前哨戦10-3
「ミロイ大将。相手の動きはどうですか」
「これは陸軍大将。見ての通りですが説明しましょうか」
ミロイは全船を少し下げ、ほぼ湾内の位置につくよう指示した。しかし敵船は動かず隊列を崩さなかった。
「あちらからの襲撃は無いと思われますが、ここから進展すると思いますか?」
ミロイはマークを試すような口調と細めた目で問いかけた。
「あるとすればあの船団ではないところからでしょう。例えば東西の浜辺から少数で上陸するとか」
「結構。そこまで予測出来ているならあなたはここに居るべきではないのでは?念の為、私はあの船団を監視します。あなたの予測が外れた時は私達の手柄になるでしょうが」
「お任せいたします。私は北東と北西へ。南側の指揮はどうなってますか?」
「ヒュース副将に全権を渡してあります。責任もね」
[ヒュース]はマークと同い年だがミロイ大将の下、入隊から全勝を誇っている。海軍南基地には不敗神話があり、かつてミロイ大将が南基地を統括した頃から無敗なのだ。そう、"かつて"と言う程、昔の話だが。
「そうですか。相変わらずスパルタですね。私はどうしても自分が動いてしまう」
「時に大きな失敗を起こす事もある。任せる事も一つの決断であり勇気です」
マークは敬礼し第三駐屯地へ戻った。先程寄った時には各隊準備は整っていたのでワンダを北西、タックを北東へ配置しようと考えていた。ある程度の説明は済ませていたのでそれぞれスムーズに移動を始める。
マークはタックと共に北東へ向かった。後から一番隊も合流する手筈となっており、指揮を[メリル]大佐に依頼していた。
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「フォール!ガレオンだ。フォールは居るか!?」
フォールを探す声に気付いたテスが駆け寄ってきた。
「ガレオンさん?どうしてここに。城の警備は?」
「すぐ戻る。フォールはどこだ?」
「隊長室から出たのは見たんすけど、どこに行ったかは…」
「緊急だ。戦争吹っ掛けられてるかも知れない。駐屯地内と周辺の警備強化、市民の避難と安全確保。頼んだぞ」
「えっ!?せ、戦争?ちょっと待ってください話が急すぎて意味分かんないっす」
「んなもん急に来るに決まってんだろ。とにかくフォールにも伝えてくれ!俺は海軍南基地に寄ってから城に戻る!」
ガレオンは再び馬で駆け出した。
「っておいおいやべぇじゃんかよ。フォールさーん!緊急でーす!フォールさーん!」
テスは慌てて駐屯地を駆け回った。
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「ヒュース副将。陸軍のスマツ隊長が戻られる予定ですが、あまりにも遅くありませんか」
「あぁ。魚の餌になってなきゃいいけどな。しかし、海も一荒れしそうだぞ。本当にまだ見つからないんだな?」
「はい、ミロイ大将が言うように敵襲があったのかも」
「"先生"が言ってたように有事の際は全て一任するって事は何らかの異変が起きているのか。それともアーミーがだらしないだけか」
ヒュースは偵察を出すか悩んでいた。出す程の事なのか。何か起きているのか。その場合、手遅れになっては信用問題にもなり得る。どうしたものか…




