闇12-10
「ライト。お前、ここに来るまでに何してきたんだ?船に残るって言ってたのに」
ブライは腫れ物に触る様に恐る恐る聞いた。
「何って、僕らが勝つ為に僕が出来る事をやったんだよ。"その"あたりの才能が僕にはあるみたい」
自慢気に、でも照れを隠せないあたり彼は純粋に、ひたむきに自分の価値を見出そうとしたのだ。
「マーレン兵士に変装して、スンク軍は強いよ!やばいよー!って総隊長に伝えて、その間に仲間にはマーレン軍の船に火をつけてもらって、スンク軍の船を盗むようにアドバイスして、国を一周してもらう間にスンクの別隊を動けなくして。それでそれで…」
ライトは今までになく興奮し、はしゃぎ、無邪気に事の説明を楽しそうに語る。それを見てブライはいたたまれなくなった。フラッグは目を背け心でこう思った。この純粋な気持ちを、戦争は、この世界はこうも弄ぶのか、と。
「ここに居るのはライトなんだけど、マーレン兵になった時はフォールって名前にしたの。落ちこぼれみたいだけど、かっこいいでしょ?」
「…あ、あぁ。そうだな。一人でよく頑張ったな」
ブライは社交辞令のつもりだったが、ライトは褒められたと素直に喜んだ。僕だって、頑張れば褒められるんだ!
その二人を横目にフラッグは現実を見つめ、スンク軍に問う。
「さぁ、決断の時だ。この場での勝利と人種の存亡、秤に掛けるまでもないであろう。いかがされる」
ドゥはドサッとその場に座り込み胡座をかいた。ライズはまだ受け止めきれないのか辺りをうろうろと歩き回る。
「よし、お前等の言い分はよく分かった。納得する説得力もある。マーレンの連中も同意見ならこの戦いは止めにしよう」
ドゥは決心した。あとはアブレイユ率いるマーレン軍を口説く事さえ出来れば丸く収まる。
「アブレイユ達はそろそろ城に戻って来るはずだよ。そこに僕らとスンク軍が待ち受ければ話を聞くほかない。必ず頷いてくれるよ」
ブライは未だ不安気だがライトの事、そしてこの現状を受け入れる事にした。
一行はマーレン城を目指した。スンク軍は別隊と合流し、盤石の状態で城周辺に陣取った。




