闇12-5
「おいおい。マーレンにも出来る奴がいるじゃねぇか。見せ場もなく終わっちまうところだったが、こうでなきゃな」
遅れて来たドゥが肩を回しながら呟く。その後にライズも続く。
「最期の悪あがきでしょう。その内別隊と挟まれます。ここで時間を使っては無駄な体力を消耗してしまう。いなしながら別隊を待ちその後一気に潰しましょう。我々の目的はあくまで王の首で…」
ライズが発言し終える前に一人、また一人とスンク兵が倒れていく。ドゥの眉間にしわが寄る。
「おい!お前、この暗闇でこれだけ射抜くたぁ、大したもんだ。だが、いつまで続くかな?」
「まぁ待てよ。何も死に急ぐことはないだろ。日の出を見るのは俺達だ。じっくりやろうぜ」
ブライはスンク軍に物怖じせず次々と矢を射る。そのどれもが稲光の様に早く、正確に急所を突いている。ブライは矢を補給しながら呟くように言った。
「あぁ。言い忘れてたが援軍は来ないぜ。お先に天に召されたからな。いや、地に堕ちたか」
「あ?てめぇ、誰だ」
ドゥの額は血管が浮き出ている。その斜め後ろのライズがはっと気付く。
「ドゥさん。彼はマーレン軍じゃない」
先程まで続いた降り注ぐ弓矢と投石による攻撃が止まっていた。マーレン軍は既に壊滅していた。
「獲物取って悪かったな。お前らがちんたらしてる間に片付けちまった。弱らせてくれてありがとよ」
ドゥの両拳がわなわなと震えた。ライズも無意識に後ずさっていることを自覚した。ドゥが低い声でブライを見つめながら言う。
「もう一度聞く。てめぇ誰だ」
「正確に聞くなら"てめぇら"だな。まぁいい。答えてやる。俺の名前はブライ。そして俺達はデスガルゴンだ」
「デスガルゴン?なんじゃそりゃ。古代生物みたいな名前だが、てめぇらは俺らの敵か?」
ブライの横からフードを被った大男がぬっと現れる。
「いかにも。そなたらの敵だ。忘れたとは言わせん。我らの故郷を奪ったのだからな。それはここ、マーレンの連中も同様」
「我ら?あぁ。なるほど。そういう事ですか」
ライズはその一言で理解した。彼も自分の計画を崩された事に怒っていた。ドゥは問う。
「ライズさんよ。どういう事だ」
ライズは声を張る。
「あなた達はアミーユとルボンの方々、復讐でもしにきたのですか」
ドゥもそれを聞いてやっと理解した。フードを脱ぎながらフラッグが宣言する。
「復讐?そんな安い感情ではない。世界を平和で統一するのが目的。争わない世界の為に争うのが我々デスガルゴンだ」




