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第七話「帰らずの地下室」

【最終目標】

ゴッドの撃破


【第一目標】

『帰らずの地下室』ないで、ゴッドの撃退方法を探す。


【詳細手順】

先にここにいる、三人以外で合流し、『帰らずの地下室』内へ侵入。

入り口にあたりで安全を確保。

その後合流し、捜索。


【重要用語】

『帰らずの地下室』

この秘密基地内で謎に包まれている箇所。

その中に入ったものは誰も帰ってこなかったことからこう名づけられた。

このゴッドが近寄ってこない範囲の中心である秘密基地タワーの中から入れることから重要な情報があると思われるが、前述の理由により何があるかは不明。


以上が今回の【帰らずの地下室探索作戦】の概要である。




無言で、携帯にイシカが書いた【作戦内容】を最後まで読んだ。


「コレが作戦?」

「ああそうだ」

「でもその『帰らずの地下室』に何もない可能性も・・・」

「あるな」

「・・・って即答!?」

「まぁな、書いてあるとおりに何がなんだか分かってないんだよ、それこそ神頼みだ」

「この世界の神様に頼るって・・・」


流れとしては、まずイシカとユカリさんたちは携帯で作戦を練り、よく分からなかった私のためにイシカがこうやって作戦内容を書いてくれたのだ。

そして私がそれを読んで、現在の状態に。


「それじゃあ早速秘密基地に戻るぞ、そうしないと何も始まらない」

「わかった」


私はそういうと、イシカの後ろを歩いていった。

しかし、すぐにイシカはあることに気づき、止まって後ろを向いた。


「いまさら来ないなんて言わないよな」


イシカが話しかけた先には、リーフさんが座っていた。


「何で私が行かなきゃ行けないの?」

「さっきまでとは状況が違うだろ」

「私はアイツに復讐する、イシカたちに邪魔はさせない」

「一人じゃ勝てるわけないだろ」

「それでも私は行くって・・・」

「そういう話じゃない」


イシカがそう強く言うと、リーフさんが顔を上げた。


「じゃあどういうことよ」

「お前はゴッドを倒したいんだろ?だったら目的は一緒じゃないか」

「・・・・・・」


リーフさんが少し考えるように黙り込んだ。


「俺たちだって復讐したくないわけじゃないんだ、むしろできることなら復讐してやりたいさ」


イシカがそれに構わず話し続ける。


「それをしなかったのは今まで生きることが最善だと思っていたからだ」


リーフさんがイシカのを真っ直ぐ見る。


「しかしもうそれもできない・・・それなら・・・」


イシカは一つ間を置き、今までで見た中でもっとも感情のこもった言葉を言い放った。


「アイツを殺す」


リーフさんが一瞬驚いたように目を見開く。

しかし、すぐ元の状態にもどり


「分かった、私も一緒に行く」


と、ほとんど間を置かずに言い放った。

それを聞いて、イシカが少しだけ笑った。


「それじゃあ、行こうか」



※※※※※



『帰らず地下室』、それは秘密基地タワーのちょっと入り組んだところの部屋にその入り口がある。

入り口は普通のマンホールのような形をしていて、蓋を開くと鉄製の梯子がある。

入れる人数は一人ずつ。

そこを降りると、『帰らずの地下室』にたどりつく。


それは、たった今自分が通って来たルートだった。


そういうものがあるということだけは知っていたが、実際にこの目で見るのは初めてだった。

そしてその『帰らず地下室』を始めて見た感想は・・・


「これは『地下室』って言うより普通に施設だねー」


だった。

一見のんきに見えるが、最初から地下室なら一部屋ぐらいかと思っていたので、これはかなり予想外だったのだ。


まずマンホールを降りきると、少し一本道が続き、そこを抜けると、一つの部屋にたどり着く。

そこは、体育館ぐらいの広さがあり、上に人一人ぐらいは通れそうな太いダクトがところ狭しと詰まっていた。

全体的には長方形のような形、長方形で例えるとするなら、長いほうの中心のあたりから入っていて、周りにはとくにこれと言ったものは置かれていない。

さらに、もう一辺の長いほうと、左右の短いほうの中心にも出口があった。


いまは、先に入る部隊として、リーフやイシカ、そして新人を除いた全員でこの部屋に入り込んでいた。

電気がほとんど通っていないため、どこかから入っている赤い光だけが頼りだった。

しかしそれにしても赤とは趣味が悪い。


「とりあえず待機で良いんですよね?」


ユカリが少し不安そうに尋ねてきた。

まぁこんな状態なら不安になるのもしょうがないだろう、安心させるため、と言うよりは僕自身が暇だったため、その話に乗ることにした。


