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白い死神  作者: コモルー
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1話 僕はリュウ

次に目覚めた拓真は赤ん坊だった。拓真は自身がまさか本当に転生するとは思っておらず、かなり驚くが、神様が僕の最後の言葉を聞き入れてくれたと思い感謝をしながら、この第二の人生を自由に生きると決めた。


十年後...坂本拓真元、リュウは町の図書館に来ており、魔道書を机に山積みにして読み漁っていた。


「リュウ、またここ(図書館)にきていたの?」


赤髪で青い瞳の女性が同じく赤髪で青い瞳の男の子に呆れたように言う。


「はい、お母さん、つい夢中になちゃって...へへへ」


男の子はばつが悪そうに言って頭を()く、その様子を見た母親はリュウに地かずいて腰を落とし目線を合わせるとリュウに言い聞かせるように言った。


「リュウ、魔法に興味があるのは悪い事じゃない...そして、リュウには魔法の才能もあり物事を理解する能力も他の子に比べて飛び抜けているわ...」


母親は人差し指を立ててリュウの視線を集める。


「一つ、約束してちょうだい。リュウ、決して魔法を(あなど)らないで、魔法は確かに便利な物だけどその力強い、そしてその力に溺れた者の運命は皆例外もなく身を滅ぼしたわ」


リュウは母親の言葉を真剣に聞き、相槌を打つ。


「お母さんはね、リュウが心配なの。リュウが自分の力に溺れて「シーラは相変わらず、心配しすぎじゃな」先生!?」


母親の言葉を遮り、呆れたように言った、緑色の長い髪に藍色の瞳の老人は静かに笑いながら二人に近づくとリュウの頭に手を置いた。


「シーラ、前にも言ったと思うがこの子には才能がある。それも()()に成れる程のな...、しかも物わかりもいいと来た。それはもう運命によってこの子が魔法を(まなぶ)ことを()()られておることじゃ、ワシらが何をどうしようがこの子は魔法を学ぶ事を止めさせることは出来ない...」


老人は悲しそうな目をするとリュウの頭から手を放し、後ろ手を組んでその場を後にした。


「リュウ、何度も言っていると思うけど...お母さんはね...別に魔法を学ぶなとは言わないわ、むしろ沢山学んで役に立てて欲しい、げどね、リュウ...貴方の学速さははっきり言って異常なの。一才で言葉と文字を理解し、二才で初級の魔法を覚え、五才で大人レベルの魔力量に達し、八才から町の図書館に通い魔法の研究をする...

