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白い死神  作者: コモルー
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3話 魔王襲来

「なぁ、ローズ」


「なに?リュウ」


「そもそも魔王ってなんなの?」


「はぁぁぁああ?!そんなこともわかってなかったの?!」


受付嬢から練習場の使用許可をもらったリュウとローズは先の勇者について話しなが練習場にむかっていた。


「魔王と言うのは文字通り()()を統べる()のような存在につけられる呼び名よ」


ローズはリュウに飽きれながら話す。


「なら()()は沢山存在しているのか?」


「ええ、そうよ。認識としては十体の魔物でもそれを統率していたらそいつは魔王ね」


「国を持っている訳では無いんだね」


「いいえ、中には国を持つものもいる」


ローズの足が止まりリュウに顔を向ける。


「何百、何千と魔物を統率する者は大魔王とよばれ国を作ることもあるわ、実際に私達人間と魔物とで戦争したと記録が残っているし、数百年前の大魔王ジオンは世界のほぼ全てを支配したとされているわ」


「世界を...」


リュウはゴクリと唾を飲み込む。


「ええ、でもその時に異世界から勇者、西川龍馬(にしかわりょうま)が現れて仲間達とともに大魔王ジオンを倒して世界を救ったわ」


「(西川龍馬...僕や勇者カイトと同じ世界から来たんだろうな...)」


リュウは西川龍馬が同じ世界の人間と思うと同時になぜ勇者が尊敬されているのかを理解する。


「(流石に世界を救ったら尊敬られるのは当たり前の事だな)」


リュウは一人で納得しうなずいているとローズが機嫌を悪くしてそっぽを向く。


「ふん!!、貴方のそういう所が私は嫌いなのよ!!」


機嫌を悪くしたローズにリュウは気づき慌ててご機嫌取りをする。


「ゴメン、ゴメン、ちょっと考え事をしていて...」


「どうせ貴方にとって私はただのめんどくさいだけの女の子ですよ!!」


「そんなことないって、ローズは頭もいいし可愛いよ!!」


「そんな事言っても私は騙されないからね!!」


ローズは必死に謝ったり誉めたりするリュウに視線を合わせないよう首を上下左右にふり逃げる。


「(ああ、めんどくせぇー。こうなるとローズは頑固なんだよな)」


リュウはだだっ子になったローズの顔を両手で抑え、視線を無理やり合わせる。


「僕は本当にローズの事が好きだ!!、それこそお嫁さんに貰いたいくらいに!!」


ローズは顔を真っ赤にするとリュウの手を払い除けて反対側に顔をそむける。


「ばっかじゃないの!!、私達はまだ子供よ、そんなの考えるだけ無駄だわ!!」


ローズはいつもよりきつめに言うとリュウの横を素通りして訓練場に向かう。


「早く練習場に行って訓練しましょ!!、そんなバカな事言えないくらいにボコボコにしてあげるんだから!!」


「(後三年も立ったらローズは絶対美人になるだろうな~、もし美人になったら本当にお嫁に貰おうっと)」


リュウは先に行くローズを走って追いかける。


「ローズをお嫁に貰う話は結構本気だよ!!」


「バカ!!」


「痛ッテエ!!」


ローズの平手がリュウの頬に当たって紅葉(もみじ)マークを付ける。


「絶対貴方の嫁になんか、行かないからぁ!!」


「いいや、絶対貰うからね!!」


二人はしばらくにらみ合い「フフフ!!」と笑い出す。


「そんなに私がお嫁に欲しかったらリュウはもっと強くならなくちゃね」


「言われなくても強くなるさ、それこそ勇者に...」


二人はお互いに笑い合いながら再び練習場に向かって歩き出した。



「(今だぁ!!)」


リュウは両手に込めた魔力を解放して練習場の一角に氷の岩を出現させる。


「ヒュー、相変わらず小さい癖にスゲエ魔法使うなぁリュウ君は」


「ありがとうございます、オルガさん」


口笛を吹いて称賛した三十半ばで小麦色の髪に黄色の瞳、手元に木の根っこのような杖を握った女性はリュウを手招きして呼び寄せるとリュウの額にデコピンする。


「痛ったい!!、何するんですかオルガさん!!」


額に手を当てるリュウに対象オルガは腰を落としてリュウに目線を合わせる。


「誉めたからって調子に乗るんじゃないよ、確かにリュウ君はその年で中級冒険者クラスの魔法を使えるから調子に乗りたくなるかもしれないが」


オルガは腰を上げて胸を張り堂々とする。


「所詮は中級クラス、世の中にはまだまだ上の化け物がいっぱいいるんだ、上級の魔法が使える私のようにな、ハッハッハッハ!!」


「オルガさん大人げないわ...」


ローズは高笑いしているオルガにボソリと呟く。


「ローズちゃん、何を言っているのかしら?、これは中級魔法が使えるようになったリュウを調子に乗らせないように...」


「リュウは調子に乗ってないわ、もし乗っていたら私がこらしめるから」


ローズはリュウが作った氷の岩に火球をぶつけて跡形もなく消滅させる。


「(ちょっと待ってローズさん!!それは殺すって事でよね?!、跡形もなく消すって事だよね?!)」


心の中でローズに突っ込みを入れるリュウにローズは顔を向ける。


「この程度の魔法じゃ私はあげれないよ❤️」


「ははぁ~精進いたします」


ローズの黒い笑みにリュウは土下座する。


「(本当にこの子達は怪物だわ、中級魔法は扱えるだけで並みの魔法使いより上なのに無詠唱でこの威力。将来は勇者や大魔道師、大賢者に...)」


「オルガさん!!オルガさん!!」


「え?!なに?」


声に気づいたときにはローズがオルガの袖を引っ張り呼んでいた。


「しっかりしてください、オルガさん!!」


「あっ!、ごめんなさいローズちゃん、少し考え事をしていてね」


「オルガさんも上級者として忙しいのはわかりますが訓練場でぼーっとしているとリュウ見たいに他から飛んで来た魔法に当たってああなりますよ」


ローズが指で指した方向をオルガが見るとリュウが何故か燃えており近くの青年が魔法で水をかけて消火していた。



「いや~すまない、すまない、火球の魔法を練習していたら誤って別の方向に飛んでいっちゃって.エへへへ...」


リュウに水をかけていた青年は後頭部に手を当てながらペコペコ頭を下げる。


「まぁ、幸い服が少し燃えただけなので問題無いですよ」


リュウは誤る青年に対して苦笑いしながら返す。


「そうですよ、飛んでくる魔法に気付かなかったリュウが悪い」


「(普通の子供なら大惨事でしたけどね)」


全く気にするなと言うローズに対してオルガは心の中でツッコミを入れる。


「まあ、何事も無くて良かったですね」


「「「そうですね」」」


青年の言葉に対してリュウ達がうなずくと、突然、四方から爆発音が聞こえ、警報を告げる鐘が鳴り響く。


「なにごとだ!!」


オルガはその場にいた青年やリュウ達を連れて受付に戻ると人が殺到する受付に向かって大きな声で言った。


「これは丁度いい時オルガさん!!」


受付嬢は人混みをかき分けてオルガの前に来ると乱れた呼吸を整えて一言言った。


「西の森の魔王がこのキルト町に襲撃してきました!!」


受付嬢の一言で騒がしかった部屋は静寂に包まれた。

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