第二話「夫婦」
私は、イシカと名乗った男に連れられてテントの中から出た。
外は相変わらず暑く、地面はもちろん砂、あたりを少し見渡すと、すぐにもう一つのテントを見つけた。
私はテントの中で、イシカの自己紹介を聞いた後自分の自己紹介を軽くして、この世界のことについて訪ねたが、イシカから。
「自己紹介からするって言っただろ?俺以外にもまだ二人ここにいるんだ、ちょっとついてきてくれ」
といわれここに立っている。
私はイシカのほうを向いた。
「あのテントの中にいるんですか?」
「ああ、しかしおかしいな」
「おかしい?」
イシカが不穏な言葉を返してくる、一体どういうことなのか。
「いや、待てよ?そうか、今日つれて来たのはあの二人だったな・・・」
「あの二人?」
「行けば分かる」
イシカはそれだけ言うと、テントに向かって歩き始めた。
私もそれに合わせて歩き始める、しかしイシカの歩調が少し速い、少しだけ怒ってるようにも見えた。
私たちは、テントの前に着いた、イシカはすぐにテントを開けようと手を伸ばしたが、直前で手を止めた。
「どうしたんですか?」
「声が聞こえる」
少し疑問に思いながらテントの中に意識を向ける。
すると微かではあるが、声が聞こえてきた。
「・・・コウキスしてー」
「ぶっ!!」
いきなり聞こえてきた声に分かりやすく吹いた、一体中では何が起きているのか。
かなり気になったが、イシカがテントを開けないため、私は中の会話に集中するしかない。
「あれ?外で音がしたような?」
「気のせいじゃない?」
「そうよね?じゃあキスしてー」
「それは別に良いんだけどさー」
「どうしたの?」
「いいの?こんなところでサボってて、イシカから見張っとけって言われたんでしょ?」
「いいのいいの、どうせ誰もこれないから」
「まぁ俺も特には心配してないけどさー」
「じゃあイシカがあの子につきっきりになってる間にじっくりと・・・」
「誰がさせるか!!!」
中にいる二人が何かを始めようとしたとたん、イシカがすごい勢いでテントを開き、怒鳴りながら中に入っていった。
「イっイシカ!?」
「やぁやっぱりいたんだね」
「気づいてたんなら早く言ってよ!!」
「いやいやそっちのが面白いじゃん?」
「私は面白くな・・」
「二人とも?俺を省いてリア充ワールドを広げるな」
「う・・イシカ?違うんだよ?これはさぼってたわけじゃなくて・・・」
「さすがにそのいいわけは厳しいんじゃないかな?」
「うう・・・」
「さてと、どんな風にしてほしい?バケツもって立っとくか?」
「ちょっと待ってあれホントにきついから!!」
「あのさー」
「どうしたセンコウ」
「そっちの女の子はどうだったの?」
テントの中に居た男女の二人のうち男のほう、たった今イシカからセンコウと呼ばれた人が私を指差してきた。
「ああ、それがな記憶がないらしく、何も覚えていないらしい」
「そう、何で生きてるのか結構気になってたんだけどねー」
男はそういうと立ち上がって、私の前まで来た。
「俺の名前はセンコウ、まぁよろしく、それでこっちは・・」
「自分で言うわよ」
「そう、それならどうぞ」
「私はリーフ、私からもよろしく」
二人がそういうとイシカがさらに続けた。
「二人は自称人類最後の夫婦だ」
「自称って何よ」
「昔のころの夫婦は籍を入れたりしないといけないらしいぜ?」
「籍って何よ?」
「さぁ?」
「別に面白いからいいけど、そっちの彼女が困ってるから、ちょっと自重したら?」
「そうだな、すまない俺たちばっか喋ってて」
「いや、ぜんぜん良いんですよ」
正直少しやり取りに圧倒されていたが、見てて面白いものがあった、小説とかをよんでるときと同じ感覚?
