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第十話「ルート逃亡者」

暗闇の通路。


孤独な逃亡。


もはや誰も周りには居なかった。

ただ独り、死にたくないと心の中で叫びながら逃げ惑う。


ひたすら走り回ったせいで、あちこちに体をぶつけ、息を整えることもできず、満身創痍の体でひたすら走り続ける。


逃げなければ、逃げなければ、逃げなければ。


頭が狂ったように一つの言葉を思い浮かべる。


ここから逃げる、それだけを考えてひたすら走る、そのせいでただただ奥に進んでいることも知らずに。


ガタッ、ドシッ!


「・・・?」


気がついたら床がすぐ近くに見えた。

少しだけ正常にまわり始めた頭で考えると、すぐに自分が転んでしまったことが分かった。

慌てて立とうとしたが、足に力が入らず、すぐに倒れこんでしまった。

もう一回立ち上がろうとするものの、もはや今度は力を入れることすらできなかった。

幾度か立ち上がろうと試みたが、今のままでは無理だと諦め、大の字に寝転んだ。

すると、イキナリ体に倦怠感が回り始め、うるさいほど空気を吸っている自分の息遣いが妙に頭の中に響いた。


何でこんなことに・・・なんで私が・・・


体が疲れて動けなくなり、脳だけが動くようになるとそんな言葉がひたすら浮かんできた。


しかしいくら考えていても意味は無い、少しは体が動くようになってきた、今はひたすら逃げるしかない。

体に力を入れて一気に立ち上がる、いざ動いてみると、左足が石か何かになったかのように動かなかった。


「はは・・・こんなのじゃ走れないじゃない・・・ははは・・・はははは」


口から疲れた笑い声が沸いてきた。

しかしそれは、ただ狂ったのではなく、希望を見つけたからだ。


「ははははは、あははははは!何を怖がっていたんだか!!そうだよ!!これは夢だよ!!夢の中で死んだからといって本当に死ぬわけが・・・」


ガタン!!!!!!


言葉を打ち切るように大きな音が頭上から鳴り響いた。



※※※※※



「GAME OVERA」

終わりの知らせを伝えるために、自分はそこに降り立った。

目の前にいる、自分が頼んだ一人の協力者の元へ。

「ダメだったのか?」

「ああ、今度もダメだった」

「ホントに・・・ホントにもうダメなのか?この世界は救えないのか?」

「無理だ、先人たちの結果がそれを表している」

「何でだよ・・・なんでなんだよ!!俺はできるだけのことはやったんだぞ!!何で!何で・・・」

「・・・諦めろ、そして期待しろ、『次の救世主』が世界を救ってくれることを」

「何が救世主だ!今までいくつの救えなかった世界があるんだ!!」

「さぁな、そこまで把握してるわけではない、自分が知っているのは、こうしないと世界を救うことが不可能であるということだ」

「・・・ホントにここを越えれば世界は救われるのか?」

「あっちの時系列でもアイツがちゃんと生き残れれば、救われるはずだ」

「・・・ユウナはちゃんと守った、ここからはお前の仕事だ」

「そのとおり、ここからは自分の一番大事な仕事がある、それじゃあサヨナライシカさん、死に場所は自分で選んでください」

「・・・お前もな」


それを聞くと自分はイシカに背を向け、空気に溶け込むように体を光の粒子に変えていった。


「『お前もな』か、まぁたしかに、死ぬのは自分も変わらないのだけども・・・」


自分の死に方を思い浮かべる、もはやこの体、というよりは自分という存在は地球と深く繋がっている。

全人類が居なくなったとしても、地球がなくならない限り自分はただひたすらにここに居ることとなる。


どう考えても良い死に方は出来そうに無かった、しかし、世界を救うことも出来ないような『神様』ならば、その程度の罰は必要なのかもしれない・・・



※※※※※



ただいま私がいるのは、築ウン百年以上はあろうかという、巨大な施設でございます。

その鉄骨などはホントに鉄なのかと思うほど一切傷ついたりしておらず、そこかしこに切り傷があることを抜けばおおむね綺麗です。


ここに住んでる人数は不明、皆さんとても鋭い爪を持っているせいで、物がすぐに壊れてしまうのが悩みです。


「って、現実逃避してる場合じゃないいいいいいいいいいい」

「おねえちゃん、しー、だよ」

「あっ、うん、ゴメン」


今現在私は、イシカたちとはぐれてしまい、命懸けの逃亡を行い、何とか化物から逃げ切ったところだった。


「だけど、必死に逃げ回ってせいで、今どこにいるとか分からないんだよね」

「ひっしににげてたからねー」

「だからと言ってその後がこれじゃあダメダメじゃない」

「そのとおりだね!」

「・・・元気が良いのは良いけど、フォローをしてくれたらとてもありがたかったな・・・」

「ふぉろー?」

「うん、なんでもないよ、大丈夫、精神に対しての攻撃には慣れてるから」

「ヒリアなの?」

「何でそこだけ知ってるの!!」


とりあえず今は足を動かすしかない、元の道にはあいつらがいる可能性が高いので、どこかでイシカに出会うことをただ願って歩いていくしかない。




そうやってどれだけ歩いていただろうか、運良く化物にそれまで会わなかった私たちだったが、とうとうその運も尽きたようだった。




そこは廊下を出た後の、広大な空間だった。

薄暗く、人の顔の細部は注視しないと見えないほどだった。

感覚としては体育館が近いだろうか、上を見上げると無数の鉄筋がついていた。

そして地上には迷路のように置かれたコンテナがあった。


「大型保管庫?もしくは物置館ってところかな?いや、適当だけど」


とりあえず今までのように歩いていこう、そんな甘い考えは一瞬で消された。


ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!