「そのはずだね、まぁゆっくり待ってようよ」

「そうですよね、はぁ、いざとしたらグルトがどうにかしてよね」

「ヨーグルト食べてないから無理」

「私だっておはぎ食べてないよ」

「ていうか、僕たちはちゃんと銃器を持ってきたけど、ムクのそれはなんなの?」

「これかい?これはね・・・」


ムクはそう言いながら、やたら重そうな、台形のものに丸いのこぎりがついたようなものを軽く持ち上げた。


「工業用丸のこだよ?」


・・・


「・・・ってそれだけ!?」

「これ以上どう説明しろと?」

「ていうか違うよね!?聞きたいことそんなことじゃないから!!」

「じゃあ何が聞きたいの?」

「なんでそんなものを持ってきたの?かさばるだけでしょ」

「いやいや、普通に武器持つよりこっちのほうが手に馴染むんだよ」

「それは・・・なんか怖いんだが」

「別にいいでしょ?戦えれば何でも」

「そんなものかー?」


僕たちがそんなことを話していると、唐突にクロトが大きな声を上げた。


「あっ!!」


みんなが一斉にクロトのほうを向く。

すると、顔色の悪いクロトがそこに立っていた。


「どうした?」

「あっ・・・あれ・・・」


そういいながらクロトが正面に見える、長方形の長い辺にのところにある出口を指差していた。

そこには何かのシルエットが立っていた。

一見すると二足歩行だが、しかし『ソレ』を注意深く見ていけば、ソレが異様なかたちをしていることに気がついた。


それには、腕が無く、変わりに背中から逆間接じみた奇妙な触手が伸びていた。


「コォォォォォォ!!!!」


その化物の口から方向が放たれた。

その始めて聞く奇妙な音に、一気に鳥肌が立ち、耳をふさいだ。

そうしていると、さらに奥から二体同じものが現れた。


耳から手を離し、改めて銃を強く握る。


「大層なご歓迎だね」

「駄洒落ですか?」

「いやいや・・・」


わざと一回間をおく、こういうのは雰囲気が大事なのだ。


「こっちも答えなきゃなって思っただけだ、弾丸の雨で」

「とても良い反応ですね、ムクと・・・クロトは撃てる?」

「うう・・今回はパスさせてもらっても・・・」

「なら僕とユカリでさっさと片付けますか」


僕がそういうのが合図だったかのように、化物が一気に走ってきた。

それに若干慌てながら、急いで銃を構え、化物たちに乱射する。


ズガガガガガガガガガガガ!!


アサルトライフルの重い銃声が鳴り響く。

四肢をどこかに飛ばしながら、化物たちが後ろに倒れていった。


「なんだ、この程度か、『帰らずの地下室』とかいうからどんなものかと思ったんだけど」

「ですね、まぁ文明の力ですよ、規格外のゴッドなんかじゃなければ大丈夫でしょ」


そういいながら、ユカリがゆっくりと化物に近づいていった。

化物の死体は、一つが右腕と左足が吹き飛んでるもの、もう一つは両腕が吹き飛んでるもの。

そして最後の一つは、右腕だけが吹き飛んでいた。



※※※※※



ユカリが近づいていくのを少し眺めて、そのあと死体たちに目を向ける。

背中から生えている、腕の変わりのような触手の先には鋭い爪がついていた。


さらに、死体になっている三体を順に見る。

そうすると、一体だけ四肢が一つしかとんでいない死体を見つけた。

意味も無くそれを注視していた。

すると・・・


かさ・・・


その死体は、微かにだが、確かに動いていた。


「!!?」

「さてと、いったいどうなってるのかな~?」


しかし、ユカリはそれに一切気づくことなく、うかつに近づいていっていた。


慌ててその場から、ユカリに声をかける。


「危ない!まだ生きてる!!」

「へ?」


ユカリがよく分からない様子でこっちを眺める。


瞬間


「ギャアアアアア」


わずかに生きていた化物が奇声をあげながらユカリへと襲いかかった。


「な!なん・・・」


化物は残った左手の爪で横なぎにユカリに襲い掛かった。


ブォン!!


その爪は、驚いて半歩下がっていたユカリを浅く切り裂いた。

それを見て、反射的に足が動いた。


ダッ!


一気に加速しユカリのところまで全速力で走る、それと共に持っていた丸のこを稼動させる。


グィィィィン!!!


丸のこが一気にまわり始める、それと共に、こっちに向かってきたわしのことに気づいたのか、化物がこっちに奇声をあげ、爪を振り上げ威嚇してきた。


関係ない、仲間を傷つけたやつを許すつもりはないし、第一、化物に元々手加減をする気は無かった。


化物まであと3、4メートル、化物は左手を振り上げ、攻撃しようとしてくる。

しかし・・・


「甘いね、むしろ動きまわされるよりやりやすい」


ダンッ!!


