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オレンジボイス 〜底辺声優(♂)ですが、女装して美少女の声を演じています〜  作者: 乙希々


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88/112

《続》小倉ももは、決して許さない。⑤(戦々恐々)

「──ほら〜、みんな〜、こっちこっち!」


 ええっと……うん、一度状況を整理しよう。


 騒がしい陽キャども……いや、若い世代を中心に賑わう某人気テーマパークの期間限定大型プール施設のプールサイドで、見知った女性がブンブン手招きをしている。


 ウィスパーボイス──言わば商売道具でもあるつややかな声を高らかに張り上げ、しかもカラフルな色合いのビキニ姿まで惜しげもなくさらけ出すその女性は──紛れもなくあの唯川雫ゆいかわしずくその人。


 彼女は知る人ぞ知る大人気声優であり、多種多様にわたる声の演技もさるところ、歌も踊りもパーフェクト超人で──もはやアイドル声優界の重鎮といっても過言ではない存在。それだけを聞くと、普通に女神……なんだけれど。


 ていうか、やっぱ大きいよな、谷間がぷるんぷるん揺れて……、


(じゃねーよ!? なななななな、なんで唯川さんがここに居るんだ、絶対話がややこしくなる──)


「し、東雲センパ……」


 ……と、思わず隣で威圧的に腕を組む花柄フレアビキニ姿の悪役令嬢──東雲綾乃しののめあやのに目配せ。


 ちなみに東雲は唯川雫の実《《妹》》だったりする。これは世間はもとい、声優業界でもあまり知られていない情報だ。


 という自分も直接本人たちから聞いたわけではない。事務所経由で「──本当はそれを全面に押し出したかったんですけどねー、東雲さんに断固拒否されちゃいました。はっはっは──」と、世間話ついでにしれっと聞かされた。個人情報とは?


(……ん、それでもまあ、唯川さんを呼んだのは多分しのの)


 ギロリ──


 ひぇっ! 唯川さんを見る東雲の視線が完全にアウト。あれは人を◯るときの目だ。ってことはコイツじゃないのか?


(……まあ、そうだよな。実の姉妹と言っても何だか根深い遺恨があるみたいだし……となると、一体誰が──)


 と、その時。


「あっ、雫さん、お疲れでーす! ホント来てくれたんですね、場所取り感謝っす!」

「翔くんこそ、誘ってくれてありがとう。でも私、お邪魔だよね? 二人の尊い絡み♡ う、ううん、なんでもない! とにかく今日はみんなで楽しみましょう〜」

「ウィ、了解っす!」


「翔くん」「雫さん」と呼び合う2.5次元俳優と女性アイドル声優の姿が……?


 宇佐美ぃいいいい、お前かぁあああー!


 ……てか、二人は知り合いなの?


(あのチャラ男(宇佐美)、一体何考えてやがる……あっ、もしかして対東雲用の最終兵器? だとしても完全に負のスパイラルじゃ……てかヤバっ──)

 

 いつの間にやら「触れるな危険」状態の東雲が唯川さんと真っ向対峙している。僕は慌ててプリーツスカート(水着)をひるがえす……が、一足遅かった。


「姉さん、どうしてここにいるのかしら?」

「あ、綾ちゃん〜、今日私も一日オフだから、来ちゃった。あれ、もしかして迷惑だった?」

「え、ええ、全然迷惑では……ないわ、ちょっと驚いただけ、よ」


 ──ってあれ? 東雲の奴、案外冷静だったりする? 急に明後日あさっての方向を見ながらモジモジと指をこねくり回したりなんかして……つうか、むしろお姉さんのことが普通に好き、なんじゃ?


「ぁ、あのっ!」


 そんななか、今回のキーパーソンともいえるJK(女子高生)アイドル声優こと、小倉もも(存在を忘れてた)が、未だ妙な空気感で向き合う東雲と唯川さんの間に堂々と割って入っていった。


 さすがはKY……じゃなかった現役のJK、ホント怖いもの知らずだ。てか、そんな勇気、自分にはない。


 ときにももちゃんは、水着ワンピースのとってもボリューミーな胸元を東雲の二の腕に押し付けての参戦。しかしながら、そのあざとい百合行為に当の東雲は無言というか無反応。さっきから全然らしくない。毒も飛ばさないし、一体どうした?


 って、今はそんなことよりも……、


「あら、あなたは確か……」

「ふう〜、は、はい、小倉ももです。お、お久しぶりです唯川センパイ……ふう〜ふう〜え、えーとですね、つかぬことを尋ねますが……ふう〜ふう〜ふう〜、●▲■そそ、その、二人はどういったご関係でしょうか、見た感じ、ただの仕事仲間では……ふう〜ふう〜ふう〜、ふ、ふふ、●▲■✖▲✖✖▲✖✖✖✖✖✖✖──ぽわ〜」


 JKアイドル声優の様子がヤバい件──

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