表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オレンジボイス 〜底辺声優(♂)ですが、女装して美少女の声を演じています〜  作者: 乙希々


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/112

《続》小倉ももは、決して許さない。⑦(絶交)

「──ねえ〜お姉さんたち〜、これからオレらと一緒に泳が」


 ギロリ。


「「ひぃい!」」


 家族連れや陽キャグループでぎっしりの、大型プール施設。そのエントランスで、僕らに言い寄ってきた二人の猛者らがいた。だか、東雲綾乃しののめあやのの厄災をもたらす魔眼……いや、殺気だった眼力に射抜かれ、あっけなく撃沈する。


 って、いやいや、そこはもっと頑張ろうよ! それにお兄さんたちチャラそうだけど、細マッチョでたくましいし、だから助け……、


「ぐえっ!?」

「早く来なさい」


 と、無我夢中で右手を伸ばした僕(橙華とうか水着ver.)……だったが、背後から首元のチョーカーをグイッと引っ張られ、そのままズルズルと引きずられていった。


 みんなこっちを見ないで……あ、カメラを向けないで……っておい、水着をあまり引っ張んないで、脱げちゃう──、


「……ぁ、ああ、あのぉ、せめて水着スカートビキニを着替えさせ」


 ギロッ!


「ぁ、な、なんでもないです……」


 ときにJK(女子高生)こと小倉ももは「ぽわわ……ほろほろ」と突如目の前に現れた東雲綾乃を見てフリーズ。たぶん東雲の水着姿……いや、奴が放つ魔王覇気に耐性が無かったからだと思われる。つうか僕も耐えれない。ていうか、さっきから怖くておしっこを漏らしそうになってる。でも下は水着だから大丈夫……じゃねえよ!?


 なんかどんどん人(♂)としての尊厳、恥じらいが失われていく……。



 ◇


「──ざけんじゃないわよぉおお!」


 ガンッ!


「ま、待て東雲、話せば分か……」


 人の目がない建物の壁際に追いやられての思い切りドン。いわゆる壁ドン。といってもそこに恋愛的ドキドキ感はない。あるわけがない。むしろ恐怖でしかない。心理的にも物理的にもヤバい。あ、これ詰んだわ。これで本日二度目の詰み……いや三度目?


「あの小娘が一緒だったのは……まあそうね、見逃すわ」

「って、え? あ、いや、はい……」


 ……てか、ももちゃんのことは、別に良かったんだ。というか、東雲パイセン、さっきから全然瞬きしないし、目が充血してるけど、大丈夫、なんでしょうか?


「あの男は……ふふ、そうね、所詮は見かけ倒しの鶏頭だから問題なかったわ」

「ええっと、そ、そうなん……だ、だったら一体何をそんなにおこ」


 と言いかけたその時、ぐぐっと顔を近づけてきた東雲がすぅーと息を吐く。


「お姉ちゃん」

「って、へ?」


「貴方を……絶対に許さないから」


「あ……」


 決して強迫観念からではない。正確には、お姉ちゃん……いや、東雲姉、唯川雫ゆいかわしずくさんを誘ったのは宇佐美だけど、まあ元を正せば奴を呼んだのは僕だ。そして「東雲姉妹」の遺恨が思っていた以上に根深いことを今更ながら気づく。だから心の底から謝った。


 ごめんなさい、と。


「……そう、どうやら自分の過ちが理解できたようね」

「あ、ああ、でで、でもさ、僕はただ、みんなで仲良くプールで……」

「ええ、それは分かっているわ。橙華さんは私の《大親友》だもの、私を裏切るはずがないわ、そう、あの女とは違うの、ええ、そうよ、そうだわ、ふふふ……」


 え、いつの間にか「友達」から「大親友」へとランクアップ? それは前に言っていた女友達として……


 それとも──、


「で、でさ、とりあえず、みんなのところに戻らない? お姉さんと一緒だと嫌かもしれないけど、せっかく唯川さんも忙しいなか来てくれたわけなんだし、今日だけは大親友? に免じて」


「嫌よ」


「へ? ええっと……そこを何とか」

「お断りだわ」


 腕を組みながらそっぽを向く東雲。


 ……てか、こいつは子供かよ。全然かわいくない。


「それに、貴方のことをまだ許していないわ」

「う……」


 そのとき東雲は、花柄ビキニに包まれた細い背中をこちらに向けて。


「絶交よ」


「は? ゼッコウ? いやいやいやいや、お前、何言ってんだよ」


「絶交」とかいう言葉、久しぶりに聞いた気がする。ええっと……中学生以来?


「ふふふ……貴方とは当分口を利かないわ、んそうね〜」


 そして、くるりと、振り向きざまに、その真っ赤に彩られたくちびるを舐め、さらには僕の首元にゆるりと手を回し、


「ま、まさか、お、おおおおい、早まるなよ、じ、自分をもっと大切に──」



 がぶり。



「ひ……ひゃぁあああああああ!」


 と、もちろんディープな接吻キス──とかじゃなくて……、


 首をまれた。


 いやマジで。甘噛み? だったのだけは不幸中の幸い……だったことにしよう。


 うーん、絵柄的には、R指定の女吸血鬼ヴァンパイア系百合? あ、いや、いちおう二人とも水着姿だから、ギリセーフ……、


 じゃなくてぇえ!


「ふっ……ふふ、いい気味ね、じゃあさよなら」

「……てて、お、おい待て──」


 と、その時。



「な、なななななにやってんですかぁああああ!」



 遠くから、けたたましい妹ボイスの。



「──と、とと橙華さんの裏切り者ぉおおおおお!」



 ……咆哮ほうこうが聞こえてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