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アスターの日記

短めです。

4月×日

 本日は身体強化施術を行った。

 痛いとは聞いていたが、予想を遥かに超えるもので思わず泣いてしまった。

 こんなに泣いたのはいつぶりだろう。

 身体を動かせない状態だったから、泣き顔を彼女に見られてしまった。


 夜になって気分は落ち着いたが、身体はまだ違和感が残っている。数日したらなくなるとのこと。


 施術後に子守唄を歌ってほしいとねだったことが、今になって恥ずかしくなってきた。

 何故あんなことを口走ってしまったのか……。



5月○日

 身体強化施術から5日が経過した。

 身体の違和感がなくなってきた。魔力管が馴染んできたのだろう。

 前よりも全身が軽く、疲れにくくなっている気がする。

 明日から魔法の鍛錬に移ることになった。

 指南はルナリアとセレンにお願いしている。



5月×日

 魔法の鍛錬を始めてから二週間。

 少しずつだが上達している。

 魔法に対する理解度も前より上がった。

 指南役の二人の他に、シラーが色々と教えてくれる。

 あいつと共通の話題が出来たのは思わぬ副産物だ。



5月△日

 最近昼間突然意識がなくなる。睡眠障害の類いだろうか。

 ただ皆に聞いたところ、俺が昼間寝ているところは見たことがないという。

 どういうことなのだろう。



6月○日

 父の見舞いに行った際に花を出す魔法を披露したら綺麗だと喜んでくれた。父の笑顔が見られて良かった。

 ただ以前よりも確実にやつれている。

 何か手立てがあればいいのだが……。



6月×日

 魔法の鍛錬を始めてから一ヶ月が経過した。

 上級の攻撃魔法も使えるようになった。

 上達が早いとルナリアに褒められた。

 嬉しい、とても。



6月△日

 攻撃魔法以外もということで今日は変身魔法を教わった。

 名前の通り他の人間や動物、物体になれる魔法だ。


 セレンがやり方を教えてくれた。

 彼女は鳥に変身してみせた。

 そこらにいる普通の小鳥だ。何も知らなければ彼女だと気付かないだろう、それほどの出来栄えだった。さすが魔法師団長だ。


 一方俺はというと、猫になろうとしたのだが上手くいかず人間の姿のまま、耳と尻尾だけが生えた。

 しかも元に戻せない。

 幸いにも夕方頃に消えたが、それまでの間周囲の視線が気になって仕方がなかった。


 でもまぁ、可愛いねとルナリアが喜んでくれたので良しとしよう。



6月□日

 この頃動悸が頻繁に起こる。何が原因なのだろう。



7月○日

 夏になったからか、鍛錬中すぐに身体が熱くなる。



7月×日

 そろそろ建国記念で開かれる舞踏会のダンスの練習をしてはどうかとフレディに言われた。

 気が早いな、まだ3ヶ月も先だぞ。

 それに俺はどうせ誰とも踊らない。



7月△日

 最近彼女の顔がまともに見れなくなってきた。



8月○日

 心臓が痛い、身体が熱い。



8月×日

 魔法の鍛錬を始めてから早三ヶ月。

 近場の洞窟での魔物狩りを経て実戦でも通用するレベルになった。


 なので近々強敵との戦闘経験を積むために迷宮へ行こうと思う。あそこは強い魔物が棲みついているから、もってこいの場所だ。

 不安はないと言えば嘘になるが、ルナリアとセレン達もいるし大丈夫だろう。

 シラーもついて行きたいと言ったが、当然止めた。あいつを危険な目に遭わせるわけにはいかない。



8月△日

 いよいよ明日は迷宮に行く日。今日はこれを書いたらもう寝てしまおう。


 昼間に王都の博物館から招待状が届いた。

 なんでも他国に渡っていた勇者の剣が寄贈されることになったから、一般公開前に是非見にきてほしいとのこと。


 招待状はルナリアの分もあった。

 彼女にこのことを伝えるととても喜んでいた。

 日取りは9月○日。この頃には今よりも暑さが和らいでいることだろう。


 暑さが和らげば心臓の痛みも、身体の熱もきっと収まる。




 ――秋になれば、きっと……。

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