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オレンジボイス 〜女装してアイドル声優になった結果、周りが地雷だらけで詰んだ件〜  作者: 乙希々


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水着イベント。④《パンチライン》

(──み、水着撮影だぁ!? た、確か柏木かしわぎさんの話じゃ、それはないって……)


 遠巻きに海辺の観光客がワチャワチャする砂浜の海辺で、何の因果か、先鋭せんえいたるロケーションスタッフ陣に囲まれ、声優インタビューと称したグラビア撮影の真っ只中である僕こと橙華とうかは、とにかく水着だけは勘弁(上半身やら下半身やらetc.)と、慌てて柏木マネージャーを探す……が、どこにも見当たらない。ていうか、そもそも撮影が始まった瞬間から姿を見かけていない。くそっ、あの腹黒メガネ……、逃げやがったな。


「では、こちらで準備をお願いしま〜す!」


 ──とその時、先ほど僕にメイクやら何やらすべてほどこしてくれたスタイリストのお姉さんが僕と東雲の元にやってきた。


(おい、早速水着に着替えるのかよ……そそ、そうだ! 東雲っ! きっとあいつなら「ふん、水着撮影なんてお断りよ、愚民どもが私のパーフェクトボディを拝めるなんて100年早いわ」とか言って、絶対撮影を拒否るハズ……それに乗っかる形で自分も──)


「ふ、ふん、水着撮影なんてお断りよ、愚民どもが私の超絶パーフェクトボディを拝めるなんて100億年早いわ」


 いざ誘導された岩陰の更衣室(簡易テント)を前にして、突然威圧的な態度となる東雲パイセン。こちらの思惑通り、というか、台詞もほぼそのまんまだ(※部分的に誇張あり)。


 それこそ女性スタイリストさんといえば、張り付いたスマイルは崩さないまでも少々困ったご様子。


 行けっ、東雲! このまま水着撮影はNGということで……、


「──ん、でもそうね、衣装の水着はどういった趣向かしら?」


 って、あれ……案外水着撮影に乗り気?


「え、ええ、東雲さんのスレンダースタイルがとっても映えるビキニタイプの水着をご用意しています」

「そう? な、なら一度拝見するわ」

「はいっ、直ぐにご用意しますね!」

 

 すると東雲が微かに口角を上げた。一見何か良からぬことを企んでそうな表情だが、あれは案外まんざらじゃないって時の薄ら笑みだ。


(って、全くダメじゃん!)


「──それじゃ、時間も押してることですので、橙華ちゃんも早くこっちで着替えてくださいね〜」




 ──ここに来て、誠に遺憾ながらも衣装チェンジ。


「…………もっと近くに寄りなさい。じゃないと百合、いえ、撮影にならないわ」

「……え? ええっと……、その、じゃ、じゃあ、ちょっとだけ、前を失礼して……」


 ってことで、再び波打ち際のグラビア撮影。


 ちなみに東雲はかなり肌の露出が増々の黒ビキニを着て撮影に挑んでいた。だから直視出来ない。それなのに密着しろなんて……。


 ピタッ。


(──う、ヤバっ、東雲の奴、ウエスト細すぎだろ、普段はあんなにピザやら焼肉やらケーキやら酎ハイやらで暴飲暴食してるくせに、なんで太らないんだ? あ、しれっとこっちにお尻を見せつけ──ん、でもまあ、おP部分が全然エロくないから、別に大丈夫──、)


「ひゃあっ!」


 どういう訳か、東雲に思い切り海水をぶっかけられた。冷たい……。





「──えー、以上で撮影終了で〜す、お疲れ様でした!」


 ワンカットあたり数十分、時間にして三時間あまり、午前中から始まった南知多半島ロケも現時刻をもって大方終了となった。


 スタッフさんから大きめなタオルを受け取り、それで上半身を覆い隠しつつ、こそこそとその場を離れる。早く着替えたい。


(──ふう、どうにか乗り切った……)


 結果的に撮影水着の方はというと──何とかなった……たぶん。


 しかるに、衣装として用意されていた水着は『フレアビキニ』といい、胸元がフリル付きのデザインになっており、極力大きさやら形やらが目立たないようになっていて、それに加え、下半身部分の外側はミニスカートタイプなので、基本中身が(♂)である橙華でもどうにかこうにか着用出来た。


 水着の内側? それはどうか察して欲しい。


 ……そもそも、元々の体型が細身で、肩幅やその他諸々──うん、自分で言って悲しくなるけど、全然(♂)らしくないし、唯一らしい喉仏のどぼとけは、首元に巻いたチョーカーで上手うまく誤魔化し、ヘアースタイルに至っても、ウイッグなしの地毛ながら、マッシュショートでプロスタイリストに女性らしくセットされていて、メイクだって普段よりも濃い目にしているから──、だから後は、現代の写真加工技術でどうにか世間の目をあざむける……と信じたい。


「──橙華さん、今かられ高を確認してもらっていいですか?」

「えっ……、あ、はい」


 ときに若い男性スタッフさんに促されたので「──だったら東雲さんも……」と、視線を動かしてみれば、未だ浜辺で夏の飲料水CMさながらポージングしている黒ビキニ姿が見えた。周りに小さい子供が走り回っているなか、とてもシュールな光景だったりする。……うん、他人のふりしとこ。


「え、ええっと、何か東雲さんは忙しそうだから、取りあえず私だけで確認しますね」


 ともあれ、不本意ながらも男性からタブレットを受け取り、本当は嫌だけれど、出来ることなら見たくないけれど、それでも怖いもの見たさで、モニターにずらりと並べられた画像のひとつを適当にタップする。


 ……と。


「ぐふっ!?」


 いきなり、自分(橙華)の後ろに突き出したお尻──健康的な桃色水着のドアップを見て、その場でノックダウンした。

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