耳がつんざくような巨大な化物の雄たけびが当たり一面に広がった、それと共にコンテナの陰から一気に化物が襲い掛かってきた。


「なっ!!」


後ろに下がろうとして、自分の足に自分の足を引っ掛けてしまった。


ゴンッ!


思いっきり尻餅をつく、それと同時にさっきまで立っていたところを化物の爪がなぎ払う。

もし尻餅をついていなかったら・・・イヤな考えが一瞬だけ頭をよぎる、しかしそれは、逃げるための決定的に失わせてしまった。


化物の爪が振り下ろされた。


シュン!


反射的に頭を後ろに動かしたのが幸いした、再び爪はなにもない空間を切り裂いた。

しかし、もともと尻餅をついた体制、後ろに頭を動かすと・・・


ガァン!!


頭に強烈な衝撃がほとばしる、慌てて動かしたせいで床に頭を打ち付けたのだ。

さらに、その衝撃のせいで銃を手から取り落としてしまった。


「しまった!」

「グルァァァァァァ」


化物が咆哮と共に私の上に馬乗りになる。


ヤバイ!ほぼ本能的に私はそれを悟り、必死になって化物の下でもがいた。

化物の下から出ることは出来なかったが、私が揺さぶるせいか、化物が狙いを外し頭のすぐ横に爪が突き刺さる。


さらに体に力を込め、振りほどこうともがく。

しかし、先ほどより力を込めたはずの私の抵抗は、なぜか一切意味を成さなかった。


そこで気づいた、先ほどの爪は外したのではない、地面に爪をたてて体を固定させるものだったのだ。


今度こそ確実に私を殺すために、その鋭い爪が振り上げられた。


「ひ・・・ひっ」


私の口から笑いにも似た悲鳴がこぼれる。


殺される


殺される


殺される殺される


殺される殺される殺される


殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺される殺されるころされ・・・


ダダダッ!!!

「ギャア!!」


狂ったように文字列を並べていた脳を元に戻したのは、銃声と化物の悲鳴だった。


脳が正常になると共に、体の上から重みが無くなった。

慌てて化け物のほうを見ると、さっきとは違うところが二つあった。

一つは、化物の右手の二の腕の辺りに、二つのそこそこ大きな穴が空いていた。

二つ目は、明らかに化物が私ではなく、私の後ろを見ていることだった。


その視線に釣られ、私も後ろを振り向く。

するとそこには、銃を構えたユウナちゃんが居た。


「ユウナちゃん!?」

「おねえちゃんはやらせない、わたしだってたすけてもらうだけじゃいやだよ!!」


ユウナちゃんにいろいろと聞きたいことはあったが、状況がそれを許してくれない。


「ガアアアアアアアアアアアア!!!!!」


化物が怒りの咆哮と共に、ユウナちゃんに突進していく。


「!?、させない!」


一度極限まで落ちたせいか、無駄に冷静になった私は、化物が横を通り過ぎようとしたときに、思いっきり足を伸ばした。


ドテン!


化物が化物と思えないぐらい簡単な方法で、なんか少し可愛いぐらいにこけた。


しかしほんわかしている暇など無い、今度は化物がこちらを睨んでくる。


「やばっ!ヘイト管理むず!!」

「何を言ってるかは知らんけど、あんまり叫ばないほうが良いと思うんだけども」

「へ?」


私が死ぬ直前とは思えないぐらいアホなことを叫んでいると、上から声が聞こえた。

目の前の化物から目を逸らし、上を見上げる。


ガン!! ガガガ!


銃声が連続で響き渡る、それと共に生暖かい液体が横から・・・


「今までの中で何気に一番ヤダァ!!」

「だから叫ぶなとじゃないと・・・」


そういいながら、謎の人物が私たちの近くに下りてくる。


『グアアアアァァァアァッァァァッァァァァァ!!!!!!』


あちこちで一気に咆哮が上がる。


「こういうことになる」


謎の人物が冷静に呟いた。


それが合図だったかのように、化物がコンテナから飛び出してくる、しかしそれを『誰か』は冷静にアサルトライフルで両足を打ち抜く。


さらに『誰か』は後ろ・・・要するにこっちがは方向を変える、それに釣られて私もそっちを向く。

すると、化物が二対同時にこちらに走って来ていた。


「ユウナちゃんしゃがんで!!」


その声に、ユウナちゃんはすごいスピードで反応し、体をかがめた。


ガガガ!!ガガガ!!


