火種8-8
「よぅ。リーダー。集めるだけ集めてきましたぜ」
ブライはあの後アミーユに戻り有志を集めた。敗戦し、生きる希望を見失った者たちに、熱湯をかけるかの如く熱い言葉を放った。
「おーい聞こえてるか?負け犬共よ。さぞかし地獄の様な毎日を送っているだろうよ。家は焼けた、家族は死んだ、国も滅んだ。そんなところか。しみったれるのも程々にしとけよ。大切な人を失った事はとても悲しい出来事だ。それも他人の手によって失くされたなんて耐え難い。忘れろとは言わない。寧ろ忘れない為に今、逆境に立ち向かうべきだと俺は思う。家の隅で泣いてりゃ死人は戻ってくるのか?ん?いいか。甦る事はないんだ。弔ってやってくれ。成仏させてやってくれ。その為に何が出来る?復讐じゃあない。守ってくれ。この国を救ってくれ。この先の子孫が豊かに過ごせる国を作ってくれ。俺はアミーユ人だ。ノア人でも、マルベス人でもない。かつてアミーユという国がありましたとさ、なんて事を未来の奴らに言わせるな。他の国にもそういう思いを持ってる連中がいる。志は同じだ。俺が殿を務める。付いてきて欲しい。ケツを叩いて欲しい。助けて欲しい。どうかもう一度、平和で豊かなアミーユを一緒に取り戻して欲しい。宜しく頼む」
群衆は静まりかえっていたが、パラパラと拍手が聞こえた。それは瞬く間に伝播し、結束した。その場に居なかった人達にも伝わり、ブライは2000人の軍勢を得たのだ。
「このくらい朝飯前だ。アミーユ人なめんなよ」
ブライは高笑いしていたが、ライトは演説をしていた時にブライの頬を伝う涙を見逃していなかった。心からの思いを受け取ってもらえた喜びの涙にも感じた。ライトもブライの言葉に絆された一人だ。彼が倒れそうな時は肩を貸せるくらいの力をつけなくてはと決心した。
一方、フラッグはルボンの国民に冷静に語ったとハンは自慢気に話したーーー
「ルボンに生ける方々。私はこの国の人々に救われました。一度、この世界から居なくなったこの私を見事に生き返らせてくれた。それは肉体的にではなく、精神的にもう一度生きる希望を与えてくれたのです。日がな一日、無意識に、無意味に、日が昇り沈むのを待つ様な今の現状から私は皆を救いたい。死は目的地ではない。死ぬ為に生きるのではない。私はこのルボンでそれを学ばせていただいた。恩返しがしたい。笑い合い、幸せに過ごすルボンの方々を取り戻したいのです。その為に、同じく命を賭して自国の為に戦う事を決意した方々と協力する事を決めました。国は違えど同じ人間です。敵軍も自らの国の為に死力を尽くしておられる。簡単でない事は承知しています。だからこそ、助力を求めております。私がその名に恥じぬ旗手となります。皆が行き先を見失わぬよう精一杯、どんな事があっても旗を振り続けます。どうか、その旗を目印に明るい未来を御一緒に目指していただきたい」
同じくフラッグもルボン国民の心を掴み、3000人の助力を得ることに成功した。ルボン、アミーユを合わせ5000人の連合軍となり、決戦の為の準備に取り掛かろうとしていた。




