それはお前の悪い癖だぞ。そうやって楽しむのもいいが、人間舐め過ぎると死ぬぞ」


ザラキは言い終わると次の町がある方角に体を向けて歩き出す。


「ハイハイ、そうですね」


魔族はふて腐れた子供の様に言うとザラキの後を追うように歩く。


「「?!」」


突如として二人に何とも言えない不安がよぎる。


「ザラキ、あの子供は間違いなく殺したよな?」


「ああ、心臓を間違いなく貫いたさ」


「なら、後ろにある禍々しい気配はなんだ?」


二人が同時に振り返ると血の気がないリュウが虚ろに立っていた。


「アンデット化にしてはなんか変だな」


魔族が呟いた。


「アンデットだろうがそうでなかろうが関係無い、等しく塵となるだけだ」


ザラキは杖をリュウに構えて大人の身長ほどある紫色の火球をリュウにめがけて放ち、辺り一面火の海となった。


「これで問題無い」


ザラキは自分に言い聞かせる様に言うが、不安は何故か消えなかった。


「マジか...」


魔族は無意識に呟いた、何故なら燃え盛る炎の中で虚ろな表情のリュウは何事も無かった様に立っていたからだ。


「ならこれでどうだ!!」


ザラキは杖から雷、竜巻、氷山、様々な魔法をリュウに撃ち込むがリュウはただ虚ろな表情で立ったままだ。


「嘘だろ?!」


あまりにも異常な光景にザラキは後退りする。


「グハッ?!」


嘘なリュウは一瞬でザラキに近づいて腹に拳をめり込ませて人形の様にザラキをぶっ飛ばした。


「クッ...」


魔族は得たいの知れないリュウに冷や汗をかくも全力の蹴りを頭目がて撃ち込む。


「なに?!」


魔族の全力の蹴りをリュウは片手で軽く止めると、掴んだ足をゆっくり上に持ち上げて凄まじい速さで地面に叩きつける。


「グハッ!!」


魔族の口から血が吐き出され、叩きつけたられた衝撃で魔族を中心に地面がすり鉢状に大きく陥没する。そこに更に追撃としてリュウは黒いモヤモヤが集まった拳を魔族に撃ち込に木っ端微塵に吹き飛ばす。


「ユルサナイ...」


リュウが片言で呟くと黒いモヤモヤがリュウに集まり始めて胸に空いた穴が塞がっていく。


「ユルサナイ...」


リュウの瞳が徐々に赤く染まり、赤かった髪も同じように黒く染まって行く。


「許してなるものカァアアアアア!!!」


リュウの感情が爆発すると同時に黒いモヤモヤが辺り一面を覆い尽くして更地に変える。そしてそのモヤモヤはリュウに絡み付くように覆いリュウをザラキと同じように黒いモヤモヤの人影に変えた。


「痛い...今のは痛かった...」


ザラキは瓦礫の山から体を起こして立ち上がる。


「アイツが遊ぶせいでとんでもない化け物が目を覚ましたまったじゃねえか...グフッ...ペッ?!」


ザラキは込み上げてきた血の塊を地面吐き捨て、口元を袖でぬぐった。


「殺す...」


「?!」


振り返るザラキの顔をリュウは鷲掴みにして地面に叩きつけ、更に押し込む。


「ぐっグググッウゥ!!」


地面にめり込んだザラキの体は痙攣したようにビクッビクッっと動き、やがて動かなくなった。そしてザラキが死んだのを証明するように黒いモヤモヤが晴れて無残な人間の死体が残った。


「これで二人」


リュウは辺りを見渡して、指揮官を失いうろたえるオーガ、ゴブリン、トロールに狙いをつける。


黒胞子(くろほうし)


リュウの周りから黒い粒子が周りに拡散される。


黒葬花(こくそうか)


黒い粒子に触れたオーガ達から黒い五枚の花弁をもつ花が咲く。


「散れ...」


オーガ達に咲いた花弁が同時に全て散り、オーガ達は黒い粒子となって散った。


「まだ憎い...まだ殺したい...」


リュウはボソッと呟くとふらつきながら生物の感じる方角に歩き出す。


「キシシシシ!!」


「ガラガラガラ!!」


リュウの行く道を阻むように元町民のアンデットが立ちふさがる。


シュッ!!