化物の足が片方ずつ打ち抜かれていく、しかし銃声はそれで止んだ。


なぜ?と私が思ったのより早いか遅いかというタイミングで、『誰か』の方向から、エンジンをふかしたような音が鳴った。

私は『誰か』のほうを向いた。


すると『誰か』は、さっき自分が降りてきたコンテナを見ていた。

私もそちらのほうを向く、すると。


「キシャァァァァァァ」

「ダイブ!?」


化物が、『誰か』のほうに飛びつこうつとしていた。

化物は案外脚力も馬鹿に出来ないらしく、吸い込まれるように『誰か』のほうに向かっていく。

化物が振り上げた爪が、振り下ろされた。

鉄すら切り裂く鋭利な爪。

『誰か』はその爪に切り裂かれ、無惨な死体を晒す・・・・・・


はずだった


ギシャン!!


化物の爪が『誰か』が持っている『何か』にあたり勢い良く弾かれた。

そのまま、その『何か』は化物の体を貫き、さらにむごい音をなてながら化物を切り刻んでゆく。

一瞬の出来事で見えなかった『何か』を注視すると、それは電動マルノコだった。


そのまま『誰か』は、再び持っていたアサルトライフルの銃口をさっきの二体の化物のほうに向け、その腕に三発づつ弾を撃ち、確実に仕留めていった。


「こんなところかね?最初の入り口のとき以上の修羅場はないな~」

「えっと・・・あなたは?」


私は最初からの疑問を口にすると共に、動きが止まりこっちを向いたその『誰か』の顔を注意深く見た。


「あっ」


私の口から驚きの声が小さく上がる。

それの意味を知ってか知らずか、『誰か』は二度目の自己紹介をした。


「わしはムクだよ、趣味は色々なものを改造すること、特技は化物殺し、もう忘れちゃったかい?」


ムクさんは、一日前に会ったときと同じような、楽しげな笑顔でそういった。


「ムクさんだったんですか・・・ここくらいから人の顔があんまり見えないんですよ」

「暗い?ああ、そうか、わし基準で語ったらダメなのか」

「どんな人間なんですか、化物より化物じみて・・・」


私の言葉は途中で中断させられた。

なぜなら、いまだに体をマルノコで体を貫かれていた化物が、その腕を振り上げていたからだ。


「ムクさんあぶな

ガン!!ドゴォ!!

い・・・?」


あまりにも早すぎて見えなかったというのはこのことなのだろう。

さっきまでの私と話してたときの様子と一切変わらないような表情のまま、ムクさんの右手が高速で動き、化物はマルノコからはなれ、壁に叩きつけられていた。


というか、聞こえた音の数から、殴ったときもすごい音を発していたような。


ムクさんはそのまま、何気ない顔で化物の両腕を撃ち抜き、再び私に話しかけてきた。


「まぁ、わしがいるからには安心だから、さっさと地上まで逃げましょうよ」

「え?でも地上は地上で危険なんじゃ?」

「え?ああ、ゴッドの攻撃はまだ耐えれるらしいから大丈夫だよ?」

「へ?らしい?」

「元々二人を連れてきたのも、最も安全とされているわしのところに連れてくるためだったからねー」

「へ?へ?」

「いやいや、この『最終フェイズ』が発生するタイミングが分かればらくなんだけどねー」

「はい?さいしゅうふぇいず?」

「まぁまぁ難しいことは考えないんで良いんだよ、ほらほら逃げるよ、早く早く」

「ふぇ?あっ、は・・はい」


理解不能なことは何も考えるな、昔から言い伝えられている伝説の名言だ。


え?そんな言葉知らない?私も知らないよ?もうどうでもよくない?意味不明は意味不明で。


私は思考をストップさせながら、ただムクさんの後を付いて行こうと歩き出したとたん。



ウーーー!ウーーー!ウーーー!



「なっなに!?」

「・・・どうやらあっちで何かあったようだな、急ぐよ!」

「え?はっはい!」


私は走り出したムクさんに、置いてかれないように、ユウナちゃんの手をしっかり握りながらムクさんの後を付いていった。

遅くなって非常に申し訳アリマセン!! Orz←全力で土下座中のうp主

理由は・・・とくに無いですね、単純なモチベーションの問題です。

いや、ニ●動であった、第五回だったりする祭りにはまってたわけじゃないですよ?どこが最終なのか分からない兵器の人たちの動画とか見てませんよ?殺家のゲームの実況動画とか見てませんよ?


ええ・・・ホントに、ひじょ~にスミマセンでした。On_←全力で土下寝中のうp主、決して寝てるわけではアリマセン。


とりあえず、後書きなげぇという批判は置いといて、中身にふれますが、最後にムクさんが言っていた言葉などは、たぶん、この話が一段らくしたときに、お疲れ編みたいなのでやります。


とりあえず、夏休みで暇な時間が多い(勉強なんてやんnゲフンゲフン勉強なんか無い)ので頑張って更新していきます。


それでは、今回も読んでくださりありがとうございました。


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