村に着いた
「はぁ、疲れた」
日和が村についた頃にはもう体力の限界でふらふらだった。村は壁のようなもので囲まれており唯一の入り口と思われる門には武器を持った門番が二人いる。薙刀は門番が見え始めた頃にはマガツヒの能力で隠してもらっているのではたから見れば手ぶらの女がふらふらと歩いてきたようにしか見えないだろう。そう思いながらもこの服の色は変えられていないのでそれで怪しまれないか心配だったがとにかく無断で入ろうとしても通してもらえなさそうなので人見知りなので自分から話かけるなんてしたくなかったがここは勇気を出して話しかける。
「す、すみません!」
つい声が大きくなってしまった。その声に少し驚いたように目を見開いた門番たちだったがすぐに言葉を返してきた。
「どうしたんだい。旅をしているのか? そんなにふらふらして」
疲労でふらふらしていた日和を気遣って優しく話しかけてくれる。
「は、はいそうです。旅をしている者なのですが休む場所が欲しくて……」
「そうか、まだ大人とまではいかないが幼い子を入れさせない理由はない。入れ」
「お、お前ばかか! 誰も入れるなと言われているんだぞ。それを無視するつもりなのか!?」
片方の門番はそう言ったがもう一人の門番は慌てて何を言っているんだと言わんばかりに大声で日和を入れることに反対する。どうやら誰も入れさせないように門番はいるようだ。
「別にいいだろう。幼くそれに女だぞ? 妖にでもあったらひとたまりもない……じきに夜になる。見殺しにすることはできんだろう」
「それはそうだが……もしこの女が妖だったら」
妖のことをこの人たちは知っているようだ。それにこの女が妖だったらと言ったということは人に化ける妖なのかそれとも私が知らないだけで妖は化ける力を持っているのかもしれない……そう日和が考えていると、突如門が開いた。
「何をしているのですか?」
髪の長い黒髪の綺麗な女性が出てきた。門番たちはその人を見ると慌てて頭を下げて挨拶をしている、ということはこの門番たちより偉いということ……雇い主かそれともこの村の長なのかまだ分からないがそれだけは言える。
「じ、実は旅をしていると言っている女がこの村に入りたいと言っているのでそれで……」
門番たちの言葉を聞いた女性は日和をじっと見詰めた。そして、
「この者は入れて大丈夫です」
と言った。そのときの女性の目は金色に染まっていた。