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24話目 窮地

 ぼくとアルとバラ(ローゼン)の騎士団(リッターオルデン)の全員が持ってるアイテムを出してから、今後のことについて話し合っている。


「ポーションは12個で食糧は2食分、これで冒険者ギルドからの応援が来るまで持ちこたえなくちゃいけないよな」


「半日だけのダンジョンアタックだからそんなに用意してこなかったわ。だれかさんがいきなりダンジョンへ行くなんて言い出すから」


 ヒーラーのエルフが彼女らのリーダーを睨みつけているけど、当の本人は顔を真っ赤にして、なにも言い出さないで沈黙し続ける。時折、ギガンテスの雄叫びが聞こえてきて、やつらはぼくらを見逃す気はないみたい。



「ギガンテスと戦えるのはお城の騎士団だけ、冒険者ギルドの救助隊は期待しない方がいい。なんせ、下層のモンスターだからな」


 アルの正論にここにいるみんなが口を噤んだ。状況が良くならない以上は、なにかの策を練っておく必要が生じてくるので、ぼくはシールダーの牛人さんに聞いてみることにした。



「ねえ、ギガンテス1体の攻撃なら防ぐことはできそう?」


「——え? まあ、一撃なら防げると思うけど」


「そうか」


 彼女が一撃を防ぐ間に、ぼくは自分の魔法でギガンテスを撃破することを試そうと考えた。


 ヤマモトさんは教えてくれた、魔法はイメージだって。それならぼくは今までやったことのない全魔力開放をやってみることにする。うまくいけば討伐はできなくても、ギガンテスの1体だけでも無力化させてやる。


 ここにいるみんなが生き延びるために、力の出し惜しみはしない。



「ねえ、みんな聞いて」


 全員が真剣な顔してぼくのほうを見ているから、ぼくもこれ以上にない真面目さで応えてやらないといけない。



「このままではジリ貧になるし、助けなんていつ来るかはわからない。出来るだけ息を潜めてやり過ごすことが今できる最上の手なんだけど、もしギガンテスにここがバレたら打って出るつもりなんだ」


「勝てないわよ、そんなの。ここに隠れればいいんじゃない? ギガンテスが入ってこれないわよ」


 リーダーさんが言ってることは正解なんだろうが、昔にキシさんからのモンスター授業で、ギガンテスは力任せだけの攻撃に見えて、実は火の魔法より強い炎の魔法が使えると教えてくれた。



「それはムリだ。ここがバレればギガンテスが入ってこれなくても炎の魔法が撃ち込まれ、ぼくらは全員焼け死ぬことになる」


「ギガンテスが魔法を使うなんて聞いたことないわ!」


 マジシャンの子が反論したのは一般常識。大体ギガンテスクラスにもなると、魔法なんて使わなくても通常攻撃だけで人間なんてあっという間に倒される。



「お城の騎士団長であるキシさんから聞いたんだ。昔にお姫様のお供でダンジョン踏破したとき、ギガンテスから炎の魔法を攻撃で受けたって」


「そ、そんな……炎の魔法なんて、ボクらはあっという間に終わっちゃうよ」


 マジシャンの子の顔に絶望の色が浮かび、それはすぐにほかの人にも伝達していく。親友のアル以外はみんながその場に座り込んでしまった。


ありがとうございました。

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