 まるで見た目は子供なのに中身は大人...」


母親の目が鋭くなりリュウを見据える。


「(すみません、中身は元ガリ勉の中学生です)」


母親の的を得た発言にリュウの背中に冷や汗が流れた。


「まあ、異世界からやってくる勇者は要るけど、子供に転生した話は無いから、リュウは本当に天才なだけなんだけどね❤️」


母親の可愛いウインクとは裏腹に的を得るどころか完全に的を射た発言に冷や汗が止まらない。


「まぁ、美人で頭のいいお母さんの息子だからね...エヘヘヘへ...」


リュウは何とか笑って誤魔化すと照れた母親はリュウにバグをして額にキスをする。


「そんな事言っても何も出ないぞ❤️。今晩はリュウの好きなビーフシチューね❤️」


リュウから離れた母親は鼻歌混じりにスキップしてその場から去っていった。


「これが母親の愛、かぁ...」


リュウはキスされた額に手を当ててニヤリと笑みがこぼれる。


「(前世での愛は勉強()()()事だったからなぁ~)」


「何ニヤニヤしてるの気持ち悪い...」


リュウに罵声を浴びせた十三才くらいの金髪に藍色の瞳の少女は腕を組威張った態度でリュウに話しかけた。


「第一声が気持ち悪いとはひどいねぇ~、ローズさん」


リュウは首を横に降りながら手のひらを天井に向けて言う。


「事実だからいいじゃない、それより町一番の()()は今日も魔道書を読み漁ってなにしてるの?」


ローズは皮肉を込めて言うと、リュウのとなりに山積みとなっている本を手に取りパラパラめくる。


「ふ~ん、魔法による体の一部の変化、及び同化についてか。貴方は獣人や仙人に興味があるの?」


「(普通の少女なら難し過ぎて読めないはずなんだがなぁ~)」


リュウは心の中で目の前の少女が改めて天才の一握りに入ると思って感心していると、視線があったローズはバカにされたと思い機嫌が悪くなる。


「なによ、人をバカにしたような顔をして!!、所詮私は貴方と比べて凡才の意地っ張りな小娘ですよ!!」


ローズはプイッ!!っとソッポを向き両耳に付けている金のバラのイヤリングが鈴のような音を鳴らす。リュウは慌てて機嫌を治してもらおうとあの手この手で褒めちぎり、「まぁ、私って天才だから」っとローズが言わせて何とかご機嫌とりに成功する。


「で、貴方はこの魔法を調べて何をしようとしてるの?」


話の本題に戻ったローズは改めてリュウに聞く。


「あくまで、僕の考えなのだが...魔力を使って体の一部を巨大化させたり、水や炎と言ったものに変化させる魔法があるだろう?」


「確かに少ないけどあるわ」


ローズはリュウに相槌を打つ。


「なら、その反対も当然出来る訳だ」


「ええ、そうじゃないと変化した体を元に戻せないからね」


「だから僕は考えた、もし体の全てを魔法で別の物に変化させ、再び人の形に変化させれば大人の姿に成れるのではないか?、と...」


「貴方バカ?」


ローズは呆れたように言うとリュウのとなりに座る。


「貴方はいつも深く考えた過ぎなのよ!!、出来ると思えば出来る!!出来なかったら実力不足!!魔法は理屈じゃなくて()()()よ!!」


ものすごく分かり安いがリュウは前世での勉強において、理屈で学び、行動してきた手前どうしてもローズの言うとおりの想像力というのが苦手であった。


「確かに魔法は無い物を魔力を使って()()()()するが、自然の法則には逆らえない。例えば魔法で作った水に火をぶつければ当然火が負けるし」


リュウの理屈がまた始まった、とローズの額に怒りマークが一つ出来る。


「魔法を遠くに飛ばそうとすれば星の持つ重力に引かれて落ちる。他にも、鉄は熱くしなければ曲がらないし、水は冷やさなければ凍らないなど様々...」


リュウの理屈攻めに耐えかねたローズは額にびっしり怒りマークを浮かべてリュウの耳を引き寄せる。


「この理屈バカがああああああ!!」


耳元で大声を出されたリュウはその衝撃でバランスを崩し床に背をつける。


「ローズ!!急に大きな声をだすな!!、まだ耳がキーンとなっているだろお!!」


リュウは慌てて立ち上がるとローズに向かっ怒鳴った。


「貴方がへ理屈ばかり言うからよ!!」


一方のローズは腕を組み平然と答える。


「それはローズが...」


()()ともうるさいわよ❤️」


図書館の受付をしていたお姉さんがローズとリュウの間に割って入ると二人の服の襟をつかんで玄関まで引きずっていく。


「貴方たちはしばらく出入り禁止です!!」


「「騒いで申し訳ありませんでした!!」」


外に追い出された二人は同時にお姉さんに謝るとお姉さんは苦笑いしながら指を二本立てた、余談になるがこの行為は二週間出入り禁止を指す。


「貴方のせいで私まで二週間出入り禁止になったじゃないの!!どう責任取るつもり?」


受付のお姉さんに出入り禁止を言い渡されたリュウとローズは町の中にある冒険者組合に向かって歩いていた。


「だからさっきも謝ったじゃないか!、ここでいくら口論しても出入り禁止の事実は変わらないからもう終わりでいいんじゃない?」


「キイィィイ!!、これだから私は貴方が嫌いなのよ!!」


余りにも素っ気ない態度のリュウにローズは怒りを覚える。


「ならついて来んなよ!!」


「私も冒険者組合にある練習場に用があるのよ!!貴方こそ他でやればいいじゃない!!」


「十才児が町の外に出られると思うか?!」


「十三才の美少女が町の外に出られると思うか?!」


二人はにらめっこのように向き合いにらみ合うと同時に笑い出す。


「ふふふ...」 「あははは...」


「もうこの話はよそう、ローズが外に出たら盗賊が可哀想だ」


「なによそれ酷くない?」


リュウとローズはまるで恋人のように明るく笑いながら再び冒険者組合に向かって歩いて行った。







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