リュウは黒く染まった氷蓮花でアンデットを容赦なく切り伏せる。


シュッ!!、シュッ!!


切っても切ってもアンデットはリュウの行先を阻もうと立ちふさがっり、その数はどんどん増えていく。


「何故邪魔をする?」


もう数十は切り伏せたがアンデットの数更に増えてリュウは囲まれてる。


「もう面倒だ!!まとめて消し去ってやる」


リュウは氷蓮花を地面に突き刺すと、胸の前で両手を向かい合うように構えて黒い球体を作り出す。


「これで終わりだ」


リュウが黒い球体を上空に打ち上げようとしたところで後ろからアンデットに抱きつかれた。


「うっと惜しい...」


リュウは黒い球体を片手でもち、もう片方のて氷蓮花を地面から抜き取るとアンデットに斬りかかった。


「なっ?!」


氷蓮花はアンデットを斬りつける事無く紙一重で止まった。


「ローズ?...なのか?」


ボロボロの体でありながも美しい金髪のアンデット頷くとリュウの頭を両手で挟み自分の顔に引き寄せてキスをする。


「ローズ...」


リュウの真っ赤な目から血の涙が流れ落ちる。


「ローズ、ローズ!!」


リュウはアンデットを抱き締めて泣いた。アンデットはただ何も言わずにリュウの頭を優しく撫でる。そして涙が流れ落ちるたびにリュウの目は蒼く、髪も黒から白になり、体にまとわりついていた黒いモヤモヤも完全に晴れて、リュウは白髪に蒼眼の少年となった。


「愛してるわ、リュウ」


「僕もだよローズ...」


涙を流しながらぎこちない笑顔でローズを見る。


「でも私はアンデットになってしまったわ...」


「そんなこと関係無い!!、僕はローズじゃなきゃ嫌だよ...ローズじゃなきゃ愛せないよ...」


ローズはリュウの肩を掴んで離れるとリュウの蒼い瞳を真っ直ぐ見つめる。


「私もよ、リュウが魔人になろうが、髪が白くなろうが、瞳が変わろうが私より年上になろうが関係無いわ」


「年上?」


リュウは自分の体を触りローズを見つめて気づく。今日の朝まではローズのほうが少し背が高かったが今はローズの方が低い、そして視界に移る自分の髪は赤から白くなっており若干声も低くなっている気がする。


「恐らく、魔人化したとき体が魔力に耐えうるように成長したんだと思うわ」


「そうか、僕は魔人化していたのか...」


リュウは自分の手をみつめていると、急にローズは苦しみだした。


「うっ!!!」


「ローズ!!」


リュウは倒れるローズを支えてながらしゃがみこみ、ビザの上にローズを寝かせる。


「どうやら時間がきたみたい...」


「何の時間なんだ?!」


心配している顔でローズを見ているリュウに対してローズは薄く笑う。


「私達はね...アンデットなの...人はね...アンデット化した直後は生前の意識があるの...でも余程の事がない限りその意識は消えるわ...だからリュウお願い...私達を殺して...」


リュウは改めてアンデットを見るとどのアンデットもリュウを襲おうとはせずにただローズとのやり取りを見守っている。


「(まさか?!この人達は魔人化した僕を止めるために...)」


リュウの瞳から涙がこぼれ落ちる。


「リュウ...」


ローズは手を伸ばしてリュウの頬に触れる


「私の最後の願い...聞いてくれる?」


「ああ、勿論聞くさ!!」


リュウは涙を袖で脱ぐってローズの手を握る。


「復讐なんかに捕らわれ無いで...幸せに...なって...ね...」


ローズの意識が無くなり手が滑り落ちる。


「最後まで僕の心配事か...だから僕はローズが好きなんだよ...」


リュウは立ち上がると魔力を集める。


氷胞子(ひょうほうし)


リュウの体から氷の青い粒子が拡散される。


氷葬花(ひょうそうか)!!」


全てのアンデットに氷でできた五枚の花弁の花が咲くき、アンデットを凍りつけにする。


「ローズ、今までありがとう...そしてこれからも愛してる!!」


リュウは泣きながら凍ったローズに口づけをする。


「散れ!!」


五枚の花弁が一斉に散って凍ったアンデットが砕け散り、青い氷の粒が幻想的な風景を見せる中、ただただリュウは泣き叫んでいた。

























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