と動かしていた足に、一気に力を入れる。

走るではなく、跳ぶ。

体が一気に加速する。


シャン


回転するノコギリが化物の左腕をバターのように切り裂く。

追撃があるかもしれないと思い、あわてて後ろを向いたが。


「キシャャャャャャ」


と言いながら、化物がその場に倒れていった。

今度はどうやらほんとに死んだらしい。

ユカリのほうに近寄っていく。


「大丈夫?」

「何とか、ちょっとカスっただけですよ」

「とりあえず治療だな、クロトー」

「はいはいー」


わしがクロトを呼ぶと、クロトは治療道具を持って、こっちに歩いてきた。


「それじゃあ治療するよ」

「よろしくー」

「うわぁ、アレの爪どれだけ鋭いんだろう、無造作に振るだけでここまで綺麗に切れるなんて」

「やばい状況なんですか?」

「いや、治療するだけならこっちのほうがいい」

「そんなもんなんですか?」

「ほら、すっぱり切った指はつながっても、ノコギリで切った指はつながらないでしょ?」

「うーん」


ユカリが治療を受けながらクロトと話していた、それを横目に見ながら、化物の死体を眺める。


「四肢が二つとんだら死んだけど、それが条件なのかね?」

「たぶんそうだと思うよ」


独り言を呟くと、グルトが近くに寄ってきた。


「でも普通に元からのダメージもあった可能性も・・・」

「それは無いと思うよ」

「なんで?」

「ほら、体をよく見てみ?」

「?」


転がっている化物たちの体を言われたとおりに注視した。

もちろんさっきのこともあったので、少し引き気味の位置から。

その体にはとくに異常は無く、一つ言うなら、人間の肌の色ではなく、中の筋肉が露出しているような状態だったが。


「これがどうした?とくに何も無いじゃん」

「だよねー、おかしいよね」

「おかしい?だから何も異常は無いって・・・」

「だから、異常がないっておかしいでしょ、僕たちはさっきこいつらに何発も弾丸を撃ち込んだんだよ?」

「っ!な!!」


もう一度化物の死体を注意深く見る、すると、確かに体には一切の風穴が開いてなかった。


「ゴッドと一緒で超回復ってところなのかな?」

「ダメージは食らってるかもよ?」

「あそこまで元気いっぱいに動けて?」

「うーむ、とりあえず仮説ってことで良いかな?」

「だね」


そこまで話してから、ふと顔を上げると、さっき化物が出てきたところから再び影が動いていた。


「はぁ、まったく大歓迎だの」

「とりあえず撃ち殺すしかな・・・」


グルトの言葉が途中で止まった、理由は簡単だ。

影は次々と増えていったのだ。


「コレはさすがにウソでしょ、どうやれっていうんだ」

「とりあえず撃ちまくるしかないんじゃない?さっきグルトが言ったみたいに」

「チクショウめ、ユカリは動ける?」

「撃つぐらいなら大丈夫です」

「急いであの化物共を減らすよ」

「分かったです」


そういってユカリが立ってこっちに来ようとする。

しかし、それはクロトの小さな悲鳴によって止められた。


「ひっ」

「どうしたんですかクロト」

「あ・・・あれ」


そういいながら、クロトが別の出口を指差す。

そこには、正面の出口のように何体もの影が揺れていた。


「さっきもクロト見つけてなかった?救護兵やめて偵察兵になれば?」

「無理だよそんなの、ていうか僕以外誰も応急処置とかできないでしょ?」

「それもそうなんだけどね」


改めて回りをぐるりと見渡す、入り口以外はすべて影がうごめいている。


「逃げるが勝ちかな?」

「だね、逃げれるかどうかを置いておけば」


そういいってみんなが同時に全速力で後ろに走っていく。


「ちょ、グルト本気出しすぎ!!」

「そうです!!自重してください!!」

「長寿のコツは他人を叩き落せ!!」

「なにその最悪なことわざ!!」


一人男性のグルトがほかの二人を抜いて出口に駆け寄っていく。


「とりあえず少しでも登ったらヤツラはこれないみたいだから、それまで全速で走る!!みんなが生き残ることもいちよう願っとくよ!!」

「なにそれ酷い!!わしたちを置いてくの!!」

「一人称のせいで台無し!!」


しかし、実を言うと後ろの化物たちとはかなり距離がひらいていて、追いつけないであろうレベルまでとうの昔に達していたのだ。

そのあとも少し愚痴を言い合いながら走っていく、グルトが先頭で、距離は数メートル程度。

そこそこ長い距離を走った足が地面を踏みしめていく。

あとちょっと、あとちょっ・・・


ガコン!!


その瞬間グルトのすぐ先の上にあるダクトが開いた。


「え?」


細い触手が伸びてくる、その先には鋭い爪が付いている。

走って加速していたグルトの体は止まることはできない。



ここは『帰らずの地下室』ここから帰ったものは、今まで一人たりとも報告されていない。

という訳で絶望系です。

ちなみに、自分は人物描写やらがとても苦手です。

という訳で今回出てきた『化物』を分かりやすく例えると、デッド○ペース2に出てくる敵だと思ってくれて構いません。

と言うか、それをモデルに作りました。


それでは、今回もこの小説を見ていただきありがとうございました、毎週一話投稿という目標に向かって、今後も努力していきます。

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