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オレンジボイス 〜底辺声優(♂)ですが、女装して美少女の声を演じています〜  作者: 乙希々


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106/112

新章開幕! 底辺声優(♂)ですが、女装してミリオンアニソン歌手になります!(※嘘です)

『──キーン、ご来店の皆さん、こんにちは! 私たち、橙華と綾乃の声優ユニット『FantasticMelody』です! ふぁんたすてぃっくめろでぃー、みんなー「ふぁんめろ」って呼んでねー』


『ちょっと、なぜ貴方の名前が最初なのかしら? 今すぐ訂正なさい』


『え、ええっと……その(おい、東雲、そんなのどっちだっていいだろ)、ご、ごめんみんな、あ、では早速、綾乃と橙華でお届けする、ふぁんめろのデビュー曲──』


『そこは、綾乃《《様》》と《《下僕》》の橙華と、しっかり上下関係を示すべきだわ』


『(てかうるせーよ!?)で、ではでは聴いてください! 『二人のすれ違い輪舞曲ロンド』──』


 

 季節は九月上旬。


 夏も終わりに近づき、ようやく厳しい暑さが和らいだ頃。


 僕、橙華は現在、東京池袋の大型アニメショップにおいて、某腹黒メガネ(柏木マネージャー)の策略により、某悪役令嬢系アイドル声優、東雲綾乃様のご機嫌を伺いながら、CD販促という名目のミニライブを余儀なくされていた。


 ショップ地下2階、座席が階段状に配置された多目的イベントホールは、コアなファン層を抱える東雲人気のおかげか、満員ではないものの客入りはまずまずといったところだ。


 つうか、やっと『終末アオハル』の収録が一段落ついたかと思えば、即席アイドル声優ユニットの突貫ミニライブ……っていうか、明らかにコントライブだろ、これ。


 以前、やる気のない東雲と即興で録音した音源がもうパッケージ版として発売間際とは、この業界仕事早すぎ──てか自分、サンプル音源すら聴いてないんだけど?


 というわけで、いざ楽曲が始まればお互いプロだ。『ふぁんめろ(自称)』の唯一の持ち歌である『二人のすれ違い(以下省略)』と、後は有名アニソンカバーでパフォーマンスを披露し、曲間の全然噛み合っていない公開パワハラ漫才を繰り広げながらも、最後は二人並んで長テーブルに座り、愛嬌の欠片もない某東雲の代わりに営業スマイルを浮かべ、満身創痍でミニライブとサイン会を乗り切った。


 

「──ったく、スカートが短すぎるんだよ……」


 そして、ようやく辿り着いた控え室という名の狭い殺風景な部屋。


 早速、鏡の前を陣取り、フェミニンなバッグから百均の化粧ポーチを取り出す。


 営業用の濃い舞台メイクをシートでゴシゴシ拭い去り、制作側の悪趣味全開なステージ衣装を思い切り脱ぎ捨てた。せっかく例の地雷系ファッション地獄から解放されたのに、結局またこれかよ。


「淑女としての恥じらいがまるで感じられないわ、所詮は田舎娘ね」

「だからうるせえよ、そもそも男に対していう台詞じゃねぇだろ、それ」

「ふふふ……」


 と、例のごとく東雲綾乃。


 ソファで惜しげもなく美しいおみ足を組み、あまり似合っていない地雷系ステージ衣装のままストロベリーソースとホイップクリームがこれでもかと乗った緑のロゴのドリンクを指先で転がし……ていうかそれ、まさかスタッフをパシらせたんじゃないよな?


「──まあいいや、それより部屋から出ていってくんない? そこで見てられると気になるというか」


 男女が同じ控え室とは、倫理的に間違ってるよな。


「ふふ、今さら何を恥ずかしがっているのかしら? 貴方の隅々まで、知り尽くしているつもりよ」

「なっ……そ、それ、変な勘違いされるだろ、てかさっさと出ていけよ、こっちは着替えてるんだから」

「そう、なら早くなさい。私はこれから大事な用があるから、忙しいの」

「……へ? 大事な、用?」


 思わず着替えの手を止め、聞き返す。


 「──そそ、そうか、もしかしてこれから、デートだったり、して……」


 は、東雲が男とデート? いや、ないな、うん、絶対にない。あるわけがない。


 あの自己中で傲慢で全国悪役令嬢大会の代表みたいな東雲綾乃を相手にできる男など、この世に存在しない、はず。


「それは、内緒よ」

「え、お、おい……まさか本当に、デート……」

「ふふ」


 東雲は、言葉に詰まる僕を一瞥し、意味深に口角を上げたまま、飲みかけのドリンクを片手に、バタンと部屋から出ていった。

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