「とりあえずこの二人と俺を合わせて3人、今ここにいるのはこれだけだ」
「今ここに?」
「ああ、アジトに戻ったらまだいる」
「それでイシカ、これからどうするの?」
「ここで一晩過ごす」
「大丈夫なの?こんな場所で」
「ボンベのほうはまだまだ持つだろう?」
「どうなのリーフ?」
「何で私にふるの?」
「だって見張りでしょ?」
「私がここにいたのセンコウが一番知ってるでしょ?」
「なるほど、ボンベの残量すら見てないと」
「ちょっと待って私の罪が増えてるんだけど」
「で、何で一晩過ごすの?」
「こいつにこの世界のことについて色々説明するのと、倒れてて記憶喪失なやつをいきなり動かすわけにもいかないだろ?」
「なるほど、それじゃあボンベの残量見てくるね」
「OKありがとう」
「私は何かすることない?」
「まずそこの布団を片付けて机を出せ」
「机って持ってきてたっけ?」
「簡易式のやつがあるだろ」
「そっか、じゃあ取りに言ってくるね」
正直ついて行けなかった。
私がコミュ症というのもあるだろうが、それ以上に完成しきっている、まるで付け込む隙がない。
私が立ち尽くしていると、テントの中に敷いてあった布団が片付けられ、机が組み立てられ、センコウさんも帰ってきた。
簡易テーブルの周りに四人が座る、私から見て右がイシカ、前がリーフさん、左がセンコウさんとなっている。
一番最初に口を開いたのはイシカだった。
「それじゃあ、どこから話すか」
「イシカに任せるよー」
「センコウがそういうなら私もイシカに任せる」
「結局俺任せかよ!!えーと、それじゃあ聞きたいことは?」
いきなり、聞きたいことからか。
私は少し考え質問した。
「この砂漠化ってどこまで広がっているんですか?」
なぜか敬語である。
いや、年上だから当たり前だけど。
「この砂漠化は地球全土に広がっている」
「ええ!?」
かなり広いと思っていたが、まさかそこまでとは思っていなかった。
「一体どうして?」
「正確な時期はわからないが、ある日どっかから謎のウィルスが出てきたんだ」
「ウィルス?」
「ああ、そのウィルスは世界の草木やら建物やらをごっそりかたっ端から砂に変えていったんだ」
「どうして砂に?」
「さぁな、細かいところまでは分からない」
「じゃあ、えーと・・・」
砂漠化に関しては大体納得した。
いやほとんど何も聞いてないけど。
次の質問を考える、何か聞きたいことはないいか・・・
そしてイシカが言ったある言葉を思い出した。
「巨大施設ってなんですか?」
「俺たちがアジトってよんでるところだ、なぜかあそこだけウィルスの影響を受けないし、さらにアイツがよってこられないんだ」
「アイツというのは?」
「この砂漠の中にいる最強の生物、通称ゴッドだ、そいつ自体がウィルスをばら撒くし、いくら銃を撃っても死なない」
「そんな恐ろしいものまで?というかここにいたら危なくないですか?」
「アジとの周りの空気はゴッドを寄せ付けない力がある、ボンベに積んであたりにばら撒けばゴッドはやってこない」
「それじゃあ、サハラの放浪者ってなんですか?」
「現在巨大施設にいる人類最後の人間たちである俺らが勝手に名乗ってる名前だ、元々はこの広大な砂漠が、まるでサハラにいるようだみたいなことを誰かが言ったのが始まりで、その中でただ生き残っている自分たちのことを自嘲をこめてそうよんでる、ほかに聞きたいことは?」
「ほかには・・・ありません」
「お前らも聞いててなんか言い逃したことあると思うか?」
「特にはないよ?全部ちゃんと質問するなんてすごいね、それに比べてイシカは・・・」
「うるせぇよ、こういうの苦手なんだよ」
「それにしたって全部任せるだなんて」
「うるさいうるさい、トランプするぞ」
「何でトランプですか?」
「寝るまでやることねえだろ?暇つぶしだよ」
「そんなもんなんですか?」
「そんなもんだよ」
それから数時間私たちはトランプをして、夕食を食べたり駄弁ったりしていた。
そんなこんなして夜。
私はイシカと一緒に寝ることになってしまった、理由は、あの二人があまりにも仲がよすぎて、乱入できる雰囲気じゃなかったからだ。
こんな狭い場所で二人きり?などと考えていた私だが、数分も立たないうちに、イシカはもう寝息をついていた。
そんな中、テントの屋根を見つめながら少し考えた。
今日みたいにみんなでトランプとかするのっていつぶりだっただろうか。
今でもちゃんと友人がいるが、全部中学校からずっと友達のやつらで、第一こうやってワイワイできる仲間が増えること自体数年ぶりなきがした。
最初はいきなり倒れたりして早く帰りたいと思ったが、今はもう一生ここに居たかった。
少し生活が大変でも、こうやって毎日みんなと楽しくできるんだったら、つまらない日常よりこっちのほうがいいのではないだろうか?
私はそんなことを考えながら、深く深く眠りに落ちていった・・・
主に自分のために、キャラクター情報
イシカ
年は大学生ぐらい、かっこよくてかっこ悪いお兄ちゃん的な親しみやすいキャラ。
今の中で、主人公が呼び捨てで呼んでるのはイシカだけ。
別の小説のキャラで言うなら、さっぱりしてちょっとリーダーぽくなった上条さん
リーフ
センコウの嫁、センコウの前ではかなり甘えてるが、他人の前では基本冷静キャラ。
今回はあんまり冷静面出てこなかったけどww
センコウ
リーフの夫、常にへらへら笑っていて、面白そうなことだったら基本的にどんなことでもする人間。
一方リーフに関しては、リーフが危なくなったら少し話を逸らしたりするイケメンなところもある。
今回は脱線した話をよくまとめてくれる言い役だった。
こんなところかな?それでは読んでくださった方ありがとうございました。